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財務諸表ナナメ読み(BSの超基本)|M&Aアドバイザー超初心者向け基礎知識!④

こんにちは。かきもとみさです。私は世の中に少ない女性M&Aアドバイザーとして仕事をしています。M&Aの仕事はめちゃくちゃ面白いです!なので、これからは女性M&Aアドバイザーを育てたいと考えており、「超初心者」向けにノウハウを発信しています。

今回は財務諸表についてのお話です。財務会計の知識はM&Aアドバイザーには必須なので、数字が苦手な方は「まずは抵抗感を無くす」ところからがスタートです。

財務諸表とは

まず財務諸表とは、1年に一度、会社が決算月になったらその1年間の業績を利害関係者に報告するための報告書です。「決算報告書」とも言います。

財務諸表作成の流れ

財務諸表は、下記のような流れで作成されます。

(この全体像、案外重要。)

取引が発生し「仕訳」を切ります。簿記(Book Keeping)という記帳法が一般的です。
期中には無数の仕訳が切られるわけですが、このひとつひとつの取引に基づく仕訳を集計し、「決算整理」が行われます。試算表(Trial Balance/TB)がつくられ、決算整理が完了すると、それを基に、下記財務諸表が作成されます。

① 貸借対照表(Balance Sheet)
② 損益計算書(Profit and Loss Statement/Income Statement)
③ 株主資本等変動計算書(Statement of Shareholders' Equity)
④ キャッシュフロー計算書(Cash flow statement)

(簿記3級は財務諸表作成までが試験範囲だったような…)

③④を作成するかどうかは会社によるかもしれませんが、少なくとも①②は作成しているでしょう。

連結財務諸表は、子会社を保有する会社が、子会社の財務諸表も合算した財務諸表を作成する場合に発生し、その合算された財務諸表のことを連結財務諸表と呼びます。基本的には、大会社で有価証券報告書提出会社に連結財務諸表の作成義務があります(会社法444条3項)。

さて、M&Aアドバイザー「超初心者向け」講座ですので、今回は①②だけに絞って学びましょう。

貸借対照表を知ろう

貸借対照表というのは、決算時点での企業の財務状態を表します。例えば3月末が決算だとしたら「3月31日24:00時点の資産・負債の保有状況」という一時点の財務状況というのを表しています。下記のような形をしています。

(なんてラフなんだ…)

①流動資産

流動資産というのは、例えば下記のようなものが一般的には含まれます。

・現預金
・受取手形
・売掛金
・有価証券
・棚卸資産
・未収金
・前渡金   etc.

(一部超抜粋ですYO!)

さっそく横道に反れますが、そもそも「財務諸表」というのは、「企業が保有する資産・負債の中で、財産的価値を金額で評価できるものだけを掲載して」います。従って、財産的な価値を金額で評価することができない「人材」「企業ブランド」なんかは、価値はあるものでありながら、財務諸表には掲載されていませんよね。

その財務諸表の中で、財産的価値の疑いようのないものは「現預金」です。

極端に言ってしまえば、それ以外の資産というのは、貸借対照表に記載されている数値の通りの金額ほどの価値があるのかということを疑う目を持つことが大切です。

例えば、「売掛金」。これは今期の「売上」としてすでに当期に計上はされているものの、まだ顧客から回収されていない分の金額のことです。

これって、100%顧客から回収できる保証ってあると思いますか?中には倒産して回収不能になってしまうことも考えられますよね。通常はその「焦げ付き」分も予測してマイナス計上されていることがほとんどですが(貸倒引当金)、「当然、全額回収できるだろう」という性善説は危険です。

また、「棚卸資産」。これは業界にもよりますが、例えば生鮮品を扱う業種であれば、期末時点で腐っていて価値がゼロになっているかもしれない…。それを本来は廃棄しなくてはいけないのに、3月31日時点では「棚卸資産」に計上されたままになっているかもしれない…。なので、貸借対照表の数値通りの価値があるあどうかは疑うべきです。

ひとつひとつ解説していくと永遠に終わらないので、まずは「そういう観点を持つこと」を覚えておきましょう。

②固定資産

固定資産には、一般的に下記のようなものがあります。

・土地
・建物
・構築物
・器具備品
・車両運搬具

(他にも無数にありますよ)

これは、売上に直結するような商品のような資産ではないけれど、商品を製造するために必要となる機械や、本社オフィスビルなど、事業運営に必要となる会社保有の資産を表します。不動産や機械など、物理的にも大きな資産のイメージですね。

ここで「流動」「固定」の違いを説明してしまいましょう。
「流動」というのは、文字通り流動性が高い資産を指します。会計的には、1年以内に現金など別の資産に転換される資産を流動資産と言います(One Year rule)。

例えば、売掛金などは通常サイクルであれば、回収に1年以上もかかりませんよね。同じく、棚卸資産に計上される商品などは、大抵の商品が1年以内に在庫から掃ける(販売される)ことが多いでしょう。本業の商品となるものというのは、基本的には「流動資産」の商品(棚卸資産)として計上されます。

但し、例えば不動産会社など、在庫が大きいものはどうでしょうか?竣工から1年以上工事が続くことなんてきっとたくさんありますよね。これは1年以上在庫として保有するから、「固定資産」に分類すべきでしょうか?

答えは「NO」です。流動資産に計上されます。「1年以内」のOne Year Ruleに従うと固定資産になると思いがちですが、このルールの上位に位置する「正常営業循環基準(Normal operating cycle rule)」というルールが存在します。

つまり、「本業」である不動産事業の在庫として扱われる資産については、たとえ1年以上のサイクルがかかるとしても「流動」分類に区別しましょう、ということですね。

③流動負債


流動負債には、一般的に下記のようなものがあります。

・買掛金
・支払い手形
・短期借入金
・未払い金
・前受金

(流動資産の反対側ですね!)

「負債」というのは「いつか誰かに支払わないといけない金額(もしくは役務などの義務)」のことを指します。

なかでも「流動」負債というのは「1年以内に支払わなければいけない」ものが計上されています。

例えば、買掛金は「売掛金」の反対で、仕入れ先などに支払わないといけない金額ですね。

「未払金」というのは、たくさん種類がありますが、例えば必ず計上されるのは「未払法人税」。なぜなら3月31日時点では、その当期の法人税のキャッシュ支払いは完了していないため、「今期分、これだけの税金を支払いを予定していますよ」ということで流動資産の部に「未払」扱いで計上されます。

④固定負債

固定負債には、一般的に下記のようなものがあります。

・長期借入金
・社債
・退職給付引当金
・リース負債

(まだイメージしやすい?)

「流動」が「1年以内」なのに対し「固定」は1年を超過するものでしたね。

負債(いつか誰かに支払わないといけない金額)の中で、その支払い義務が1年を超えて到来するものは、「固定負債」に計上されます。

わかりやすいのは「長期借入金」。例えば5年間などの期間で金融機関から借入をすれば、「1年以内」の返済が到来する前までは、「固定負債」に計上されます。

これが「1年以内」になったら、「1年以内返済予定長期借入金」という風に、固定負債から流動負債へ区分を変更して計上されます。

資産と負債。そして純資産

今回のテーマはここまでですが、最後に少し補足します。

基本的には、資産というのは、貸借対照表に計上された金額というのは「本当にその価値があるのか?」という疑いの目を持つことが大切ですが、一方で負債というのは「ビタ一文、減ることはない」と考えておきましょう。

前述の通り、「焦付き」や「在庫の棄損」などによって「資産」は価値が目減りする可能性が大いにありますが、買掛金や借入金などの「負債」は、仕入れ先や調達元の金融機関と握っている金額ですので、「払わなくて良いよ~!」と言われない限り、金額が減るということはありませんからね。

今回、純資産については触れませんでしたが、「純資産=資産ー負債」です。

もし、仮に財務諸表に計上されている「資産」が実際にはもっと小さかったとしたら、「負債」の金額は変わらないので、つまり「純資産」は小さくなってしまいますよね。

「純資産」はM&Aにおいては非常に重要なので、また別の記事で書きたいと思います。

本日はここまでです。次回は損益計算書(P/L)について書きたいと思います。

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