蛍見る 口実に呑む 美味し酒 光の乱舞 初夏の風情
「駅から近いのに蛍が見えるのか」驚く友達を誘ってきたのは夜の駅近くだ。飲み屋街とは違うところ古い街道沿いにある酒蔵である。日本酒の酒蔵がある町などそう多くないのにさらに驚くのは、その前の川で初夏になれば蛍が乱舞するという。
さらに、その蛍を眺めながら酒を料理が味わえるというのだから、究極の宴が楽しめるのだ。
「予約特等席付きの会席弁当は夕方かららしいが、20時を過ぎると一般でも入れるんだ」驚きのあまり大きな眼を左右に動かす友達に思わず口元を緩ませて得意げに語る。マウントをとっているつもりはないが、いつもとる人はこんな優越感に浸るのかな、などと思いながら会場に入った。
キャッシュオンデリバリーで日本酒と肴を購入する。前方の席は予約の人用だが、手前の席は自由に利用できた。その場所からでも明らかにホタルのものではと思われる一筋の光が次々と現れては消えるのが見える。
「おい!こぼすなよ」驚きのあまり日本酒をこぼしそうになる友達に注意しながら、酒を口に含む。口の中からほのかに広がる米の香りとアルコールを含んだ旨味が至福の時を迎える。そのまま喉の奥に流し込めば、喉が少し温かくなり火照った。そしてまた視界から蛍の筋が過ぎ去る。相変わらず驚いている友達を横に今年も初夏の風情を存分に楽しんだ。
蛍見る 口実に呑む 美味し酒 光の乱舞 初夏の風情
(ほたるみる こうじつにのむ うましさけ ひかりのらんぶ しょかのふぜい)
今日の記事「河内長野の天野酒で鑑賞するホタル」を参考にしました。
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