「このハゲ〜」に関する人材マネジメント面からみる、かる〜い考察
「このハゲ〜」
なんともキャッチーな本人音源。聞いた瞬間に「いいように使われるぞ」と思ったのは私だけではないでしょう。ほらごらんなさい、巷のワイドショーでは、しつこいってほど繰り返し流れています。
なぜ豊田議員が「このハゲ〜」と言ったのかという背景はここでは省かせていただき(ニュースサイトでイヤってほど紹介されていますし)、「なんて暴言だ!」だけではない、主に人材マネジメント面からみて私が感じたこと・思ったことを、勝手気ままにここに書いてみます。
人を責めても問題解決にはならず
「仕事をしていてミスをする」。多かれ少なかれ誰しも経験があるのではないでしょうか。人間ですものミスはする。大事なのはミスが起きた時の対処です。
ミスをした人に「なんでミスをするんだ!このハゲ!」と言ってるだけでは、ミスはなくなりません。
「なぜミスが起きたのか」「ミスを起こさないためにはどうすべきか」を考え、原因追求と解決策具体化に向けて素早く動く。ミスを起こした今までの運用を、ミスか起きにくい運用に変更する。
「人を責めずに仕組みを変えよ」
「このハゲ〜」を聞くたびに、心に刻む私です。
採用ターゲットとしてのミスマッチ
録音して公開する…秘書の方の逃げ場がこの方法しかなかったのかと思うと、なんとも悲しい限りです。
「このハゲ〜」発言の所以は、秘書の方の結構な量の、書類の宛名記入ミスが原因のよう。議員秘書といえば、業務の確実性が問われる仕事。職業興味パーソナリティに関しては「ホランド理論」による「RIASEC(リアセック)」が有名ですが、秘書の方のパーソナリティとはミスマッチなのではないかと感じました。
私はキャリアコンサルタントでもありますが、信念として持っているのは「優劣でなく、マッチング」。職場で「できない・やりたくない」場合の多くは、劣等生というわけではなく、やりたいこととのミスマッチが起きている、と思っているのです。
人は「やりたいこと」と「仕事」がマッチングした時、大きなパフォーマンスを発揮します。以前の職場では苦しかったという人が、職場を変えたら生き生きと働けるようになった、という事例を複数実際みてきました。
職業興味パーソナリティの判断は、応募者側自身の問題とされがちですが、雇用する側にとっても大きな問題です。ここで問いたいのは雇用側の採用スキル。はたして議員(=雇用)側に、「議員秘書」という職種にマッチするパーソナリテイは設定できていたのか、それを見抜くスキルがあったのか。
「できないヤツ、と応募者を責める前に、その人を採用した雇用側の、採用スキルの無さを嘆くべし」
「このハゲ〜」を聞くたびに、「自分で蒔いたタネでは?」と心でつっこむ私です。
小規模組織の難しさ
「ミスをする仕組みを変えよ」「採用スキルを磨け」と偉そうに書いてきましたが、それだけでは解決できないケースもあることに気づきました。
それは、小規模組織の場合です。
組織の人数が少ない場合は、業務が多岐に渡るケースが多く、職業興味パーソナリティの設定が難しくなります。
加えて、上司・部下が1対1(2名のみの組織)の場合などは、仕組みというよりは業務が属人的になりやすく、仕組みを変えてミスをなくす、という方法が取りにくい。
このような場合、仕組みを責めているつもりが人を責めていた、仕組みを変える=人変えることになってしまう、などという状況に陥りがちです。
議員対議員秘書の関係性が1対1(議員秘書が複数いても、組織として横のつながりがない)という状況だとしたら、人材マネジメント観点においては難しい状況にあった、と言えるかもしれません。
「このハゲ〜」を聞くたびに、閉鎖的になりやすい小規模組織の難しさを感じる私です。
さて自分は?
かくいう私は、大規模組織も小規模組織も経験済み。私と新人の1対1、という時期もありました。今思うとお互い苦しかった。10年目の私は新人の「わからない」がわからないし、新人は何度説明しても私の言ってることがさっぱりわからない、という状況で、毎日がてんやわんや状態でした。
「このハゲ〜」
聞いて震えました。
当時の私は後輩に言ってなかったか…?
「人の振り見て我が振り直せ」。当時を振り返り、反省し、かつての後輩に電話してみました。「私、このハゲ〜って言ってなかった?汗」
もうベテランとなっているその後輩は、笑いながら「当時言われたことを理解したのは正直言うと数年後だが、あの時の経験が今、活きている」と言ってくれました。
今ではお互い独立し、仕事をお願いする仲です。
「録音されてないからいっか」などと笑い飛ばし、電話をきりました。
「このハゲ〜」を聞くたびに、当時のがむしゃらだった時代が蘇り、かるーく自己反省なんかもしてみる私です。
「このハゲ〜」
ちなみに。私は編集コンテンツや広告制作に携わる人向けに『クリエイティブ研修』という名で、クリエイティブに必要なスキルを身につける研修を企画し、講師をしていますが、冒頭のアイスブレイクトークにこのネタを話したら、そこそこウケました。
クリエイティブに関するスキルの紹介は『クリエイティブスキル講座』という名前で公開していますので、ぜひご覧ください。
最後は告知となってしまいました。てへ。お許しくださいませ。