第5回宮崎本大賞は『うちの父が運転をやめません』
いろいろとタイトルを考えた。考えて考えて、けっきょくはこのシンプルな事実に行きついた。
「第5回宮崎本大賞は『うちの父が運転をやめません』」という、2024年3月8日に発表されたすばらしい事実、結果、そしてこれからのはじまり。
そう、宮崎本大賞の「発表式」は始まりなのだ。
(↑発表式のようすです↑)
3月8日から宮崎県内の協力書店に並び始めた『うちの父が運転をやめません』宮崎本大賞オリジナルカバー。お店によっては垣谷美雨先生に書いていただいた数量限定サイン本もありますので、ぜひお求めくださいませ。
いやはや、2023年7月に「走り始めます」と宣言して以来大賞作品の選考や発表式の準備に明け暮れてきた宮崎本大賞。正直言って、一番苦労したのは「めちゃくちゃ素晴らしい5選から1作を選ぶ」という、決選投票の時期でした。
🌻なぜ大賞作が『うちの父が運転をやめません』に?…なぜ、ひまわり?
『うちの父が運転をやめません』が第5回宮崎本大賞に輝いたのは、これはもう簡潔かつ明瞭に申し上げまして「宮崎県内の本好きたちの投票で1位だった」からなのですが、とくに推薦コメントで多かったのは「私の物語だと思った」というコメントでした。
「ははぁ、宮崎は車社会だから「運転」に関しては共感する人が多いんですね」
・・・たしかにそれも一理あるでしょうが『うちの父が運転をやめません』がもし「運転に関する社会問題だけ」を描いていたなら、きっと宮崎本大賞には選ばれなかったでしょう。
この作品はより多様な、都会と田舎双方の視点、老いも若きも共感できる視点、つまりは宮崎の人でも東京の人でも、全国どこの人が読んでも共振するストーリーが描かれた物語なのです。「いつかはこうなるな、私も」と「昔はこうだったよね、僕も」とが入り混じった、時間軸と土地軸の交錯がうまく物語としており合わさった作品全体を通して、多くの宮崎の本好きたちが「自分事」としてこの物語をとらえたのでしょう。
そのあたりは「受賞理由」などとして、各種報道でも受賞理由などをお取り上げいただいているかと思います。
(報道リンク等が時間経過によりご覧いただけなくなることがあります)
このようにメディア各社様も盛況の中発表された第5回宮崎本大賞ですが、とにかく「選考」は大変でした。
この素晴らしきラインナップをみたら「全部大賞でいきましょうよ」となりますよね(笑) まず候補作を5選に絞る時点で断腸の思いなので、決選投票の頃には実行委員長である小宮山の腸は擦り切れてなくなりました。
そんな「ほんとはぜんぶ、選びたい」という宮崎本大賞実行委員の苦悩や「本があるとどう景色が変わるだろう」というひらめきをイラストやコピーにおこしたのが、今回の宮崎本大賞実行委員ポスターです。
こちらも宮崎県内の書店・図書館でご覧いただけますので、ぜひ探してみてくださいね。
・・・ところで、今回のオリジナルカバーは「ひまわり」なのですが、なぜひまわりなのかご存知でしょうか。
(『うちの父が運転をやめません』をお読みの方はきっとお解りだと思います)
このデザインを通して伝えたかったのは「町で集う人々」。その集いの場の雰囲気の良さであったり「救世主」としての車の存在を際立たせたかったのです。そのためには「町」の描き方がとても重要でした。
「ひまわりの種って、町みたいだよね~」
・・・なかば朦朧としながらこう述べた実行委員長(小宮山)の突飛なアイデアをデザインとして成立させてくれたのは、宮崎本大賞にてデザイナーをおつとめいただいている河野喬さん。そしてイラストを担当してくださったのは緒方桜奈さんです!
で、なんでひまわりなのか?そこはやはり『うちの父が運転をやめません』を読んでいただければ嬉しいです。
しかし一つだけ言えること。それは(先ほどもちらりと書いたとおり)タイトルからすると「悪者」にみえる車が、実は「救世主」でもあるということです。だからこそこの物語は「運転する・しない、免許返納」というテーマだけではない感情や人物模様をはらんでいるのです。
🌻さぁ、書店へ行きましょう
第5回宮崎本大賞の『うちの父が運転をやめません』を、ぜひ宮崎の「推し」書店で購入してください。図書館で試し読みをすることももちろん歓迎です(第5回宮崎本大賞の実行委員長は、椎葉村図書館「ぶん文Bun」の人間です)。
しかしながら最終的には、ぜひ書店で買ってもらいたいのです。
宮崎本大賞が「きっかけの問いかけ」として「好きなページはありますか。」を掲げ、書店・図書館・学校など業種を横断して手を取り合っているのには理由があります。
それは「仲良くみんなで和気あいあい」という気楽な思い付きではなく、どちらかといえば業界に対する危機感の裏返しが生んだコンセプトであると思っています。「もう書店同士でライバル視なんてしてる場合じゃないよね」という感じです。
「経産省 地域の書店振興にプロジェクトチーム立ち上げへ」・・・こんな見出しが、ちょうど3月8日の宮崎本大賞発表の直前に全国ニュースに浮かび上がりました。
本に携わるものとしては当然ありがたく思うべきなのかもしれませんが、これをただ楽看的に喜ぶべきではないと感じもしました。
もっとできることがあるし、書店・図書館などが連携し仕組みレベルで事態を変えていけるはず。しかし、どれもこれも間に合っていないのではないか・・・そんな危機感が募る中の宮崎本大賞発表式、メディアの皆さまにもお伝えしたとおり、僕の実行委員長としての願いはただ「さぁ、書店へ行きましょう」ということです。
宮崎本大賞の実行委員長として宮崎県内の書店さんの動向を見ていて、想像以上に「閉店」の報が多いことに愕然としました。こんなことは文字にしたくないのですが、あなたの近くの書店さんがいつまでも営業しているとは限らないのです。
推しは推せるうちに推せ、です。
自分が通った本屋さんを、子ども達や地域の皆さまで分かち合える未来をつくりましょう。あたりまえの日常を護る嬉しさを感じましょう。
図書館という「本を売らない」場所にいる私ですが、強くこう思います。
本を推し書店で買う、そのことに勝る「応援」はありません。
🌻そして次の宮崎本大賞へ・・・
宮崎本大賞の実行委員長は1年任期で回っていますので、このnoteを書いている小宮山剛も、とりあえずは第5回宮崎本大賞の実行委員長の任から離れます。宮崎本大賞のブランディングデザインや、実務的な整備(会則とか会計管理とか…)などなど、いくつかの未来への投資も実施できたのかと思います。
また宮崎本大賞とは異なる活動としても、椎葉村図書館「ぶん文Bun」の運営や同村にて一般社団法人ホンミライ様と連携し募集している「秘境の文筆家」事業など、仕組みとして出版業界や文化振興・地域振興に関する事業に携わっていきます。宮崎の読書を様々な観点から応援し、それだけでなく「稼げる」「長持ちする」「魅力ある」活動としていけるよう、これからも様々な策を講じていきたいと思います。
正直なところ、僕の気持ちは第5回宮崎本大賞でいっぱいです。
しかしながらこれもまた、第1回宮崎本大賞(青山美智子さん)、第2回宮崎本大賞(行成薫さん)、第3回宮崎本大賞(小野寺史宜さん)、第4回宮崎本大賞(原田ひ香さん)と、連綿と繋がれてきた宮崎本大賞のご縁により成り立っている高揚感でありましょう。
だからこそ、はやくも視線を「第6回」へと送りたいのです。来年はどんな景色が私たちを待っているのだろうか。
もちろん、宮崎県内の売り場にはたくさんのひまわりが咲き続けています。第6回へとエールを送りたい気持ちになっているのはおそらく実行委員長を務めた小宮山だけでしょう。とにかく今は、第5回宮崎本大賞を盛り上げるのだ。
今は、とにかく、宮崎県内の、推し書店へ、行きましょう!!
季節を問わずずっとひまわりが咲いている書店がたくさんある町、宮崎。
そんな景色が、住みやすい・読みやすい町へとつながっていく未来を想像しています。
🌻X情報でたどる、第5回宮崎本大賞売り場
あなたの推し書店はありますか?
X(ツイッター)に投稿された、第5回宮崎本大賞特設売り場たちをご紹介します。近くの本屋さんがあったら、ぜひ行ってみてくださいね🌻🎊
(↑これは発表式を開催した明林堂書店神宮店さま)
(明林堂書店浮之城店さんではくす玉番長が!)
歴代受賞者の方々がXでもこうしてご反応をお寄せいただけるのが嬉しくて嬉しくて…。
発表の裏側までご投稿ありがとうございます(笑)
角川文庫さんもぜひフォローしてくださいね!
サイン本の数にはかぎりがありますので、おはやめに…
でもね、垣谷美雨先生にもだいぶご無理を申し上げてたくさんたくさん書いていただいたんですよ・・・。
垣谷美雨先生、KADOKAWA様、ほんとうにありがとうございます!
宮﨑ご在住の作家さん、高山環さんも発表式にお越しいただきました!
舞台俳優の松之木天辺さんにもご注目いただいた宮崎本大賞です!
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好きなページはありますか。
きっかけの問いかけを、宮崎本大賞は続けます。
宮﨑が、そして日本が、もっと読みやすい町になりますように。
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