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沼の底から ― どろどろエッセイ

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書きたくなったことを気ままに書きます。テーマは特にありません。ときにどろどろしているかもしれません。
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#エッセイ

安倍氏暗殺事件によって可視化されてきたサイレントマジョリティと、その怒り

 サイレントマジョリティ。物言わぬ多数派。  物言わぬがゆえにその存在は見えず、普段は、いわば概念に近いような気がする。存在しているはず、という概念。  ことに日本人はこちら側の人は多いような印象だ。大きな声でなにかを主張する人というのは少ない。  その対義にあたるのが、ノイジーマイノリティ。声の大きな少数派。  日本では近年こちらの声が取りあげられることが多かった。その結果として、ますます声が大きくなり、目立ち……ますますサイレントマジョリティの声は聴こえなくなる。  そ

先鋭化するTwitter……もう駄目かもしれない

 Twitterに対する違和感はもう何年か前からあって、それで現在はTwitterでの発信は基本的にはやめてしまい、他人のツイートをリツイートするばかりに特化してしまったのだけど。  ここ数日(つまり安倍氏殺害事件があってからですね)、また違和感が急激に大きくなってきています。  簡単に言うと、先鋭化しているように感じるのですよね。  そう思ってあらためて考えると、Twitterはそもそも先鋭化させやすい仕組みになっているのではないかと。  とにかく大勢とつながって下さい

安倍晋三を殺した日本社会

 安倍晋三。第90、96、97、98代の内閣総理大臣。  2022年7月8日、凶弾を受けて死亡。  以降、ここでは「安倍氏」と呼称することとする。  安倍氏についてはいつかは書かかなければならないと思っていた。自分の忙しさと体力不足、そしてほかにさまざまに語っている人がすでに多数いるため、結局のところほとんど書かずにきてしまったのだが。  安倍氏は史上まれに見るほど誤解され、誤った情報をもとに誹謗中傷を受け続けた人であると思っている。政治家として人として彼が完璧に真っ白な

少子化は本当に問題なのか?

 いまなぜ少子化問題について書く!? ってことになりそうですが、実はずっと前から考えていた話です。  なんというか、社会一般的な認識とぼくの考えに乖離がありまして。その話を一度どこかにまとめておきたいと思っていました。 少子化の原因 少子化の原因としてよく言われるのは社会不安です。福祉の問題も絡めつつ、安心して子供を産んで育てられる社会ではないだろうと。だからみんな子供を産まないんだと。国民の貧困化も言われていますね。子供を育てる余裕などないのが原因だと。  そして、政府と

自衛官はたっぷり食べていますよ(ご心配無用)

 自衛隊の3等空佐が食堂でパンと納豆を多めにとったら停職10日になった、というニュースがあって、食事くらい充分に食べさせてやれとか、満足な量を食べさせてないのがおかしいとか、なぜ悪いのかまったくわからないとか、まあ、そんな感じの声が非常に多かったのですが……  まず、前提として言っておくと、自衛官は充分すぎるほど食事は与えられています。  ……私、元自衛官です。だいぶ前ですけど。その経歴の上に立って証言しています。  で、自衛官に食事は充分に与えられています。  どれくら

鴻巣友季子と桜庭一樹の誤読問題について考えた

 ほかにいろいろ書きたい記事はあるのですが、旬の話題なのでこの件について少し触れます。  簡単に流れを書くと、  ①鴻巣友季子(以下敬称略)が朝日新聞文芸時評に書評を発表  ②それに対し、ひどい誤読があると著者の桜庭一樹(以下敬称略)が抗議   この作品は私小説であるため、実在の人物に風評被害が及ぶことを懸念されるので、記事を訂正してもらいたいと要求  ③作品をどう読もうが自由であるということで鴻巣友季子は訂正要求を拒否  さて。  まず言いますが、ぼくは基本的に書き手の

小説投稿サイトと公募方式に求めるもの

 作品の公開(アピール)手段として小説投稿サイトを利用したい気持はあるのですが、いくつかの理由により、ずっと躊躇しています。まったく使ったことがないわけでもなく、ほんの一瞬試してみたことはあるのですが。  ①一度公開してしまうと、その作品を公募に出せない  ②ジャンルや雰囲気に合わなさを感じる  ③思いのほか、参照数や反応が伸びない  ……等々。  ①はけっこう悩みどころなのですよね。  とにかく読んでほしいという気持は強くあるのだけど、公募には送りたい。  公募には送り

SNSをやる意義

 SNSというものについて頻繁に考えている。  ここで言うSNSとは主にTwitterのことだ。  人それぞれの考えがあるだろうが、ぼくがSNSに手を出した目的はただひとつ、自分の作品(小説)のためだ。  あたりまえのことだが、小説というものは人に読まれなければ意味がない。そしてただ書いていても人には読まれない。なんらかの手段で作品を世に出し、売りだす必要がある。そのひとつの手段としてSNSを始めた。あくまで、ひとつの手段として、だが。  作品の良さがじわじわと口コミで広が

一般的な小説公募の選考過程についてしみじみ思うこと

 長年いろいろなところに小説を投稿(応募)してきていて、候補に残ったこともあれば、片足ひっかっかったこともあり、はたまた予選にすら残れないことも数えきれないほどあり。  その経験からして言うのだけど。  一般的に今やっている形式の小説公募(新人賞)は、"運"の要素が大きすぎると思う。  いや、そうじゃない、残る人は残るんだ、と主張する人もいるけど、いや、そうじゃない、やはり運がかなり大きい。断言する。  特に一次選考とかレベルの選考。  たとえば最終選考なら数名の選考委員

頭がよくて要領のいい、人迷惑な馬鹿者の話

 今の職場でよく見かける光景なのだけど、ここ、なかなかに高いビルで、エレベーターがとても混むのですね。特に朝の出勤時。だーーとエレベータホールに人の波ができます。エレベーターはなかなか来ませんし、やっと来てもとうてい一気には乗り切れません。  それでそんななか、階段でいったん地下に降りる人がたまにいるのです。地下から乗る人はほぼいないから、並ばなくても楽々エレベーターに乗れまっせ、俺って頭いいでしょ、ってわけです。  馬鹿か。  てめえが地下から乗るそのせいで、エレベーターは

書籍の"文庫化"について少し考えた

 たぶん気のせいではないと思うのだが、単行本が文庫化されるまでの期間がどんどん短くなっているようだ。  文庫に入るのは一般的には3年と言われていたように思う。実際、確認すると3年から4年あたりが多いようだ。  それが昨今、え? もう文庫が出たの? と感じることが増えてきていて、場合によっては1年足らずで文庫になっているケースもある。  一消費者としては、これって「買い控え」が起こらないのかなあ、と単純に思ってしまうのですが、どうなんでしょう? 単行本に対する買い控え、ですよ

ガキ大将たち

 北はがんがんミサイル打って、核実験して、軍拡していて、不気味だし怖いし何考えているのかわからないなと。  それはまあそうなんだけど、そういうのはやはり外側から見ている考え方なのだろうなと、ふと思いました。  単純に言ってしまえば、まず、北は強くなろうとしているのでしょう。  強くなったあかつきに何をしようと考えているのかは知りませんが。全世界相手に戦争を起こすほど馬鹿ではないと思いますが、南朝鮮を攻撃して統合することくらいは考えているかも。  それはともかく。  A君

日野皓正氏のビンタニュースと、映画『セッション』

 日野皓正氏がコンサート中に中学生を往復ビンタした、それはこの中学生がソロパートでなかなか演奏を止めなかったせい、というニュースを耳にして、すぐ思い浮かんだのは映画の『セッション』で、この関連性について書こうと思っていたのだけど、どうやら同じ連想をした人は多かったらしく、すでに記事にすらされていた。  いまさら同じことを滔々と書いても仕方がないので、軽く書くにとどめておきましょう。  映画『セッション』は、学生のドラマーの主人公と、その教官で指揮者のフレッチャーの物語。  

職場での着替えの勧め

 出勤というものについて不快なことは多数あるが、夏場に関しては、なんといっても出勤時に汗みずくになること。  自宅から駅まで徒歩1分、駅から会社まで徒歩1分、というような環境ならそんなこともあまりないのだろうけれど。今現在にいたっては両方合わせて30分近く歩いている。  全身、汗まみれだ。朝からいきなり汗まみれになるこの不快感。  そこで、着替えを持っていって、職場に着くとすぐ着替えるようにしている。  疑問なのは、同じことをしている人がほかに誰もいないということだ。今の職