水の空の物語 第1章 第2話
第一章 春の出逢いと夢のはじまり
高校からの帰り道、│波木《なみき》│風花《ふうか》はいつもの川原に寄り道した。
花がいっぱいの、優しい場所なのだ。 春の花があふれている。
土手に広がる菜の花。
小さくてかわいい花。ほとけのざ、すずめのえんどうに、たんぽぽ。
川岸には大きく枝を広げ、しっかりと根を下ろす桜の木。
風花は土手を駆け下り、桜を見上げた。ちょうど漫開だ。花びらがひらひら舞っている。
風花は木の根元で、砂利の上に寝転んだ。地面から見あげる桜は、本当にきれいだ。
青空を背景にして、薄桃色の桜が揺れている。空はまぶしくてきらきら輝いている。
透きとおった水色の川面。川岸の小石。土手の青草。風花は辺りのきらきらしたものを、端から一つ一つ見つめた。
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