三上 慎一

ただ、書き残す。

三上 慎一

ただ、書き残す。

最近の記事

アメリカのとある町で、壁一面に無数の釘が打たれた家が発見された。 その釘の下には、まるで何かが閉じ込められているかのように小さな引っかき傷があったという。 家の住人はその傷が「朝になると増えている」と話していたそうだ。

    • ヒッピーの「消えるコミューン」

      アメリカを旅していたとき、現地で知り合った年配の男性から、1970年代にヒッピーたちの間で広まっていた不思議な話を聞いた。それは、カリフォルニアの山奥に「消えるコミューン」があったというものだった。 その男性は当時若く、ヒッピーの文化に心酔していた。髪を伸ばし、仲間たちとキャンピングカーでアメリカ中を放浪しながら、自由を求めて生きていた。そんな生活の中で、彼らはたびたび噂を耳にしていた。山奥にある特定の場所に行くと、そこに「誰でも迎え入れてくれる」コミューンがあるというのだ

      • 空き部屋の「灯り」

        これは、都内のとあるワンルームマンションに住んでいた友人から聞いた話だ。彼は仕事の都合で夜遅くに帰ることが多く、帰宅する頃にはすでに周囲の部屋の灯りが消えているのが普通だった。そんなある夜、彼がふとエレベーターを降りたときに、違和感を覚えた。 そのマンションの5階には彼の部屋といくつかの部屋があるが、なぜか廊下の突き当たりにある「505号室」だけは、深夜になってもいつも灯りがついている。特に気に留めていなかったが、ある時、エレベーターを降りるたびに505号室のドアの隙間から

        • 深夜のプリクラ

          これは1990年代後半、プリクラブームの真っ只中に高校生たちの間で広まった話だ。当時、どこのゲームセンターもプリクラで賑わい、深夜まで開いている店も多かった。そんな中、ある奇妙なプリクラ機についての噂が囁かれていた。 そのプリクラ機は、普通のプリクラ機に混ざって、ぽつんと一台だけ設置されている。特に目立つわけでもないが、近づくと妙に古びた感じがする。ボタンや画面のデザインが一昔前のもので、今となっては珍しいタイプだとすぐにわかるらしい。 プリクラ機の正面に立っても、正確な

        • アメリカのとある町で、壁一面に無数の釘が打たれた家が発見された。 その釘の下には、まるで何かが閉じ込められているかのように小さな引っかき傷があったという。 家の住人はその傷が「朝になると増えている」と話していたそうだ。

        • ヒッピーの「消えるコミューン」

        • 空き部屋の「灯り」

        • 深夜のプリクラ

          秋葉原の「二度と現れない店」

          これは、1990年代の終わり頃から秋葉原で囁かれていた話だ。秋葉原が電気街から「オタクの聖地」に変貌していく過程で、多くの雑居ビルが増え、無数の小さな店舗が建ち並ぶようになった。そんな雑居ビルの一角に、「二度と現れない店」が存在していたという。 この店は特定の場所にあるわけではない。秋葉原のある通りを歩いているとき、不意に見つかることがあるという噂だ。古びたビルの地下や、細い路地裏の奥にある場合が多い。その入り口はごく狭く、何の表記もないただのドアがぽつんとあるだけで、周囲

          秋葉原の「二度と現れない店」

          最後のタクシー

          これは、ある地方都市で実際に聞いた話だ。その街は、夜になると人通りが少なくなり、タクシーを探すのが難しくなる。深夜0時を過ぎると、タクシーもほとんど走っていない。そんな時間にしか現れないという、少し不気味なタクシーの話を聞いた。 そのタクシーは、決まって深夜2時頃、郊外の道にだけ現れるらしい。真夜中に一台、暗闇の中をゆっくりと走っていることがある。古びた車体で、行灯はついているものの、どこか薄汚れていて、普段は街中で見かけないようなタイプの車だという。 乗り込んだ人の話に

          最後のタクシー

          初めてのnote | 自己紹介

          三上慎一 - 自己紹介俺の名前は三上慎一。ここでは、旅の中で出会った奇妙な話や、現地の人々から聞いた「ロア」を淡々と綴っていくことにしている。 これまで、日本国内だけでなく、異国の地も訪れてきた。その土地の景色や文化に魅了されるのも旅の楽しみだが、俺が特に惹かれるのは、その場所の裏側に潜む、語り継がれた「ロア」だ。どこか現実味があるのに、はっきりとは理解できない、そんな不思議な話に興味が尽きない。 夜道で拾った話、タクシー運転手が語ってくれた不気味な体験、地元の古い酒場で

          初めてのnote | 自己紹介