人の体内時計は25時間だそうだ。しかし、1日は24時間だからずれが生じる。それを睡眠によって調整する。だから、良質な睡眠を得ようとすることは重要な事だ。しかし、歳を重ねると眠っていられない、つまり早く目覚めてしまう人もいる。それが、生活に支障をきたすほどであれば不眠症と呼ばれる常態だ。高齢者に多い。原因は、体力の衰えと、体内時計が変動してしまうことにあるようだ。体内時計の老化と言ってもいい。高齢者の多くの体内時計は24時間よりも短くなってしまうと言う。22時間や20時間と言
割ってみなければわからないものがある。例えばゆで卵。特に半熟を好む人にとっては、湯で時間や、それを算出する気象条件や加熱機器の性能など、神経を使う調理になる。そうして定めた時間を正確にゆでた後は素早く冷水で冷やし、熱の通りを抑えれば完成だ。そして殻を外し、料理に使うのでなければかぶりつく。口の中で黄身がとろりと広がれば、それは歓喜の美味さだと言えよう。 「スイカを取って来たよ。」との声が勝手口の方から聞こえてきた。「待ってました。」と僕は柏手を打って答え返した。激暑によっ
天気予報に恐れを覚えた。静岡県に40度予報が出ている地域があるようだった。これまでにも、群馬県や埼玉県の地域で40度超えの気温が予報されていたことはあった。実際にその気温になっていることを街角の温度計を示しながら、女性アナウンサーが息を弾ませて熱そのさを伝える姿などを見たことはこれまでもあった。僕が恐れを覚えたのはその最高気温の事ではない。それとほとんど変わらないと思われる39度予報が出されている地域の多さにだった。日本列島の広い範囲にそれが予報されていることに恐れを覚えた
女性の患者さんから次のような話を聞いた。毎年、夫婦で海水浴に行っている。その日のために数日前から準備し当日の朝にはおにぎりを二人分だけ握るのだと。夫も私もたくさんはもう食べられない。小さなおにぎりを握れるようになるまで時間がかかった。どうしても大きなおにぎりになってしまう。子供たちのために大きなおにぎりを握ってきたからだ。あの頃が懐かしい。一体何個のおにぎりを握ってやっただろうか。元気でいるだろうかと思う。もうしてやれることは何もない。私が元気でいることが子供たちにしてやれる
早朝4時半。体を屈めて両手で土を掘り返す。大証様々なじゃがいもが転がり出てきた。大きいものなら、それは茎の周囲で、すでに土から飛び出しているものもあった。じゃがいもの収穫は、まず初めにじゃがいもの茎を引き抜く。茎だけが抜けてしまうようなその土の中からは大きなじゃがいもが収穫できる。茎にいくつかのじゃがいもが付いているようならそこから収穫できるじゃがいもは小ぶりのようだ。同じ土で育てられたじゃがいもなのにどうしてこうまで違うのだろう。種芋が違うものだったのだろうか。中には育って
『やまこう紺野果樹園』(福島市飯坂)で、こうして行うサクランボ狩りは、友人知人で集う恒例年行事になった。今年で5度目になる。2020年、コロナウイルス感染防止対策でさくらんぼ狩りに観光客が呼べない事態に。果樹園にとっては死活問題だった。少なくとも、そんな知人の果樹園を仲間たちで何とかしようと始めたさくらんぼ狩りだった。「昨年の猛暑の影響で、今年のさくらんぼは小さいですが、その分甘さは濃いですから、ご賞味ください。」との園主さんからのご挨拶でいよいよ狩り開始。参加者は目移りしな
今日5月29日は僕の誕生日。親や友や妻に感謝したい。それこそ心から。49歳になった。にもなってしまったと自嘲したくもなる年齢でもある。一方で正直言って驚きでもある誕生日になった。この日僕は、羽田空港から飛び立つ。それは、アジア トライアスロン パラ選手権の日本代表の一人として、レースが行われるフィリピンのスービックに向かう事になったからだ。全く奇妙な話しだ。中途で失明し、10年もの間心を閉ざした。引き籠ったと言った方が分かりやすいかもしれない。そんな僕の姿を見かねて盲人マラソ
もう何度目かになる。昨年暮れ、福島市にある『小児難病とその家族を支援する施設『パンダハウス』で施設の清掃と花壇の手入れなどのボランティアをさせてもらった。そこは主に、福島医科大学病院の小児科に入通院する子とその家族とが利用している。先の見えない闘病。それは過酷な砂漠に家族ごと放り出されたかのような孤独と苛立ちと無力感を乱暴に抱かされるようなものではないだろうか。このパンダハウスとは、そのさ中に現れるオアシスのような施設だ。中途で失明した僕にとって、そこへと思いが傾かない訳がな
エイプリルフールとは、毎年4月1日に嘘をついても良いという風習のこと。イギリスではオークアップルデーに倣い、嘘をつけるのは正午までとされているが、それ以外の地域ではその日一日とされている。僕もこれまで、友人らからの「嘘!?」との反応を楽しむためにくだらない嘘をひねり出してきた。有名人が治療の予約を入れたとか宝くじが当たったとか。それを「嘘!?」と笑い合える関係は尊い。あまりにもリアルに過ぎる嘘もナンセンスだし、必ず、誰も傷つけず損をしない、それは嘘でなければならない。 僕も歳