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世界を救ってきた言葉と音 #4 スピッツ「波のり」
長いキャリアを持つ「スピッツのベストアルバムは?」という問いほど難しいものはない。グランジ・オルタナ感が強い初期のヒリヒリした作品群が好きな人もいれば、「ロビンソン」以降のヒット曲連発時代こそ至宝という意見もあるだろうし、なんなら今のスピッツが…というファンもいるだろう。まぁ、どの時代も最高なのがスピッツなんですけども。
そんな中、アルバム「惑星のかけら」(1992)に収録された「波のり」は、そ
世界を救ってきた言葉と音 #1 Fishmans「IN THE FLIGHT」
Fishmansの7枚目にして、最後のオリジナルアルバム「宇宙 日本 世田谷」(1997)に収録。作品全体で見れば、シングル「MAGIC LOVE」やライブ定番曲「WEATHER REPORT」などと比較すると、やや地味な曲ではある。しかし、弱々しく着地点を見つけられないままの佐藤伸治の歌声が、奇跡的なフレーズを奏でる瞬間の「静かな高揚感」といったら…!
ドアの外で思ったんだ
あと10年たった
記憶をなくしながら生きること。映画「万歳!ここは愛の道」に寄せて
嫌な記憶をすべて忘れてやり直したい。誰であれ、生きていれば、そんなことを思うことは少なくない。事実、忘却機能は人間の防衛本能でもある。辛い体験や、ショックな出来事などを、そのままの強度でずっと受け止め続けられる人はいない。いたとしたら、きっと生きていくことは……。映画「万歳!ここは愛の道」は、監督の⽯井達也(現・達上空也)が、2年分の記憶を失ってしまった彼女との関係を撮り続けた、嘘のような本当の、
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