chen_mingxi

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最近の記事

キャッシュレスへの鍵(其の一):ポイント連携とワンストップ化

中国でAli PayやWeChat Payの実店舗決済が展開された当初、「xx元支払いでyy元値引き」の様な大々的な還元キャンペーンで、消費者を引きつけていたことを思い出す。つまり、記事の様にキャッシュレスが大幅なコスト削減につながるのであれば、その削減分をポイントの様な形で消費者に還元することで、キャッシュレスの習慣を形成するのは自然なロジックではないだろうか。たとえ初期はポイント還元コストが先行しても、AlibabaやTencentの様に「投資だと割り切る」思い切りの良さ

    • 「コネクテッドカーナビ」と「コネクテッドカー」は違う

      両者を混同しているところがあるのでは、と憂慮する。ここでいう「コネクテッドカーナビ」とは、今までカーナビが持っていた地図機能やエンターテイメント機能をインターネットに繋ぐことでよりリッチにする、まさに記事にあるような「カーナビのスマホ化」である。しかし、これなら「スマホを使えばいいじゃん」という話になりかねず、実際にそうされているユーザー方も多いのではないか。 一方「コネクテッドカー」の概念は、自動車の「走る・曲がる・止まる」の、より根幹に位置するものと認識している。例とし

      • 2018展望:「音声コンテンツ・SNS」の台頭

        推進要因は無論、AIスピーカーと音声アシスタントである。ネットビジネス競争が根本的には「ユーザー時間」の競争であるとすれば、「画面を触る時間」がすでにレッドオーシャン化している中、「手が塞がっているが聞ける時間」はまだ有望なブルーオーシャンと言えるのではないか。実際にAIスピーカーで「ラジコ」を聴かれる方も多いと聞く。 具体的には下記サービスが期待される。 ・Podcastのような個人作成音声コンテンツの復権(音声Youtubeもあり得るのでは) ・音声SNSの出現(ブ

        • 2018展望:エチオピアで消費財が離陸か

          JTとユニクロの大額投資(日経リンク)はすでに周知のところだろう。エチオピアは消費財において、生産国と消費国の双方において有望と思われる。その要因の参考となる情報を下記集めてみた。 ・人口が1億人以上と多く(外務省リンク)、廉価労働力と潜在的な消費財需要が巨大 ・大国故に、資源を集中したインフラ整備を進めており、都市化と中間層増加にも寄与(東洋経済リンク) ・(内陸国であるが)紅海・インド洋に近く、欧州、中東、東アジア三方を見据えた展開が可能(wikipedia) 一

          技術がブラックボックスを「開ける」可能性も存在

          議論が単方向ではもったいない。技術により「暗黙知」を可視化し、コンプライアンスの枠組みに収めることも可能かつ喫緊ではないだろうか。のぞみの重大安全インシデントは、現場の「暗黙知」に基づく伝達や判断だけでは、大きな抜け穴があることを曝いた。また、従業員の高齢化や人手不足がリスクをより増大させる。 さらに、神戸製鋼所の偽造スキャンダルでは、(規制の合理性は別として)現場には基準を捻じ曲げる「暗黙知」が数代の社員間で「引き継がれていた」ことが伝えられている。 IoTとビックデー

          技術がブラックボックスを「開ける」可能性も存在

          2017備忘録:大企業の意思決定が遅れる理由

          (神戸製鋼所スキャンダル始め、企業統治が脚光を浴びた年と思われるので、下記他サイトでの投稿ですが、転載致しました。) --- 重要原因は3点と思われます。 1)株主に指名された取締役会による一元化された統治が出来ていないこと、その背景として依然銀行依存で株式と債券による「直接金融」が不十分であること(金) 2)社内各級役職の権限・責任、特に情報報告の流れが、制度化されていないか、制度が形骸化していること。背景として社長などトップ層の任期が短いことも関係する(組織)

          2017備忘録:大企業の意思決定が遅れる理由

          イオン・三越伊勢丹:共に「新中計」で欠けるモノ

          思想観点では「他山の石」「消費者観点の自社の強み・使命」と「縮小受け入れる勇気・戦略」、事業観点では「実店舗」と「クレジットカード」ではないだろうか。イオンの「店舗じゃない部分への投資」(リンク・日経記事)や、三越伊勢丹社長の「(三越日本橋店の)リモデル(改装)が失敗しても大丈夫」発言(リンク・ダイアモンド記事)に現れている。 両社中計のロジック(リンク・両社中計資料)を拝見すると、業績不振の原因となる「環境変化」と「組織体制」を整理し、それぞれに対して「対症療法」的に施策

          イオン・三越伊勢丹:共に「新中計」で欠けるモノ

          楽天参入:電波割り当て時点で勝ち

          素朴な視点だが、アメリカならオークションで数千億円の価値がある電波(リンク1)を、割り当てによって毎年数十億円(リンク2)で利用する権利を獲得する。その上、5G時代になれば、同じ帯域でより多くのデータを送受信できるため、さらに価値が高まる。故に、ひとまず電波割り当てを受けさえすれば、勝ちなのである。電波割り当て制度を狙い撃ちにした、巧妙な「ホラ吹き戦術」といえよう。 より具体的に、割り当てさえ得られれば成功、と言える理由は下記である。 ・当初はユーザが少なくても、楽天が逆

          楽天参入:電波割り当て時点で勝ち

          中国化工:中国の海外買収成功事例要因(続)

          昨日「中国の海外買収成功要因」の投稿に関して、ちょうどFT記事でも、「買収した外国企業と外国人経営者を利用し、中国国内で市場シェアを獲得していく」戦略を挙げていた。実際にそれを可能とするドライバは下記と思われる。 ・中国国内の資金力を糧に、むしろ買収前より大きいフリーハンド・リソースを実行部隊に賦与し、モチベーションも向上 ・中国の豊富な留学帰国人材を活用し、被買収会社と特に中国市場において緊密な連携体制を構築 ・(再掲)成果主義報酬をもとより取り入れているため、高報酬

          中国化工:中国の海外買収成功事例要因(続)

          LenovoとVolvo:中国の海外買収成功事例要因

          クイックな思考メモですが、これら買収の成功要因は下記と思われ、今後の取引でもモデルケースと見なされる可能性がある。 ・価格が(ブランド力に比べれば)もとより安く(VolvoがUSD1.8Bn、Think PadがUSD1.2Bn)、中国国内の政策融資をバックに、買収後もR&Dなどで投資余力があった ・中国で実践した成果報酬と実力人事を持ち込みつつ、中国側は直接の管理者としてでなく「風通しのいいガバナンスを作る」スポンサーとして関わり、人員モチベーションの維持・向上につなが

          LenovoとVolvo:中国の海外買収成功事例要因

          ビットコインバブル沈静化の条件

          言葉を変えるとビットコインに「適正価格」が付く条件であるが、「マテリアルコイン」である外国為替を参考にすると下記があるように思われる。 1)証拠金取引による空売りが本格化する 2)先物市場が設立される 3)ビットコインで値決めされる商品が本格的に流通 4)ビットコインのバリュエーションモデルが生まれる すなわち、1)、2)により上昇片道の投機行動が双方向となる。3)、4)により価値の基準が現れる。 上記条件がすでに存在するのを、ただ門外漢の自分が知らないだけなのか

          ビットコインバブル沈静化の条件

          名刺がなくなる条件

          LinkedInなどが名刺を代替する条件として、クイックに下記がイメージできます。名刺を使う理由が、ビジネス界で統一されたフォーマット(サイズとコンテンツ)であること、名刺情報管理・利用のルールが暗黙で決まっていること、ビジネスマンとしてのマナーであること、と考えれば名刺がなくなる条件も自ずと出てくるのではないでしょうか。 1)ほぼ全てのビジネスマンが使用するハード・ソフトプラットフォームが出現する(例えば皆Linkedinを持っていて、スマホタッチで交換できる) 2)交

          名刺がなくなる条件

          メガバンク中国事業:注力領域の慎重な選別必要か

          日系メガバンクが中国で現地企業への貸し出しビジネスを大きく行うのは、得策ではないと考えられる。先行するHSBCやSCBでさえ、リスク・コストに見合う収益を実現できず、縮小傾向にある。理由は下記。 1)審査や回収の複雑性・コストが日本市場を大きく超えること 2)優良企業は中国系銀行で資金需要が賄えるため、日系に残された顧客はよりハイリスクの可能性が高い 3)人民銀行総裁なども認める様に、マクロレベルでレバレッジが高く、不安要因が高い 4)金利設定の自由度がまだ低い上、資

          メガバンク中国事業:注力領域の慎重な選別必要か

          [3]ビットコインは消えるが、インフラは大きく生きる

          サマリー:BCは矛盾を孕んだ「投機商品」であり、早晩消える。しかし、「投資商品を、売却せずに直接決済に使用する」BC決済の思想・インフラは大きく羽ばたくことが予想される。 ビットコイン(BC)は、「投機(投資)商品」であり「通貨」ではない。何故なら、人々がBCを保有する目的が「円建ての値上がり」である以上、安定した価値尺度は持ち得ない上、(将来の値上がりを放棄する事になる)支払いにあえて用いる動機もない、つまり値上がりすればするほど「通貨としての本質を失う」からだ。その化け

          [3]ビットコインは消えるが、インフラは大きく生きる

          風雲急告げる「脱石油」は本物か

          リンクの記事で取り上げられている、火力発電所の受注急減、ノルウェー主権基金ポートフォリオの石油会社外し、最大産油国サウジの急進的改革。石油ビジネスの最前線に立つ国・企業から、立て続けにニュースが出るのは面白い。ただ、これが構造的なエネルギーみっkのシフトによるものなのか、それとも循環的な実体経済の減速、特に新興国の成長鈍化や、主要産油国の市場ゲームによるものかは、見極めが必要である。 脱石油が、より時間が掛かるものと想定する理由はいくつもある。1)EV普及が予測される中、原

          風雲急告げる「脱石油」は本物か

          GE不振:IoTブームに冷や水

          IoTという漠然としたキーワードを連呼するだけでは、皆納得できなくなったのではないか。より一段階具体的なサービスモデル、収益モデルを打ち出さない限り、もうユーザも金融市場もなびかない。 「インダストリアルインターネット」を大々的に打ち出し、世界トップ10のソフトウェア企業を目指すとしていたGE。多岐にわたる事業を全て「データ」に紐づけることによって、GEならではの付加価値を提供し、コングロマリットである正当性を示す---イメルト前CEOのストーリーは、デジタル部門の縮小とコ

          GE不振:IoTブームに冷や水