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【小説】宝塚のトップスターを好きになりました

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宝塚歌劇団に関するエッセイ風小説を書いています。 主人公が宝塚歌劇団のトップスターを好きになり、ファンとして活動していく中でさまざまな人たちと出会っていきます。 そして1ファ…
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#愛してるよ宝塚歌劇団

推しの退団ー宝塚トップスターとの別れー

推しの退団ー宝塚トップスターとの別れー

「椿さーーん!」
「いままでありがとうーーー」

キャーという悲鳴の向こうに、手を振りながら歩いてくる真っ白な人。
ファンクラブという鉄壁の人垣に守られながら、その人は最終地点まで向かっていく。

「椿さん!私たちはいつまでも忘れませんーーー!」
ファンクラブ幹部の号令とともに、朝から並んでいたファンクラブ会員がいっせいに叫ぶ。

「いままでありがとうございました」
彼女はそう大きくない声を発しな

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前方席の一撃 ー古参ファンAさんの場合ー

前方席の一撃 ー古参ファンAさんの場合ー

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二幕のショーが始まった。
今回が初演になるこのショーは、前評判が高く自然に期待値もあがる。

幕開けから煌びやかな衣装を身に着け、トップスター「聖夜 椿」が登場だ。
驚くほど細い体に小さい顔。それに長い両手を大きく広げながら、悠然と真ん中に立った。

近い!も、ものすごい近い。

急に息苦しくなって、気づくと喉がごくりと鳴った。

(息をのむってこのことだ)
本当に息が飲

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古参ファンとおばさまの存在ー宝塚のスターを育てるということー

古参ファンとおばさまの存在ー宝塚のスターを育てるということー

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舞台の幕が降りた。

私はおさまらない高揚感とはうらはらに、ぐったりと重くなった身体を感じながら椅子から立つ。

「このあとお茶でも飲んでく?」

Aさんはそう誘ってくれた。

このあともう一公演ある。
まだ出待ちには行かなくていい。
Aさんにはいろいろ聞きたいことがあった。

私にとってこれはチャンスと言わんばかりに前のめりで
「行きます」と言っていた。



劇場内

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はじめてのお手紙渡し

はじめてのお手紙渡し

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終演後のお楽しみといったら『出待ち』
この日は2回公演の日。

宝塚の舞台は幕が降りるとあわてて走り出す人が数名かならずいる。
これは出待ちに向かうファンだ。

私もこの日初めての「聖夜 椿」の出待ちだ。
ファンクラブ会員は、楽屋口に来た順にきっちり並ぶことになる。
終演後にのんびりしていると、完全にこの波に乗り遅れてかなり後方から眺めることになってしまうのだ。

とはい

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はじめてのヅカ友との出会い

はじめてのヅカ友との出会い

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椿が楽屋口から出てくるまでに要する時間は、その日の状況によって変わる。

その日に来ていたお客様の対応やそのほかいろんなことがあるのだろう。事情を知らないファンクラブの一般会員はいつ出てくるかわからないスターを待つ。

ファンクラブの幹部スタッフなど重要な役割を担っている人には、それぞれ連絡手段を渡されていて中の状況は把握できているらしい。スターは必ずファンクラブ代表と一

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熱心な宝塚ファンとは

熱心な宝塚ファンとは

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はじめてのヅカ友ができた。
とは言ってもまだ一度会っただけなのだけれど。

私にはいままでこういった会に参加しても仲良くなった人はいなかった。
たとえば以前の贔屓でファンクラブ活動をしていたとき。
お茶会の席で隣通しになったとしてもその場限りで話して終わり。
本当にうわべだけ、その場かぎりのおつきあいだ。

それは私が以前のファンクラブで大した活動をしていなかったことに起

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宝塚観劇は現実世界からのトリップー幻想と現実のはざまでー

宝塚観劇は現実世界からのトリップー幻想と現実のはざまでー

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宝塚の舞台を見ているとき、ふと現実世界から離れる瞬間がある。
幕が開き10分ほど舞台に集中していると、あっという間にその時代へトリップしている。

このトリップしている時間は、なんてことない人生を生きている私にとって最大の癒しだ。
ものすごい忙しかった仕事が終わってほっとしているとき。
現在進行形の難題に取り組んでいるとき。
週明けからもっと忙しくなることがわかっていると

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超前方列の端から見た景色ー宝塚大劇場ー

超前方列の端から見た景色ー宝塚大劇場ー

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7列目下手ブロック。
それが今回の私の席。

7列目、といえば前回は中央ブロックに座ったが今回は下手。
チケットの金額としては中央ブロックよりお手頃価格なのに7列目なのだ。
端とはいえ下手側に来た時見えるだろうとか、銀橋に来たらみやすいだろうなとか。

そんなふうにお気楽に座った当時の私は、ここで現実を見ることになる。



この公演を観劇するのはもうこれで3回目になる

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宝塚のスターに渡すお手紙を書くときの心得

宝塚のスターに渡すお手紙を書くときの心得

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出待ち。
この日の出待ちはかなり早く並ぶことができた。
まだ天使さんも見当たらない。

午後は貸し切り公演だったため、観劇をせず時間をつぶしていたからだ。
こんな感じで時間があるときはキャトルレーブ(グッズ販売)を見たり花の道でご飯を食べたりのんびり過ごす。

こののんびり時間にやることといえば「お手紙書き」

お友達になった天使さんから言われていた「カンタンでいいんだよ

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入り出の常連さんとヅカ友ーファンクラブの噂話ー

入り出の常連さんとヅカ友ーファンクラブの噂話ー

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椿へのお手紙渡しが始まった。
いつものように深々とかぶった帽子から真っすぐな口元が見える。
もともとクールな顔立ちで、愛嬌があるタイプではない。
無表情で黙々とお手紙を受け取る姿は、絶対になにかしでかすなよ、という無言の圧力に思えてくる。

お手紙渡しの列には必ず常連さんが並んでいる。
それもいつも先頭に。

このあたりに住んでいる常連さんたちは、舞台を見ない日も入り出に

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ファンクラブを楽しく活動したいのならーヅカ友からのアドバイスー

ファンクラブを楽しく活動したいのならーヅカ友からのアドバイスー

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食事がどんどん運ばれてくる。
カジュアルなイタリアンとはいえ、一品ずつ頼めばまあまあ金額がいくものだ。

澪と璃子はお酒も飲むが結構食べる。
その割に身体が細いのは、宝塚のファンで追っかけに近い活動をするには体力がいるからだろう。

たとえば入り出の待ち時間。
スターさんが現れるまでに1時間以上待つのはザラ。しかもひざを曲げたままかがんでいるのだ。あのかがむって意外としん

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お茶会初参加で最初の失敗

お茶会初参加で最初の失敗

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金曜日。
あれからもう一週間たつ。

前回の観劇では新しく澪と璃子というお友達もできた。
お友達といってもいいのかわからないが、食事に行った仲なのだから大丈夫だろう。

私は澪と璃子には年も近いせいか、気を許せるような気がする。
まだ出会ってほんの少しだけど、お友達になる予感っていうのかな。
今週も2人は来る。なぜなら土曜日は椿のお茶会があるから。
入り出とお茶会できっと

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貢献度と席順の現実ー宝塚のお茶会ー

貢献度と席順の現実ー宝塚のお茶会ー

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お茶会のテーブルはそれぞれアルファベットと数字で表記されていた。
かなり広い会場なので、どうもブロック分けされているらしい。

そのブロックの何番テーブル、ということだ。
私はもらったチケットを凝視した。何度も見た。けれど、その謎解きみたいな数字の意味がさっぱりわからない。

すると会場入り口付近に人だかりが見えた。
(なにやってるんだろう・・・)

近づくと、座席表が大

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宝塚のお茶会あるあるの風景

宝塚のお茶会あるあるの風景

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お茶会が始まった。
いよいよ椿の入場だ。

広い会場は扉で閉ざされた空間になっている。
そこへおおげさな音楽が鳴り響くと同時に、後ろの中央扉が開いた。

そこにはスラっと長身に小顔の椿がいた。

私の席からはとっても遠かった。
後ろとはいえ中央と端ではかなりの距離がある。

(やっぱりね)

と少しがっかりしていると、なんと椿がこちらのブロックに向かって歩いてくる。

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