水の空の物語 第1章 第17話
「……ねえ、夏澄。あなたの幻術で、霧の水輪見せてよ」
唐突にスーフィアがいい、微笑む。夏澄はふしぎそうに彼女を見た。
「なんだか疲れたちゃったの。みんなで気持ちを落ち着けましょう。夏澄は今日ずっと霊力を使っているけど、いいわよね」
ねだるような瞳でスーフィアは続ける。
ありがとうと、夏澄は微笑む。祈るように手を胸の前で重ねて、瞳を閉じた。
ずっと、霊力を使っている……?
そういえばと、風花は出逢ったときの夏澄を想い出した。
あのとき、夏澄は川に浸かっていた。
夏澄はきらきら光る水蒸気に包まれていたけど、今考えると、彼自身もかすかに光を放っていた。
夏澄の霊力とおなじ色の、水色の光だ。
……あのとき、夏澄くんは霊力を使ってなにをしていたんだろう。
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