日野皓正氏のビンタニュースと、映画『セッション』
日野皓正氏がコンサート中に中学生を往復ビンタした、それはこの中学生がソロパートでなかなか演奏を止めなかったせい、というニュースを耳にして、すぐ思い浮かんだのは映画の『セッション』で、この関連性について書こうと思っていたのだけど、どうやら同じ連想をした人は多かったらしく、すでに記事にすらされていた。
いまさら同じことを滔々と書いても仕方がないので、軽く書くにとどめておきましょう。
映画『セッション』は、学生のドラマーの主人公と、その教官で指揮者のフレッチャーの物語。
このフレッチャーの指導が常軌を逸していて、ビンタ、ビンタ、ビンタ、椅子やらなにやらをぶん投げる、人格を根底から否定する罵倒をしまくる、といった次第。
しかし主人公の方もなかなかのもので、両手を血まみれにして汗を飛び散らせて歯を食いしばってドラムを叩く姿は鬼気迫る。
で、問題は、最後のコンサートのシーン。このときには、主人公もフレッチャーも互いを憎みあうようになっている。
主人公はここで勝手に、予定にない曲を叩き始める(それにはそれなりの理由があるのだが)。
フレッチャーは当然、おい、なんのつもりだ? と主人公をとめようとするんだけど、主人公は逆に、おれの言うとおりにしろ、とそのままドラムを叩きつづける。それは鳥肌が立つようなすさまじい演奏で、フレッチャーもそれを認めることになる。最後まで彼の意思どおりに叩きつづけさせるばかりか、しだいにみずから指揮をはじめる、というわけ。
この最後のシーンですね。例のニュースで思い浮かんだのは。
1.中学生は『セッション』を観ていて、本気でこれを実際にやろうとした(日野皓正氏が乗ってくるのを期待していた)
2.中学生は『セッション』を観ていて、かっこいいと思って猿真似をしただけ
ひょっとしたら、このどちらかだったりして。
なんてことを思ったりしました。
もしも「1.」だったら、さぞかし失望しただろうなあ。
「おい、いい加減にやめなさい」と日野氏。
「うるせえ、おれに従えええ!」と少年。ドコドコドコ!
……ビンタ。
とかだったら、なんというか、ちょっと笑ってしまう。
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