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わたしの履歴書(6)出戻り、そしてモラトリアムへ


会社情報

 業  種:教育施設(公立ミュージアム)
 職  種:学芸員補助
 規  模:約10名
 在籍期間:1年3か月(期間限定) 

これまでの経緯

 システム開発、ミュージアムのおねえさん、学芸員補助を経て、オーケストラ事務局で広報を担当することになったものの、心身共に疲れ果て、あえなく退職。

ミュージアムへ出戻る

 意気揚々と始めた仕事に挫折して以来、すっかり自信を喪失し、自宅でごろごろする日々。実家暮らしのため日々の暮らしには困らないものの、30歳を目前にして、どんな仕事をしたいのか、どうやって生きていきたいのか、何が何だか分からなくなっていました。
 これからどうしよう。どうすればいいんだろう。

 ただなぜか、オーケストラ事務局のすぐ前に勤めていた、公立ミュージアムに戻るのではないかなという直感が湧きました。こういうのって、当たるんですよね。私は頭で考えるより、直感に従って生きたほうがいいのでしょう、きっと。

 予想通り、公立ミュージアムに舞い戻りました。私が失業した時期に、たまたま欠員が出るなんて奇跡です。今回は学芸員補助ではなく、総務・庶務担当者の補助。業務内容は特に難しいものでもなく、学芸員補助の頃から見ていましたし、周囲はみな知った顔。安心の日々と共に、失ってしまった自信もよみがえってきました。今度もまた非正規で任期は決まっていますが、例外的に1年3か月お世話になれるとのこと。
 ・・・今後のことは、この1年余で考えればいいか。

すべての経験に無駄はない

 業務内容は事務一般。展覧会の監視員の給与計算や、展覧会の前売券をプレイガイド(ああ、懐かしい。いまや死語ですね。)に卸しに行ったりもしました。オーケストラ時代も同様のことは行いましたが、日時や座席がピンポイントで決まっているコンサートに比べ、数か月の会期中はいつでも観覧できる美術展は、同じチケットでもなんと気が楽なこと。

 また、ミュージアムのロビーでコンサートが行われた際は司会を仰せつかり、出演者の入退出の管理を行ったり。いずれもオーケストラ時代の経験が生きてきます。どんな経験も決して無駄になることはないと、つくづく思いました。

 また、他館の展覧会を無料で見ることができたのは、実にありがたいことでした。展覧会のポスターを館内に貼る代わりに、全国各地のミュージアムから展覧会の招待券が届きます。スタッフはそれを自由に使ってもよかったため、多いに活用させていただきました。

 休日に展覧会を3、4館はしごする、なんてこともたびたびで、ジャンルや好みを問わず、浴びるように美術作品に触れられたことは、どれほど大きな財産になったことか。美術作品だけでなくミュージアムの施設本体や建築物についても、自分なりの審美眼が培われたと思います。

そしてモラトリアム

 ミュージアムの職員の方とは旧知の間柄で、仕事面でも信用して頂いている。仕事内容にも無理がなく、展覧会めぐりもできる。私にとってはこの上ない仕事です。その一方、任期がある、給与はアルバイト程度であるという現実が立ちはだかります。市職員になったとしても、ミュージアムに配置される可能性は低く、学芸員になるには大学で勉強し直さなければならならず、非常に狭き門だと聞いていました。残念ながら、そのような時間的、経済的余裕はありません。

 周囲は結婚ラッシュでしたが、私には決まった相手もなく、親や親戚からやんわり圧力をかけられても、自分が結婚している姿がどうしても想像できませんでした。

 最初の転職には切迫感がありますが、1度経験すれば免疫ができてしまいます。転職に抵抗感がなくなり、無職の焦りも薄れてきます。親から独立を催促されることもなかったため、ぬるま湯につかったように実家暮らしを続け、今後を決めきれないまま任期は終了。モラトリアム期間へ突入しました。

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