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優良顧客の判別と購買傾向の深掘り(1/2) 〜 ”デシル分析”により判別したECヘビーユーザーの購買傾向を探る 〜

こんにちは。データストラテジストの難波です。

昨年末にリリースした「Multi Dimensions」の中から、Behavior Deepdive(消費者一人一人のECなどにおけるオンライン行動の可視化)の分析メニューの一部を実際のデータを集計・分析し、実例と共にご紹介していきたいと思います。

以下全2回に分けて、「優良顧客」の購買傾向を探っていきます。

  • 第1回:”デシル分析”により判別したヘビーユーザーの購買傾向を探る

  • 第2回:“RFM分析”で複数軸を加味した優良顧客の判別と特定商材の購買を探る(3月中旬ごろを予定)

今回は第1回をお届けします。

デシル分析

使用するデータ

今回分析で使用するデータは「Mineds for EC Data」というECの購買データをはじめとする、メール情報から取得されるオンラインでのアクションのデータです。詳細は下記の記事をご参照ください。

このデータを利用することで、複数のECモールを横断した顧客単位の分析であったり、顧客ごとのサイトやブランド間での併利用、といった自社データのみでは難しい顧客分析が可能です。

今回は複数のECモールを横断したECヘビーユーザーを分析していきたいと思います。

デシル分析とは?

デシル分析は、統計分析やデータ分析の手法の一つであり、データセットを10等分してグループを作り、各グループの特性や傾向を調査する手法です。
この手法は主にデータセット内の変数や指標のパフォーマンスを理解し、上位・中位・下位などのグループの違いを把握するのに利用されます。

さっそく、ECの購買データを用いたデシル分析のアウトプットを見ていきたいと思います。

集計方法のイメージ

デシルの指標にする購入金額を顧客ごとに集計し、降順に並び換え、10分割して上位から順に1,2,3・・・10と番号を振って顧客にデシルランクをつけていきます。

20人の顧客にデシルランクを振った例。購入金額の多い順に2人ずつ1〜10のランクを割り当てる。

実データを用いたデシル分析(ECヘビーユーザーを定義)

使用データの定義

  • ソース:Mineds for EC Data

  • 期間:1年間のデータ(2023年1月~2023年12月)

  • デシル指標:購入金額計の降順で10分割

  • 対象チャネル:楽天市場、Yahoo!ショッピングなどをはじめとした計18サイトを対象

  • 集計指標:購入金額、購入回数、利用サイト(ECモール)数、利用カテゴリ(商品カテゴリ)数、年齢、性別

デシル分析結果

<全体傾向>

デシルランクごとの購入金額計の構成比を見ると、上位10%のデシルランクであるデシル1は68.9%を占めます。さらにデシル1+2の合計では82.0%となり、俗に言う「2:8の法則(パレートの法則)」、つまり上位2割の顧客によって8割の売上が構成されている、ということが分かります。

デシルランクごとの購入金額構成比

<個別の傾向>

各デシルに属する会員一人当たりの指標として、金額以外にも以下の指標を集計しています。

購買回数やサイトの買い回り、カテゴリの利用などもデシルランクが上位であればあるほど、高くなることが分かります。また、年齢は上位の方が高い傾向があります。

デシルランクごとの購入金額などの指標

特定ユーザーの購買を深掘りする

特定ユーザーの分析

次にデシル分析によってセグメントされた顧客の購買傾向を深掘りしていきます。
ヘビー〜ミドルユーザーと思われるそれぞれのデシルランク(今回は1〜4のデシルランク)から特定の顧客が何を購入しているかを見て、どのような人なのか、どんな目的でECを利用していそうか、を分析します。

対象者

対象者として、デシル1〜4(ヘビー〜ミドルユーザーとして)以下の4名を選定しました。

  • デシル1(Aさん):30代後半、女性

  • デシル2(Bさん):30代後半、男性

  • デシル3(Cさん):30代前半、男性

  • デシル4(Dさん):30代前半、女性

分析結果

対象者の4名の購買を以下の表にまとめてみました。それぞれの傾向からどのような人なのか、どのような目的でECを利用しているのか考えてみます。

特定ユーザーの購買行動

Aさん:既婚の子持ちの女性。 楽天市場ヘビーユーザーで、ふるさと納税なども活用しながら楽天ポイントを貯めている。食品・シャンプーなどの日用品なども含めて多くのカテゴリでECの利用が見受けられる。

Bさん:ヘアスタイリング剤やお酒・飲料水を自分用に購入している一方、女性もののネックレスや腕時計の購入もあることから、既婚でアカウントを共有しているか、もしくは一部はプレゼント用として購入している。
日常的にECを利用しているわけではないが、単価の高めなものを購入している傾向。

Cさん:iHerbでサプリメントを多く購入していることから、健康に気を使っている、もしくはトレーニングをしている。ふるさと納税は楽天市場を利用している。
特定のサイト・カテゴリにおいてECを利用している。

Dさん:フリマなどでカードゲームやフィギュアなどを多く購入している。趣味用品の購入に限ってECを利用している。

まとめ

以上のように、デシル分析によって顧客に利用状況に応じたランクを付け、それぞれの傾向を深掘りすることによって、どのような顧客が存在しているのか明らかにすることができます。

マインディアは、1人の顧客が複数のサイトを利用しているような場合でもサイトをまたいだデータを取得しており、かつ、購入した商品や、性別や年齢等の顧客の属性のデータも保有しているため、より深い顧客理解のためのデータ分析が可能です。

今回は特定のユーザーの実際の購買データを見ることによって、購買傾向を分析しましたが、それぞれのデシルランクにおいて購入しているサイトやカテゴリのバリエーション等の違いから、ECの利用の仕方や購買傾向の違いが見受けられました。

次回はRFM分析を用いて複数軸で顧客にランクを付けてより購買傾向を深く見ていきたいと思います。

最後に

マインディアでは、ユーザーを軸としてオンラインアクションデータを蓄積、分析可能なサービスを提供しています(Multi Dimensions)。これによってユーザ単位の購買全体からインサイトを得ることができます。サービスにご関心をもっていただけた方は、ぜひ一度こちらからお問い合わせください!

また、次回の記事もぜひご覧になっていただきたく、楽しみにお待ちいただければと思います!

次回記事の予定

第2回:“RFM分析”で複数軸を加味した優良顧客の判別と特定商材の購買を探る(3月中旬ごろを予定)