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水の空の物語 第1章 春の出逢いと夢のはじまり

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第一章をまとめました、 主人公の風花と、水の精霊、夏澄の出逢いの章です。 春の川原でのことです。
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水の空の物語 第1章 第2話

水の空の物語 第1章 第2話

第一章 春の出逢いと夢のはじまり

 高校からの帰り道、│波木《なみき》│風花《ふうか》はいつもの川原に寄り道した。

 花がいっぱいの、優しい場所なのだ。 春の花があふれている。

 土手に広がる菜の花。

 小さくてかわいい花。ほとけのざ、すずめのえんどうに、たんぽぽ。
 川岸には大きく枝を広げ、しっかりと根を下ろす桜の木。

 風花は土手を駆け下り、桜を見上げた。ちょうど漫開だ。花びらがひら

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水の空の物語 第1章 第17話

水の空の物語 第1章 第17話

「……ねえ、夏澄。あなたの幻術で、霧の水輪見せてよ」

 唐突にスーフィアがいい、微笑む。夏澄はふしぎそうに彼女を見た。

「なんだか疲れたちゃったの。みんなで気持ちを落ち着けましょう。夏澄は今日ずっと霊力を使っているけど、いいわよね」

 ねだるような瞳でスーフィアは続ける。
 ありがとうと、夏澄は微笑む。祈るように手を胸の前で重ねて、瞳を閉じた。

 ずっと、霊力を使っている……?

 そうい

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水の空の物語 第1章 第18話

水の空の物語 第1章 第18話

 夏澄はしばらくの間、なにかを念じるようにしていた。

 やがて、まぶたを開く。

「あの、スーフィアさん。霧の水輪ってなんですか?」

「水の精霊の国の自然現象よ。霧が水の輪になって舞うの。無二の光景なのよ」

 ゆっくりと、辺りに霧が漂いはじめた。
 霧は這うように広がっていく。

 地面に近いほど霧は濃かった。一番濃いところの霧が集まって、水滴に変わっていく。

 それが輪のような形を作りは

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水の空の物語 第1章 第19話

水の空の物語 第1章 第19話

「なつかしいわー」

 スーフィアが、遠くにあるなにかを見るような瞳をした。

 霧の水輪は、風花たちの周りきらきらと舞っている。風花は中のひとつに手を近づけてみた。水しぶきが手に飛んだ。

「私はね、夏澄が住む水の精霊の国の近くの海に住んでいたの。水輪はそこからも見えたけど、夏澄の国にあがらせてもらって見たこともあるのよ」

「いいよなー。オレも行ってみたいよ」
 飛雨が心底うらやましそうにする

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水の空の物語 第1章 第20話

水の空の物語 第1章 第20話

……。

「そ、そうだね。飛雨くん、人間って感じもあんまりしないよ……」

 風花は笑顔をつくった。

「鋭気があるっていうか、澟としてるっていうか。足とかすごく速かったし、身体能力がすごいよね」

「だろ?」
 あっという間に、飛雨の目元は緩む。

「あの疾走力は、身につけるのに苦労したんだよ。オレの元々の霊力は攻撃系で、夏澄の役に立たないものばっかりだったから」

「え、攻撃はだめなの……? 

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水の空の物語 第1章 第24話

水の空の物語 第1章 第24話

「だいじょうぶだよ、夏澄くん……」

 風花は声に力を込めた。

「水の精霊の国、きっと元にもどるよ」
「ありがとう」

 夏澄は、心底嬉しそうにわらった。

「もしもどせたら、わたしにも教えてね。……わたしもね、水の精霊の国が見てみたい。わたしね、この世で一番きれいなものは、水だと思うんだ」

 風花の言葉に、夏澄は少し驚いた顔をする。じっと風花を見つめた。

「今の言葉……」
「え?」

「今

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水の空の物語 第1章 第25話

水の空の物語 第1章 第25話

 ふいに、霧の水輪の幻術が消えた。辺りはさあっと夜闇に染まる。

 冷えた風が風花の頬を撫でた。

「飛雨、お願いできるかしら」
「ああ」

 飛雨は、風花と瞳を合わせないように歩み寄ってくる。

 また指先が透明に近い水色に光っていた。

 ……ねえ、わたしも夏澄くんを助けたい。一緒に夏澄くんの故郷を元にもどしたい。

 飛雨の指先が近づいてくる。

 水色の光がきれいで、泣きたくなった。

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