卯月から 一足早く 泳ぐ鯉 風になびけば 生き物のよう
「しかしさ、世間より動きだすの早くねえか」
「ええ、真鯉、上から何を言ってんの!」
「ああ、緋鯉、だってそうは思わねえか、世間はまだ卯月、4月だぜ、俺たちは皐月の序盤に活躍するはずじゃねえのか」
「それは、そうだけど...…」
~数秒間の沈黙が流れた~
「おい、緋鯉、何黙ってんだ。俺、変なこと言ったか」
「い、い、いいの、真鯉、だって私たちって、元の主から」
「あ、ああ、確かにな、人間界では寄贈っていうんだっけ、そ、そうだよなぁ」
「ま、真鯉さん、ごめん、変なこと言って」
「い、いいんだ。緋鯉、俺のほうがどうにかしていた。そのまま放置されたり、ごみに焼却されるよりは、ずっとましだ。ここには同じ境遇で集まった多くの仲間がいるからな」
「そ、そうよ、今日は風が強いから気持ちいわね。真鯉さん」
などと、4月から河川敷で掲げられる鯉のぼりがつぶやきながら靡いていたら面白いなと思った。
卯月から 一足早く 泳ぐ鯉 風になびけば 生き物のよう
(うづきから ひとあしはやく およぐこい かぜになびけば いきもののよう)
今日の記事「富田林石川河川敷のこいのぼり」を参考にしました。
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