2024年3月に読んだ本と、春の陽気のもとで過ごす読書時間。
あっという間に3月も最終日。と同時に2024年が3ヵ月も経っていることに驚きを隠せない。3月も慌ただしく過ごしてきたけれど、最近やっと暖かくなり春の陽気を感じられるようになって、ゆるりと過ごせる時間に嬉しさを噛みしめています。3月に読んだ本は、6冊。春の陽気のもとで小説を読む時間がたまらなく心地よかったな~!
鈍感になる練習/齋藤孝
HSPの気質がある私は、時にそれが厄介事を引き起こすきらいがある。考えなくてもいいことまで考えてしまう、ということだ。繊細であることは、例えばこうやって文章を綴ったり感情を紐解いたり共感したりするときには、プラスとして働くけれど、考えなくてもいいことを考えて感情が揺れたり自分以外の事で感情を働かせすぎてしまったりする。最近は後者の方が多くて悩みも絶えなくなってきた。そんな時に出会った本。
具体的な方法は載っていないので(そこに対して低レビューがたくさんあって、私もどうかとは思った)、結局「じゃあどうすればいい?」のかは分からないままだけれど、ほどほどに困っている私自身に対しては意識するだけで少しずつ変わっていくのかなって。つい考えなくてもいいことを考えすぎてしまうときには、呪文のように↑の言葉を唱えています。
HSPは気質なのでそのままでいいんだよ、という本をたくさん読んだけれど、逆にいえばそれ故に困っている部分は理性や意識でコントロールできるようになれば、だいぶ生きやすくなるのではないか、とこの本に出会って考えることができた。「鈍感力」や「スルースキル」は私が今鍛えているもののひとつだ。
ラブ・ストーリーを探して/小出鞠るい
大人な恋愛小説をたくさん書かれている小出鞠るいさんの小説のようなラブストーリーを集めたエッセイ集。ニューヨーク州にあるウッドストックという小さな町で起こる人との出会い、素敵なお店との出会い。そこに在住する小出鞠さんの視点で、季節の巡り、チェーン店ではない小さなお店でのできごと、そこに暮らす人たちとの出会いが、ハッとするような言葉で綴られている。
写真もたくさん掲載されていて、小さな町での美しい暮らしをのぞき見しているような気分になれた1冊でした。
嫌いなら呼ぶなよ/綿矢りさ
何でもない短編集だったけど、面白くて一気読み。「これはさすがに現実社会ではなさそうだな。けど、この感情なんとなく抱いたことあるような気がするんだよな」というような、感情の描写がリアルで、話の大枠はコメディのような、でもなんとなく分かるかも、という話が多くて、読んでいた手が止まらなかった…!
リボルバー/原田マハ
難しいと思って少し嫌煙していたマハさんの本、読み始めたらすっかりファンに。今回の話も本当に面白くて、歴史や美術についてはもちろん、フィクションなのかノンフィクションなのかグレーの部分でのゴッホとゴーギャンの心境や距離を臨場感たっぷりで届けていた1冊。ゴッホにまつわる本かと思いきや、読み進めていくうちに実はゴーギャンの人生や心情を探っていく話であると気づいてから、さらに物語の面白さが加速した。
二人が生活を共にしたアルル、ゴッホ最後の地となったオーヴェル・シュル・オワーズ、最後にゴーギャンがたどり着いたタヒチ、それぞれの街の情景やそこに住む人たちの姿が思い浮かんで、彼らがそこにいる景色を堪能した。生きている間に絵がほとんど売れず、例の耳切事件、生涯孤独、精神を病んで命を落とした、そんなゴッホのことを私たちが「不幸せな人生だったのかな」というのは簡単だけれど、この本を読んで「もしかしたら、ゴッホは幸せだったのかもしれない」と思うようになった。
誰かの幸せ・不幸せは他人が決めるかではない、本人がどう考えているかだなと、読後に思わせてくれた。
本日は大安なり/辻村深月
大安の日、人気結婚式場で行われる4組の結婚式にまつわる話。面白かった!主人公がコロコロと変わって最初は戸惑ったけれど、話が進んでいくにつれてどう結末に移っていくのかが分からなくて夢中で読み進められた。
結婚式って皆が皆幸せな日だと思いがちだけど、さまざまな感情や思惑、戸惑い、不安、新郎新婦以外の周りの人たちの気持ち、感情が交差していて面白かったな…!
白ゆき姫殺人事件/湊かなえ(再)
この小説は5回くらい読んでいるし、映画も見ているけれど、何度読んでも面白いなーと思う。容疑者像が勝手にうわさや印象で広がって膨らんでいく感じとか、味方だよと言いながら実際は単なる好奇心であったりとか、リアルにありそうな人の心情を表現していて、面白半分怖いな~って思う。
春の陽気のもとで過ごす読書時間
最近になって春の陽気を感じられるようになった。外に居てもポカポカ暖かくて、公園で、外の景色が見えるカフェで、朝活として、いろんなシチュエーションで本を読むことができた。
特に私は、春の陽気のもと、公園でレジャーシートを敷いてひたすら読書に耽った時間が忘れられない。遠くに子供たちが遊びまわる声が聞こえて、心地よくなるとその声がだんだんと遠くなり、目の前で読んでいるストーリーに入り込んでいく感覚があった。そしてハッと視線を上げると、視線の先では、子どもたちが走り回っている。本に視線を戻して、また本の世界に浸っていく。これを繰り返すだけで、何とも形容しがたい心地いい時間を過ごすことができた。
本を読むことは、次元を超えること。現実と物語の世界の境界があいまいになって、ハッとして現実に戻る瞬間が好き。それはなかなか、本以外では感じられないことじゃないか。じっくりと本を読むときにだけ得られる時間の流れ。そんなものが、心地いい。
4月もたくさん春の陽気のもとで読書を楽しみたいな。