マガジンのカバー画像

化石研究者の本棚

4
運営しているクリエイター

#読書感想文

山崎豊子の初期作品に社会派作家の片鱗を探る

山崎豊子の初期作品に社会派作家の片鱗を探る

銀行合併を取り扱った「華麗なる一族」、有名な航空機墜落事件を題材にした「沈まぬ太陽」など、戦後社会の様々な問題に鋭く切れ込む社会派小説で有名な山崎豊子さん。
その創作のルーツを探るべく、初期の作品を読み漁ってみました(多少ネタバレがあります)

暖簾山崎豊子さんの最初の作品です。商売での信頼の元となる「暖簾」を親子二代で大切に守っていく描写が印象的でした。後年のドロドロした作品を読んでいた自分にと

もっとみる
研究室・研究者のホームページについて考えるための本

研究室・研究者のホームページについて考えるための本

2 年くらい前に所属組織のホームページの立ち上げを経験しました。その際に勉強になった本を紹介します。

この本はホームページをつくる技術を紹介する本ではありません。HPを作り、運用していく際に考えるべきことを教えてくれる本です。

以下では、本の中で特に参考になると思った箇所を、研究者目線でまとめます。

1. 発信相手を明確にする科研費の助成を受けている組織や研究者であれば、以下のようなロジック

もっとみる
理系研究者におススメしたい「ローマ人の物語」

理系研究者におススメしたい「ローマ人の物語」

コロナ禍になって読み始めた「ローマ人の物語」をようやく読み終えました.塩野七生さんが書いた歴史小説で,文庫本にして 43 巻!という超大作です.その名の通り古代ローマの誕生から発展,そして衰退の歴史が描かれています.

この本を理系の研究者におススメしたい理由は以下の3点です.

1. 秀逸なイントロダクションまず,イントロダクションの書き方がとても勉強になります.新しい話が始まるときに(文庫本で

もっとみる