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感傷的なマトンとフメリ・スネリ
水曜日、禁酒をついに破ってしまった。実はここ一週間以上、主にお財布事情と健康上の理由からアルコールを控えていたのだ。実は、突然スパイスレモネードなんかを作り出したのもその一環だったのだ。
しかし、その日ばかりは飲まずにはいられなかった。それくらい、悲しいというよりは悔しいことがあったからである。
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開けたのは2019年のシャトー・ティヴァン。自分でこんなワインを買うほど凝ってはいない。結婚パーティーの貰い物だ。こんないい酒を、こんな日に開けたくはなかった。
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このシャトー・ティヴァンを、僕はスーパーで割引シールが貼られていた、不釣り合いな、元値からしてめちゃくちゃ安い惣菜をつまみに痛飲する。呑んでいるうちに心は癒され、もっと美味しいものへの欲求が目覚める。
今日は食べないけど、せめて明日の自分の生き甲斐となるような料理を作ってみよう。
これがオーストリである。材料は玉ねぎとにんじん、それと牛肉がデフォルトとして定番らしいんだが、今回はこんな感じにアレンジ。
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牛肉600g→マトン400g(これはこないだのマトンドピアザの余り)。
じゃがいも→300g追加(肉が減った分の補填+にんじんを一本に減らした分の補填)。
じゃがいもが入ると輪をかけて東欧っぽさが増すよね(偏見)。
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ビールでマトンを煮る。これはアレンジらしい。まるでイギリスかアイルランドの料理みたいだなあ。
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トマトを入れ、最後の最後にフメリ・スネリを大さじ1入れる辺りはなんだか、使い方がガラムマサラっぽいなあ。
そして、通常ではこの状態で2時間煮詰めるのですが。
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ここで登場したのがこの、大同電鍋である。実はこちら、10月末に壊れた炊飯器(大学時代以来なんと15年間、一切故障を起こさず稼働してきた)の後継機として導入された白物、いや代物である。これの内鍋に放り込んで、2時間煮込む。
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すると、こうなる。たいてい赤茶色い料理は美味しいのだ。それはなぜか。大地の色といきものの体を流れる血の色が混ざっているからである。そして、食べた人間にこの大地の上で生きていこう、という力をくれる、からである。大地に足のついたたべものと、自分は勝手に思っている。
そして、料理(それも作り置きのおかず)をすると自然と心も明るい方向へと引っ張られると気付いた。それを美味しく作れば作るほど、明日、そしてその後日の自分が美味しいごはんを食べられる、ということだから。だから自分は当日食べるものは当日に作らない。そうすれば、少なくとも明日までは希望を持って生きられる。
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今日も同じだ。ジョージア料理はどれも、米に合う。マトンは驚くほどによくほぐれて、ホロホロになっていた。とてもおいしい。また作りたい。
このオーストリを料理し、そして食べたことで、自分も感傷から解放された。失ったものを、もう悔やまない。
料理をすること、それがいつも力をくれる。