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新年の 鐘つき心 落ち着かせ 夢が叶うと 景色眺めし 

正月早々山を登った。山といっても300メートルにも満たない低い山で、それも頂上ではなく中腹付近までである。理由は中腹にある寺院で鐘をつこうと思っていたからだ。

鐘といえば大晦日の除夜の鐘がすぐ連想できるが、そのタイミングでなくてもつける鐘である。少し急な坂もあったためか、少し息が切れたが、どうにか寺の山門の前にたどり着いた。

「新年早々色々あったな。だけどまだ1年が始まったばかりだ。まずは心を落ち着かせよう」誰もいないことをよいことに声に出す。2024年にはぜひかなえたい夢があった。もちろんその夢実現のために、前の年から努力を続けている。
「口には出せない、成就するまでは」そう心にとどめていた。だから夢の内容は本人以外はだれもわからない。

大きく深呼吸をして門をくぐろうとすると、左右の金剛力士像がにらみつけていたが、門をくぐって振り返ると今度は風神と雷神が睨んでいる。

「素敵な彫刻だなあ」一瞬足を止めて像を見た。それから最初に向かったのは鐘楼である。「同じようなこと考えている人がいるのだろうか」数人が列をなしていて鐘を撞(つ)こうと順番に待っている。

待っている間何度も深呼吸をした。願い事なら本堂に鎮座する本尊に対してするものだ。だが願い事ではない。むしろ新しい年を前に自らを奮い立たせつつ、決意表明のつもりで鐘を撞こうと考えていたのだ。

順番に鐘の音が響く。全国で4番目に大きいという鐘だけのことはあう。鐘の響きにどことなく重みがあった。新年の決意表明にはまたとないアイテムだ。改めてそう思う。

そしていよいよ自分の番が来た。ここでもう一度大きく深呼吸する。鐘に一礼し合唱した。そして鐘を撞くために撞木(しゅもく)と呼ばれる棒についた紐を持つ。一度は鐘ギリギリのところまで撞木を近づける。そこからもう一度ひもを引っ張った。そしてそのまま紐を持っていた力を抜くと、鐘に撞木が突撃する。直後に大きな音がゆっくりと響いた。

無事に鐘が撞けたのだ。近くにいるからか魂を揺さぶるような鐘の音が全身を覆った。それを体で感じた時、「よし、今年は夢が叶う」そんな気がしている。こうして本堂に向かうが、その前に先ほどの山門をもう一度見た。山の中腹にある寺院だ。門からは眼下に広がる景色が見渡せる。そのとき思わず短歌を口ずさんだ。

新年の 鐘つき心 落ち着かせ 夢が叶うと 景色眺めし
(しんねんの かねつきこころ おちつかせ ゆめがかなうと けしきながめし)

今日の記事「富田林の願昭寺にある全国4位の鐘の響き」を参考にしました。

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