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冬空で 限定サンド 無事確保 食べし浮かぶは 冷や麦の怪

「ようやく手に入れられた」念願のものが手に入れた時の喜びは、冬の寒さも吹き飛んだほどである。この情報を聞いて手に入れるまで3か月近くかかったからだ。

火曜日と金曜日にしか販売していない特別なサンドイッチ。
限定品に弱い人がお店の近所に多く住んでいるためか、すぐに売り切れてしまうという。それだけではない。火曜日と金曜日に限っていろんな用事があったため、気にはなっていたが中々行くことができなかったのだ。

だが、そのもやもやとした日々はついに解消された。この日ついにサンドイッチを手に入れることができたのだ。
「これが、トーストで食べるとおいしいという噂の食パンだな。確かにおいしそうだ」と思い、食パンもついでに帰って家に帰ってさっそく食べる。
4種類ほどのサンドイッチは具がしっかりと入っていてどれもおいしいのだ。

「さあ、書くぞ、締め切りまであと10日」趣味で小説を書いている。今度「冷や麦」をテーマにした小説を募集していたのでそれに応募しようと思っていた。とはいえ冷や麦は夏に食べる物、だから冬の寒さの前に、なかなか思い浮かばなかったのだ。

ところが今回念願のサンドイッチを食べていると、なんとなく浮かんでくるものがある。
「うーんこのサンドイッチと一緒に買った食パンの白さ、うん、そうだ怪人だ。怪人はそう、パンから誕生する。真っ白なパン怪人は支配下に置いているパンだけに飽き足らず、同じ小麦を原料とする冷や麦に対しても自らの管理下に置こうとコントロールを試みた。
だがそれに対して抵抗する勢力こそが、冷や麦の世界にいる主人公だ。よしよし、だったら『怪人制御冷や麦』というタイトルにしようか」

そうひとりで想像の世界ににやけながら、わずかに残ったサンドイッチを食べる。最後までおいしかった口の中に広がるパンの風味と具材の味わい。思わずうっとりとしたところで上機嫌になると、思わず短歌をつぶやいた。

 冬空で 限定サンド 無事確保 食べし浮かぶは 冷や麦の怪
(ふゆぞらで げんていさんど ぶじかくほ たべしうかぶは ひやむぎのかい)

今回は、毎週ショートショートnoteの企画に参加して短編小説を書きました。(お題:怪人制御冷や麦

ちなみに今日はこちらの記事「富田林で火金のみ超こだわりサンド販売」をモチーフにしています。

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