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おすすめ記事・レビュー

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ここを読んでいっこも興味がわかなければ、残念ながらぼくはあなたにとって価値がない。
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記事一覧

【読書】内田裕也✕モブ・ノリオ JOHNNY TOO BAD

硬派でいく。ウジャジャけた人間は登場しない。 変なかたちの本を読んだ。 内田裕也の対談集「ロックントーク」と、モブ・ノリオの小説「ゲットー・ミュージック」 二冊をくっつけてグラフィティや顔写真で飾って、上からでかいカバーでくっつけた「JOHNNY TOO BAD」。 内田裕也がそもそもよく分からない。政見放送がネタにされていたのと晩年の樹木希林さんとの謎の夫婦関係でしか知らない。 その人を語るのに、モブ・ノリオというまたよくわからない人を介する。 わからん×わからん

ヤラセ番組の汚名をすすげ!クレイジージャーニーVS「酒を主食とする人々」

高野秀行「酒を主食とする人々」を読みました。 この人の本は全部いい。 「面白い」と「人生観変わるほど面白い」と「ある意味おもしろい」の3種類しかないので、全部買ってもいい。 今作ではテレビ番組「クレイジージャーニー」のスタッフとともに、エチオピアの「酒飲み民族」を探す。 子どもも妊婦も、酒ばかり飲んでいるのに健康的にすごしているという、特殊なのに今どきネットの情報が全く出てこない民だ。 旅の目的は、謎の民族と接触して、酒ばかり飲む生活を体験すること。 そして、厳しい時間と

袴田事件という素材を逆転裁判で切り分ける、こたけ正義感の「弁論」ライブ

2025年1月15日まで無料配信中。 まず最前列のお客さんに 「あなたの顔が、映像化されたとき映りこんでもいいですか」 と肖像権の話から始める。 顔が広まることは他人事じゃない。 最前列に座ってない人でも、配信で見てる人でさえ、顔が広まることは嫌なことにつながるのが分かっているから、軽く緊張する。 こたけ正義感という人を見に来たのに、逆に「あなたは見られてもいいですか」と、映画の登場人物に名指しされたみたい。 さいしょに集中させて、そのまま流れるように自己紹介から本編に

元旦にカラマーゾフの兄弟・読破

カラマーゾフの兄弟5巻が元旦に届いた! 年賀状が一通も届かなくて、これ一冊がポストに入っていた。 5巻はエピローグと、ほとんどが解説だったので、本文は…全部読んだ! ハタチまでマンガしか読んだことなかった僕が、 ドストエフスキー、カラマーゾフの兄弟全5巻、読了! 「罪と罰」は下巻に入ったところで止まったから、初めてドスエフ読めた。 他の翻訳では無理だった。亀山訳だから読めた。 あと、しおりに人名がフルネームで書いてるから読めた。 ロシア文学は同じ人を苗字や名前やあだ

2024年の振り返り

今年の記事を読み返したら、俺の書いたもの、タイトルで内容の意味が予想できないしタイトルと関係ない作品のレビューだったりして、読む気がしない。 2月ごろに「デッドアイランド2」という、Xboxゲームパスで海外の人がダウンロードできる暴力ゲームにはまった。 4月にはホロライブの大空スバルがアニメ同時視聴したとき「優しいよね?」って口癖があって好きだと書いている。 タイトルにない兎田ぺこらのドラゴンボールについて書いてる。なんで過去の自分はタイトルと内容が一致してないの?わき道

【ゲーム】「インディージョーンズ大いなる円環」のナチス描写がすごい

ゲームのほうの「インディージョーズ」をクリアしました。 世界の法則を変えるような秘宝をめぐり、ジョーンズ博士が大冒険! ナチスの手に渡らないうちに、先に秘宝を探し出せるのか!? 主観視点のステルスアクションというジャンルに、「こうきたか!」と驚き、戸惑い、やがて喜びに変わった。 しゃがみ歩きで、酒ビンやフライパン、逆に持ったピストルでナチスの背後に忍び寄り、後頭部をヒット!ぼこん!気絶!! ハデな音は出るけどゴアではない。 最新鋭の映像と、昔の娯楽映画のちょっと笑える

新語・流行語大賞を並べると、日本の一年ごとの記念写真を見ているみたい。

ここ数年、誰も知らねーよと言われ続けている新語・流行語大賞ですが、見ていくとやっぱり時代を現わしていておもしろい。 美味しんぼが「究極」で獲ってたり「セクハラ」と「オバタリアン」が同年だったり、今は古い体育会系のイメージがある清原が「新人類」だったり。 「忖度」「想定内」とか、その年を境に、その語句で日本人は思考するようになったってことがおもしろい。 ことばがひとつ脳内にファイリングされると、思考や行動も変わる。 SNSで「ケータイがない時代の皆さんは何かを共有したい

【音楽】捨てないで取っといたアルバム引っ張り出しレビュー「空気公団/融」

2001年の空気公団のアルバム。 仕掛け絵本みたいに表紙に穴があいてて、いい感じな風景写真を見ながら聞く全10曲。本の帯みたいなのがついていて、 信じているさ だからもう何も話さなくていい とだけ書いている。曲のジャンルも、誰それが絶賛とかの売り文句もない。SNSの口コミもない時代。音楽に精通してないと知らないバンドがいきなりのこの仕様。絶対の自信を感じさせる。「聞いてもらえればわかる」みたいな。 1曲目「お手紙」の 「短い短い手紙 僕にくれてありがとう」 からはじま

龍が如く外伝とワンピースの前に、原点の「宝島」の宝は何だったのか読んでみた

ワンピースが終盤だったり、龍が如く外伝のテーマが海賊だったりするじゃないですか。 この手の話は「伝説の宝とはいったい何なんだ!?」ってナゾが重要だけど、そもそも最初の「海賊の宝の地図もの」の宝箱には何が入っていたのか。 原点を知りたくてスティーブンスン「宝島」を読んだ。同作者の「ジキルとハイド」は読めなかったけど、訳も新しくて少年の心で読めた。 原点じゃなかった。 この本以前にも海賊伝説は山ほど、いや海賊に山のたとえはダメか。・・・押しよせる波の数ほどあった。宝島はそれら

【読書記録】ヴァージニア・ウルフ「灯台へ」

文学を学んでいないから、ちゃんとした文章の書き方も、おさえておくべき古典も知らない。 ブックオフでそれっぽいオーラを出してたら「さては古典やな」というのが僕の文学に対する姿勢です。 だから英文学で重要な、ヴァージニア・ウルフという方も全く存じ上げず…。 すごく良かった。 今思えば、ドストエフスキーを読んでたときは無理してた。通好みとされてる音楽や味付けを、わかったフリじゃなくて、 「あ!これ好き」と思ったし、小説を読んでる充実感があった。 ふつうの小説だと主人公の行動と心

【ゲームレビュー】パニック障害になった人が「セレステ」をクリアした

うつ、パニック障害を抱えた主人公マデリンが何百回もリトライして山を登るゲーム「セレステ」。 今さらクリアして、あまりにこのゲームが美しく面白く、夜通しやったせいで指も肩も激痛を抱えてるってのにレビューを書いている。 なぜなら私もパニック障害経験者で、症状は出てないものの薬を常に持つ身。レビューしない手はないのです。山はいいぞ!すがすがしい疲労!今ならXBOXゲームパスでも遊べる!PS5PRO買わないのに高いとか文句言うヒマがあればセレステ山に登れ!しっくりくる方向キーは必須!

【読書日記】「三四郎・それから・門」

「それから」を読んだ。学校で「坊ちゃん」を勧められても読まなかった記憶があるのに、大人になって、自分で読みたいから自分で稼いだ金で文庫本を買って、1日2行しか進まない日もあるけど、少しづつ、自分で読みたいから読むことができた。 読書感想文でもない、作者の考えを読み取るでもない、ただ100年前の人の言葉使いとか、文章が好きだから読んだだけ。 この時代とは人生の長さも、きいてる音楽の速さも違うのに、心地よい会話のリズムが同じなのはなんでだろう、と思いながら。 「それから」は

大空スバルの配信を見ながらスト6の話がしたいんじゃあ!!!

ゲーミングモニターを新しくして、序盤だけでやめていたストリートファイター6を再開した。 やればやるほどシステムが理解できてきて、ギクシャク同じ行動をとっていたキャラが躍動していく。 オンライン対戦で勝つと、ブロンズ、シルバーと肩書きが変わるんだけど、ゴールド帯の戦場を突っ切るまで続けたい。 前作ストリートファイター5のときは、格闘ゲームはだいぶ衰退していて、そのときのウメハラさんの配信と1年後の大空スバルを続けて観ると、高低差でめまいがする。 日本初のプロゲーマーの配信に

すばる7月号を学校の図書室に置こう

すばる7月号を読んだ。 李琴峰さんのアイオワ滞在記が良すぎて共有したいので、ここだけでもカッターで切り取って小冊子にして全国の高校の図書館に吊るそう。 アイオワ大学で、反LGBTQの活動家が講演をすることに、大学生たちが一斉に抗議する。 コールで、アートで。それぞれのスタイルで反差別を態度で示し、近所の車はクラクションを鳴らし、武装警察まで巻き込む騒ぎ。 その一部始終をその場にいるような迫力で記す。 もちろん「楽しい」話ではないけど、日本の学校の冷めた感じを経験したから、学