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動画やSNSも楽しいけど、読書もめちゃくちゃ楽しいよ『物語を継ぐ者は』児童書紹介⑫

この本を読み終えたいま、すぐに紹介noteを書かねば!と使命感に突き動かされています(笑)

今回紹介する『物語を継ぐ者は』はぜひとも多くの人に、特に全中高生には読んでほしい!
どうしても、SNSや動画を見てしまいがちだけれど、読書ってこんなに面白いんだよ!ということを、この本が代弁してくれている気がします。

一般小説のジャンルに区分されていて、私も書店の一般書の新刊コーナーで発見したのですが、大人が読んでも楽しめる一冊です。


書籍紹介📝

書名:『物語を継ぐ者は』
著者:実石沙枝子 
出版社:祥伝社
対象:中高生~
ページ数:264ページ
読了時間:大人で2時間半ほど

あらすじ

中学生の本村結芽は、急死した伯母の部屋で、愛読する児童書の原稿を見つけ舞い上がる。『鍵開け師ユメ』シリーズは、孤独な小学校生活を過ごした結芽にとって、唯一の友達であり、心の拠り所だった。伯母は、その作者イズミ・リラだったのだ。
最新作を夢中で読むが、しかし遺稿は未完のまま。どうしても続きが読みたい結芽は、自分で物語の続きを書くことを決意する。第一巻からページを繰り、主人公ユメの魔法の呪文を唱えると、物語の中へ飛び込めた結芽。ファンタジーの世界と現実を行き来できるようになり、自らの冒険を書き記していくが、何かが足りない。物語に息吹を吹き込むには、伯母の、イズミ・リラの人生を知らなければ――。

現実を生きる自分、ユメとしての自分、伯母を探す自分。結芽の本当の冒険が、はじまった! 

Amazonの紹介文より

ここがおすすめ

あらすじにある通り、大好きだった『鍵開け師ユメ』シリーズの続きを中学生の主人公が書き進めるという物語。

いろいろな困難を乗り越えてシリーズを完成させていく成長物語だというのは、読む前から何となくは想像がつくのですが、単に物語を完結させるというだけでなく、複数の軸が複雑に絡み合って物語が進んでいくのが非常に面白く、時間を忘れて読み進めてしまいました。

・主人公の結芽は、亡くなってから叔母の存在を知る
・なぜ叔母は突然亡くなったのか
・『鍵開け師ユメ』はどのような結末になるのか

このような様々な軸が同時進行で進んでいて、どの伏線も気になってしまい、物語もテンポよく進んでいくので読書に慣れていない人や中高生でも読みやすい。

私は5冊くらい併読してしまう派なので、最初に読んでからしばらく間が空いてしまったのですが、主人公が物語の続きを完成させることは想像がついたけど、叔母さんの背景が分からなかった。忙しくて読む時間がない間にこの横軸の進み方が気になって、再び手に取って一気読み。

心に残ったシーン

この本の面白いのは、結芽が未完の『鍵開け師ユメ』シリーズを完成させていく場面だけでなく、『鍵開け師ユメ』シリーズの文章も載っていること。劇中劇のような感じで飽きがこないのです。

最後、魔法女王と結芽が出会うシーンには思わず唸ってしまいました。
この展開は予測してなかった。
ここまで何本もの線を走らせて一本の物語に仕上げているのがすごいなと感じました。

作者の実石沙枝子さんは1996年生まれだそうなので、まだ20代。若い感性と物語のつくり込みの力は本当にすごいと思いました。

作者が中高生とそれほど年齢が離れていないので、リアルな女の子の気持ちを代弁してくれているのかもしれません。

読書に慣れていない人に読んでほしい

読み終わって真っ先に感じたのは、この本は動画に夢中になるのと同じくらい、夢中になれる可能性を秘めた本だということ。
一点違うとすれば、動画は受動的にただ見るだけだけど、本は主体的に自ら読まなければいけない点。

とても読みやすい本なので、普段読書をしない方にもおすすめできます。

年末年始の休み期間、移動時間にぜひ読んでみてください。
読書の魅力に気づけると思います。

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