【妄想の種】不思議の入り口
仕事を終えて、同僚と歩きながら駅へ向かっていた。
今日はノー残業デー、18時になると社員もパートも皆一斉に仕事を終えて退社し、家路を急ぐ。
その日はどこか生暖かい風の吹く春の陽気で、そんな陽気に誘われたのか、普段は見ない虫たちも飛び交っていた。
目の前を飛ぶその虫たちを払いながら同僚と他愛ない世間話をし、駅へ向かう。
送迎なのか、駅前のロータリーには自家用車や社名ロゴの入った車が列を作り、駅から出てくる人を待っていたり、またはどこかの事務所か工場か、従業員を何人か乗せて来