【創作】アダージョ 高校生編 第8話
どうして、奏真。どうしてそんなニ箏が弾けるの。
4人で第一箏とニ箏の担当を、回によりミックスした「龍歌」。お母さんと優先生の「龍歌」は、一箏でもニ箏でも鳥肌が立って、目が潤んでしまう。
奏真の第一箏もさすがだった。「龍歌」の主役が龍だけじゃない。龍が悠々と飛び交う自然の端までが目に見えるような、広大な演奏。奏真ならではの「龍歌」だ。
だけど、3日目にお母さんと合奏する奏真の第ニ箏を、稽古場で聴いて胸が張り裂けそうだった。迷って、孤独で、行き場を無くした不安でいっぱいの龍