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【音楽】捨てないで取っといたアルバム引っ張り出しレビュー「空気公団/融」
2001年の空気公団のアルバム。
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仕掛け絵本みたいに表紙に穴があいてて、いい感じな風景写真を見ながら聞く全10曲。本の帯みたいなのがついていて、
信じているさ
だからもう何も話さなくていい
とだけ書いている。曲のジャンルも、誰それが絶賛とかの売り文句もない。SNSの口コミもない時代。音楽に精通してないと知らないバンドがいきなりのこの仕様。絶対の自信を感じさせる。「聞いてもらえればわかる」みたいな。
1曲目「お手紙」の
「短い短い手紙 僕にくれてありがとう」
からはじまって、鼻歌の延長みたいな歌い方で、最小限の言葉と、音の振動を感じるドラムと、ふつうの会話が入っている。
「ふつうの会話が入っている」というのが何かというと、曲の前にメンバーの車中の会話が入っている。
それっぽく録ったのか、本当に会話をずっと録音してその中からチョイスしたのかわからない。
くしゃみの音が入ってたり、高速道路の会話なのか「小銭がない小銭がない」って短い会話のあとで曲が始まったりする。
「たまに笑ってみたり」という曲は「スタジオライブ」バージョンだ。(そうじゃないバージョンがあるかどうかも知らない)
きっちり機械で調整したような音じゃなくて、生っぽい、ライブっぽい音の途中でボーカルが、限りなくNGテイクに近いトーンで
「あれ?」
って声を出す。
そのあとも、ちょっと笑いをこらえて歌っているみたいに聞こえる。
それなのに、いい加減なものづくりをされたとは感じない。
絶妙にメンバーのリラックスした感じが伝わる。もっとプロっぽいきっちりした音源もあるだろうに、あえて1回限りしか出ない「あれっ?」が入ったテイクを収録している。(結局、なんのトラブルの「あれ?」なのかわからない)
それで、再現できない、過ぎ去った楽しい集まりを記録した感じになった。
合間にはいる車中の声も、昔の友達と旅行にいった思い出みたいな余韻を残す。
こだわってる。
やさしくて世代や国籍問わず聞ける声なのに、優しさに隠れた尖りがある。
1曲ではなく、アルバム単位で通して聞かないと世界観がわからない音楽がある。
ちょっと凝ったぜいたくなCD。過去のぼくが手放さないで押入れに残していました。
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