見出し画像

【下書き供養】【ショートショート】転校生


 本田すのうさんの「下書き供養企画」に参加します。

 実は私、note6年目です。本来ならベテランですが、ちょいちょい休んでたので。

 理由は本業やプライベートが忙しくなった、あとはここでは書けないようなネタもしばしば。(おおよその理由は、お察しの通りです。えっ、 #なんのはなしですか  って?ネット続けてると色々ありますよ。フフフ)

 私は夢中になると、ワーッと続けちゃうタイプ。詳しくは書けませんが、ブログやnoteに夢中になると、いいこともあるけど、悪いこともあります。

 何度もインターネットで色々経験してきたので、多少のことがあっても冷静に対処できるようになりました。

 そうは言っても、人間です。休みたくなったら、すぐ筆を置きます。そんな感じで休んだりしつつも。

 書くことだけは、決してやめませんでした。

 今回の作品は、確かnoteを始めた頃だったかな。おそらくですが初期の頃の創作大賞か、他のコンテストへ応募用の作品だったと思います。

 途中まで書いたけど、「これは、そんなに面白くないかも」と感じたので辞めちゃった記憶があるような……。実は下書きを辿るまで、書いたことすら忘れてました。

 あの頃は、なぜこの作品が面白くないのか。理由もわからずにいました。

 自分でもいいか悪いかわからない作品を、応募するなんて本当に……

#どうかしているとしか

ですね(笑)

 今の自分なら、少しわかるかも。なぜ作品を書くことを、途中で辞めたのか。そして応募すらしなかったのか。

 今回のnoteでは、こちらで紹介する「下書きで残していたショートストーリー」の最後に、反省文を書こうと思います。

↓本文はここから

【転校生】

父の転勤

 父の転勤が決まった。仕事都合による転勤は、これで3回目となる。せっかく友達ができたのに、また転校かぁ。

 母から「今月末には引っ越すから」と言われるなり、佳子はふぅとため息をついて天を仰いだ。

 今月末だなんて、急すぎる。父の転勤は、いつも勝手で強引だ。どうせ転勤が決まってるなら、会社もどうしてもっと早くに連絡してくれないのだろう。

 子供側にも、友達に手紙を書くとか、最後のお別れまでに遊びたいとか、色々都合があるのに……。

「お母さん。もう私、引っ越すのやだ。そもそも8月なんて、クラスの友達が出来ずらい時期だよ?だって、クラス替えは4月だし。グループは、4月に大体出来ちゃうもの」

 私は母の袖を引っ張り、駄々を捏ねた。

「仕方ないでしょう。お父さんの仕事都合なんだから。お父さんが仕事しないと、私たちは生活できないの」

「でも、真理ちゃんのお父さんなんて、単身赴任だよ?1人で転勤先で暮らしてるんだって。うちのお父さんは、単身赴任はできないの?」

「友達なんて、作ろうと思えばできるわよ」

「私、やっと仲良く話せる友達ができたのに。もう、引っ越したくないよ」

「すぐに友達できないのは、あなたが自分から声をかけたりとか努力しないからよ」

 はぁ、努力?私は目を丸くした。数々の転勤先で友達を作るために、一体どれだけ苦労したと思ってるのだろう。

 大抵の学校では、なかなか馴染めず、休み時間は1人で過ごすことがほとんどだったというのに。

「もう、あなたも小学4年生になったのよ?いつまでも子供じゃないんだから。友達くらい、自分から声をかけて作るようにしなさい」

 それが、本当に難しいんだってば。そんな私の思いを他所に、母はさらに話を続けた。

「どうせ、1人でポツンと座って誰かから声をかけられるのを待っているんでしょう?でもね、お父さんが出世するチャンスは限られてるの。このチャンスには乗らなくっちゃ」

 母は、いつも父の味方だ。同じ職場で出会った父は、母にとってずっと憧れの存在だった。仕事が出来る上に、後輩の面倒見も良く社内でも人気の男性だったそうだ。

 イケメンでモテモテだった父を、同僚の女性たちとの争奪戦から勝ち取った母。母にとって、モテモテで出来の良い父と結婚できたのは自慢でもあった。

 父を溺愛している母からすれば、私が父の元にすり寄ろうとすると、気に入らない素振りを見せることもしばしば。

 母からすれば、娘の私ですらジェラシーの標的だった。クラスの真理ちゃんも、美咲ちゃんも。みんな父や母の話を楽しそうにする。

 私はいつも、真理ちゃん、美咲ちゃんの話を「へぇ〜」と苦笑いをしながら相槌を打つ。

 当たり前のように両親から無償の愛情を受けてる友達との会話が合う訳もなく、私は周囲と仲良くすればするほど孤独だった。

 そんな中、私をいつも影でジッと観察している1人の男の子がいる。彼の名は、佐藤健二。佐藤君も、私と同じく転校生で、大人しい性格からか、なかなか友達ができないタイプだった。

 ある日、ふと私は思いつきで佐藤君に手紙を書き、国語の教科書にこっそり挟むことにした。

 手紙には「いつも私のことジッと見てるよね?何で?」と、ぶっきらぼうなメッセージを書いた。

 下手に丁寧に書いたりすると、佐藤君に私が気があると勘違いされるのが嫌だったからだ。数日後、私の国語の教科書にメモ書きが挟んであるのを発見した。

 おそるおそるメモを開くと、「いつも何か言いたさげな顔してるから、気になってただけ。どこか、俺に似てるなぁと思ってて。嫌ならもう見ない。ごめん。佐藤」と書かれてあった。

 彼が座っている席に目をやると、びっくりしたのか。目を逸らされた。思い起こせば、佐藤君も転校して数ヶ月は、友達ができなかった気がする。

 いつも、休み時間はクラスで私と2人きり。だからといって、とくに話す訳でもないけど。もしかして、1人ぼっちの私に仲間意識を感じてたのかも。

 転校が決まって、誰かに手紙を書こうと思った時、ふと佐藤君のことが頭に浮かんだ。結局仲良く話したことなんて一度もないけど、もしもっと話し合えたら、もしかしたら真理ちゃんや美咲ちゃんより、ずっといい友達になれたかもしれない。

 そうだ、せめて佐藤君に手紙を書こう。できたら、文通したいかも。やり取りして交流を深めたら、いい関係が築けるような気がする。

 そして手紙のやり取りをする相手が1人でもいたら、私も転校先で孤独を感じることはないかもしれない。

 そう思い立った私は、ふと机の引き出しから可愛い便線を探し続けた。


母と転勤

「佳子。今回の転勤はね、お父さんにとっても栄転になるの。今度、部長に昇格するみたい。お給料も一気にアップするし、生活もさらに楽になる。佳子の欲しいものも、今以上に買えるようになるから」

 そう言って、母は私の頭をクシャクシャと撫でた。上昇志向が高く、セレブな生活に憧れを抱く母は、いつも父のこと、そして自分たちが豊かな暮らしが出来るかどうかしか考えていない。

 そもそも幼い頃から貧しい育ちだった母は、昔から貧乏から脱出することばかり夢みていた。なんでも、学生の頃から懸命に勉強して地元で有名な公立大学に合格、学費はバイトしながら支払う日々だったそうだ。

 やがて母は、希望の就職先である大手企業に合格。勤め先にて、お坊ちゃま育ちで出世頭の夫と恋に落ちた。母からすれば、父との結婚はまさに自分の人生の成功そのもの。

 そんな母だから、父の言うことは絶対だし、一切家事育児の手伝いすらしない父に注意することもなかった。

 父は父で、家では何もしない癖に、母には「俺のお袋は、家事も育児も完璧だった」と言って、完璧を求めようとしていた。

 おまけに転勤族だったため、育児は完全ワンオペ状態。一時は育児ノイローゼになりかかり、思い通りにならないと私に怒鳴って八つ当たりすることも少なくなかった。

 母を見てると、果たして私は大人になってから「結婚したい」と思えるのかと、不安になった。

 あーあ。すぐに友達ができないのも、全て私のせいになるのか。「いつも佳子に苦労させてごめんね」ってセリフくらい、聞きたいよ。本当に。でも、この両親からは永遠に聞けなさそうな言葉だよね。

【下書きはここで終わっていました】


過去の小説を数年後に反省、懺悔して供養します

 さて、ここからは「なぜあの時、この作品をコンテストに出すのを辞めたのか」について。

 数年後に読み直して、感じたことを赤裸々に綴ります。

 まず読んで思ったのが、暗い始まりなので読む人を選ぶかなぁと。母親から辛辣なことをしょっぱなから言われるので、気分が落ち込んでる時はより沈むかも……。

私はネガティヴな話、大好きです。けど自分が落ちてる時は、あえて読むのを避けるかなぁと思いました。

 かといって、冒頭からハッピーてんこ盛りでもなぁ。自分が落ちてる時は、逆に手を止めるかもしれない。

 結局、読み手の気分にも左右されますよね。読むか読まないかって。まぁ、そんなもんですよ。

#どうでもいいか

 最初はハッとする引きからスタートして、そこからグイグイ読者を引き込むような作品かけるといいのかも。

 ちょうど今、私のテンションがそんなに高く無いので、ぶっちゃけ「冒頭で、読むのやめようかな」とは感じたかも。元気な時なら、スラスラ読めるんですけどね〜!

 あとは同じような話が、ずっとグダグダ続いてる感じも。多分これ書いてた時、私自身がちょっと病んでた気がします。作品の内容って、その時のメンタルに左右されるはあるあるかも。

 なんか読んでて、他人の愚痴を延々と聞かされてる感じがしたので、昔の私にビンタしてやりたい(笑)

 今だと逆に書けないテイストかもしれません。読み直して新たな気づきもあり、とても良かったです。

 過去の作品を俯瞰して読み直し、次へ繋げていく。いいきっかけになれた気がします!

 この度は本田さん、素敵な企画をありがとうございます。

いいなと思ったら応援しよう!