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水の空の物語 第3章 蓮峯山の小さな楽土

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空の上に湧く泉の噂を聞いた風花たち。 蓮峯山という山で、ふしぎな野原を見つけます。
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#両片想い

水の空の物語 第3章 第1話

第三章 蓮峯山の小さな楽土  ……日本の洪水伝説。  洪水伝説とは、世界中の諸伝説に多く…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第3話

「えーっとね、蓮峯山の山々の間にある湖には、竜が住んでいる。池に大蛇が住んでいる」 「い…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第4話

 不老不死……。 「え? 不老不死って、あの吸血鬼とかの?」 「オレは化け物じゃないぞ」 …

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第5話

 聞いても楽しくないぞと、飛雨はつぶやいた。  飛雨は、戦国武将の家臣の家の出身で、生ま…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第6話

「……ここまでにしよう」  長い沈黙が続いたあと、ふいに飛雨がいった。窓にもたれていた体…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第8話

 少女は中学生くらいだった。  かわいらしいという表現がぴったりの子だ。かなり華奢で、長…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第9話

 飛雨が降りたのは、木々の間に点在する岩の中で、一番大きな岩だった。  彼は『重かったー』と大きく息をつき、放り込む出すように風花を岩の上に下ろす。  目眩がして立つことができず、風花は岩の上に転がった。 「だいじょうぶか?」  飛雨が面倒くさそうにいう。 「胃が痛い」  半泣きの声が出た。 「オレも肩が痛いぞ」 「背中痛い。お腹が宙に浮いたー。夏澄くんだったら、お姫さま抱っこしてくれたのに」 「はいはい。でも、こういうのに慣れてくれな。強くないと、夏澄の役に

水の空の物語 第3章 第11話

 風花たちは、森の東を目指していた。  飛雨は忍者のように、枝にぶら下がったり、幹を蹴っ…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第13話

 空気が痛い……。  風花たちは、山頂に続く坂道を歩いていた。  さっきまでは、笹原や枝…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第14話

「この鳥も、引き取って欲しいってことでしょ。今回は例外ってことでいいじゃない」  スーフ…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第15話

 それきり、飛雨はなにもいわなくなった。  ありがとう、と、夏澄が風のようにささやくのが…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第16話

 風花は、山頂の岩場を歩きまわっていた。  岩影を覗いても、木の周りを探しても、どこにも…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第17話

 眉間にしわを寄せ、飛雨は岩の上に寝転がっていた。  ずっと黙り込んで、宙を睨んている。…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第18話

 ……懐郷。  風花の中に、そんな言葉が浮かんでいた。  夏澄の手をすがるように握り返す。  一面に咲いていた花は、桃色しろつめ草だった。  それが校庭三つ分くらいの、広い広い野原一面に咲いている。  しろつめ草は、ぐるっと木々に囲まれている。  桜、百日紅、花海棠、木香薔薇、雪柳、つつじ、木蓮。たくさんの木々が、色とりどりの花をつけていた。  どの木も満開だ。  花びらが舞って、しろつめ草の上に落ちる。息を飲むくらいの美しさだった。  本当に、一年中春の世界