旧杉山家住宅 ~寺内町で最も古いとされる重要文化財~
1日休みましたが、引き続き富田林の寺内町シリーズです。富田林の寺内町全般については先日紹介した通りですが、その時にあえて紹介しなかったのが旧杉山家住宅。今日はその案内です。
先日紹介した寺内町全体についてはこちらをどうぞ。
寺内町には古い建物が残っていて、重要な物には案内板がついています。ところがそのなかでも旧杉山家住宅は別格。なぜならばこれが寺内町に現存する建物で最も古いとされ、かつ国の重要文化財に指定されているからです。
古い住宅の中には子孫など、個人所有のものが多いです。そのため多くの建物では内部の見学ができません。しかし旧杉山家住宅は、現在杉山家のものではなく富田林市が所有管理。したがって入館料を払えば内部が見学できます。
ちなみに現在の敷地は430坪。町の一区画を占める大きな屋敷です。
これは1階の部分。建物は17世紀中ごろの建造です。室町時代の寺内町創設にかかわった富田林八人衆のひとりが杉山家。代々当主は「杉山長左衛門」と名乗っていました。
杉山家は木綿問屋をやっていたとされますが、はっきりしていません。ただ、江戸時代初期の1685(貞享2)年に酒造株を取得。この住宅内で酒の醸造が開始されます。
30石からスタートした酒造りの量が年々増えて行きました。最盛期には1103石まで成長したと記録があります。明治時代まで作られていたようですが、やがて廃業しました。
ふすまにはいろんな絵が描かれていますが、撮影禁止のものが多く、ここでは紹介できません。その中でも特に存在感があったのは、文化・文政時代に狩野散人杏山により描かれた大床ノ間の松の絵です。
ひとつひとつ説明がありました。ここは奥座敷ですね。
また座敷から外に出ると庭が見えました。
ゆったりとした時間が過ごせ、時間がたつのを忘れてしまいそうです。
この旧杉山家住宅には面白い情報がありました。実際とは左右が反転しているそうですが、アニメ作品「涼宮ハルヒの憂鬱」の第23話「涼宮ハルヒの溜息Ⅳ」に登場する鶴屋さんの実家のモデルとされます。
左側に見えるのは杉山家に伝わる太鼓。すでに破れていますが保存されていました。
そしてここはミュージアムなので、日によっては特別展があります。この日がちょうどその日。それが右側に書いている物「浪花千恵子展」が行われていました。
個人のコレクションを期間限定で展示しています。
(2021年4月25日まで)
大正末から昭和の中頃まで女優として活躍した浪花千恵子さん。彼女の出身が、大阪府南河内郡大伴村大字板持(現・富田林市東板持町)というのが縁だったようです。
釜屋の部分も残っていました。ここでは富田林寺内町に関する映像作品が見られます。
旧杉山家住宅の母屋は2階建ての建物。2階部分に上がると。
貴重なものを展示している史料館のようになっています。その中でも気になるのが、重要文化財指定書。
国宝とか重要文化財は全国にありますが、こうやって国から指定書のようなものをもらうんですね。
2階からの様子です。実はこの旧杉山家住宅には、明治時代の歌人「石上露子(いそのかみ つゆこ)」の生家でもあるとか。それについては明日以降に紹介しましょう。
旧杉山家住宅
住所:大阪府富田林市富田林町14−31
電話番号: 0721-23-6117
開館時間:10:00~17:00
入館料:大人400円、15歳以下200円、団体(20人以上)は2割引
定休日:月曜(月曜が休日にあたる場合はその翌日)、年末年始
アクセス:富田林西口駅から徒歩7分、富田林駅から徒歩8分