
意外性のつくりかた。 #4 直前に言ったことを、より強化させてみる。
お世話になります。コピーライターの杉浦です。
前回の記事は、こちらから。↓↓↓
伝えたいことの規模が大きすぎると「嘘っぽい印象」になるので、身近なところにる小さな希望をくっつけてあげると、意外性が生まれるという話でした。
今回の「意外性のつくりかた」は、タイトルにもある通り、直前に言ったことを、より強化させてみる。です。本当に言いたいことを後に持ってくることで直前に言ったことよりも価値が高く見える効果があります。主に映像のラストに使用するキャッチコピーなどを作成する際に活用できます。
これもいいけど、こっちもいいよね。
ただし、後から言ったことの価値が上がる分、直前に言ったことを否定してしまう可能性があるので注意も必要。一般的にはこう言われているけど、こっちでもいいんじゃないでしょうか?…的な提案を感じる言葉になっているとグッドですね。
例えば…こちら。

文芸学科コンセプトムービー
「手に職をつける」というのは、専門的スキルを身につけたり、仕事に役立つ資格・免許を取得することで学歴や会社だけに依存することがないスキルなどを身につけることなので「仕事」という視点で考えると、一般的には推奨されることです。しかし、大学という場所は「就職訓練校」ではなく、あくまで「それぞれの分野の専門家・研究者が広く・深く研究を行う場」なので、大学を選ぶときは自身が「好きである・追求したい」という気持ちを大切にしてほしいという思いも込め、「手に職」は、強い。「好きだから」は、もっと強い。というコピーが生まれました。手に職をつけることも悪いことではないので、直前に言ったことを否定しすぎないように気を付けてほしいというのは、こういうことです。
直前に言ったことを、より強化させてみる。を意識して書いているコピーを、他にも紹介していきたいと思います。

看護学科コンセプトムービー
こちらも同じく共立女子大学の学科コンセプトムービーより、看護学科のコピーです。誰かを助けたい「思い」があることを直前に述べ、本当に助けられる「力」にするという強化を施しています。伝えたいことは同じですが、この大学で学ぶことでの変化も表現しています。
「逆にしてみる」と組み合わせる
また、#2で話した「逆にしてみる」と組み合わせることも効果的。
この記事の中でも触れている、株式会社リロードエッジの採用ムービーに使用されたコピー「誰かの人生が名作なら、 キミの人生は最新作だ。」は、
・誰か→キミ
・名作→最新作
と、すべての単語を逆にしていると説明しましたが、「名作」の後に「最新作」が来ることで、一般的にはどちらが優れているとは言えませんが、やはり並べることで「最新作」が少し強化されて見えます。
NAKANO BRAND MOVIE 2022
中野製薬の2022年ブランドムービーに使用された
数えきれない、美しい瞬間を。
たった一人の、美しいあなたを。
というコピーでは、この世界にある「数えきれない美しい瞬間」の後に、「たった一人しかいない美しいあなた」を置くことで、より一人ひとりを大切にすることがイメージできる言葉になります。
以上が、「直前に言ったことを、より強化させてみる。」という意外性のつくりかたとその事例でした。
次回も「意外性のつくりかた。」でお会いしましょう。
それでは、また。