ヤングケアラーのその後➃|休職中、初めて出会った「ヤングケアラー」ではない「本当の自分」
■人生で初めての「何もしない時間」
休職期間中は、主治医に「今は何もしなくていいです。もうひたすら休んでください。休むことが仕事です」と言われていました。
そう言われると、学生時代からいつも何かに追われてゆっくり休んだことがなかったかもしれない‥と思い、職場の方々への罪悪感もありましたが、思いきって自分の好きなことをして過ごすことにしました。
ただ、当時の私は、体力・気力共に0に近く、正常な日常生活を取り戻さなければならない段階だったので、まず3食食べることや決まった時間に寝て、起きるところから始めました。
眠れず、24時間起きていることも珍しくなかった私ですが、少しずつ正常な規則正しい生活が送れるようになりました。
好きな時間に寝て
好きな時間に起きて
食べたい時に好きなものを食べて
調子の良い時は散歩をして
もっと調子の良い時は、近所のカフェに行ったり‥
身体症状(不眠・食欲不振・倦怠感等‥)や精神症状(気分の落ち込み・意欲低下・希死念慮等‥)が軽くなっていくと同時に、私は日常生活を取り戻していきました。
こうして少しずつ少しずつ、心身の健康を取り戻すことができました。
そしてふと思いました。
「今までずっと家族のために●●しなきゃいけないにとらわれてたな‥」
「初めて自分のために生活したかもしれない」
「周りのみんなは、親の顔色を窺わずに子どもの頃からこんな気ままな生活を送れていたんだな」
もの心気づいた時からケアをしていた私はずっと「家族のため」に生きていたんだと、ここで初めて気づきました。
■休職を通じて得た「自分のため」の人生
休職期間は、知らず知らずのうちに、「家族のため」の人生から「自分のため」に人生を送る練習になっていました。
私は幼少期から精神疾患の母と暮らし、ずっと母主体の生活でした。
母の気分に振り回され、毎日生きるだけで精一杯でした。
「本当はもっと友達と遊びたい」
「家事なんて本当はしたくない」
「母のことを気にせずに生活したい」
そういった自分の本音は、心の底に沈めざるをえませんでした。
そして、「しっかり者で優等生のお姉ちゃん」という周囲からの期待を受け、必死に仮面をかぶって生活していました。
私の今までの人生は全て「家族のため」にあり、そこに主体性を持った「本当の自分」はどこにもいませんでした。
空っぽの状態のまま、大人になってしまったような感覚でした。
しかし、休職中の生活で、その空っぽの自分にやっと目を向けることができたんです。
母のためでもない
周囲の期待に応えるためでもない
お姉ちゃんという役割を全うするためでもない
「自分のためだけに生きるとは、こういうことか」と初めて知りました。
休職期間がそうせざるを得ない環境を作ってくれたおかげかもしれません。
私は自分の意志で選択し、自分で生活で送ることができていました。
これが「ケアラーではない本当の自分」との初めての出会いでした。
■「ヤングケアラー」ではない「本当の自分」と出会って
休職したことで、私は初めて本当の自分見つけることができました。
もし、休職をしなければ私は一生、子ども時代の泣いている自分に気づかないまま、人生を生きていたかもしれません。
この経験は、まさに私の人生の転機でした。
一方で、うつ病・適応障害を患うまでの期間、そして休職してからは職場の方々をはじめ、本当に多くの方に迷惑をかけました。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
このことだけは、忘れず胸に刻んで、同じことを繰り返さないようにしっかりと前を向いて生きていけたらと思っています。
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