【小説 第14話】もしも、とある会社員が「自己啓発ソムリエ 言葉で動く」の記事を読んだら?
この度は、数ある中からご覧頂き、誠にありがとうございます。
こちらは小説となります。
最後までご覧頂けると幸いです。
では、『【小説 第14話】もしも、とある会社員が「自己啓発ソムリエ 言葉で動く」の記事を読んだら?』始まります。
【お知らせ】
【予定では15話までとなります】
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
小説をまとめたマガジンとなります。
宜しければご覧ください。
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1️⃣.神様からの贈り物
あれから僕は、時間があれば、みんなの人件費をカットしないで済む方法を探していた。
朝も夜も、風呂に入ったときも、運転してるときも、街中を歩いているときも、僕なりにずっと考えていた。
従業員と面談が終わった後、秋本マネージャーとは、何度か連絡を取り合っていた。
やはり、マネージャーも、僕と同じ気持ちだということが分かり、少し安心した。
僕は、「自己啓発ソムリエ 言葉で動く」の1番最初に見た記事を思い出した。
ここで諦めたら、みんなに迷惑が掛かる。
家族を養っている人や、奨学金を返済するためにアルバイトをしている人もいることを知っている。
だからこそ、諦めちゃいけない。
諦めちゃならないんだ。
そんな思いでいたとある日、家でなんとなくテレビを見ていた。
座布団を敷いて、横になってみていた。
こうやって、ぼーっとしながらテレビを見るのはいつ以来だろうか?
それもそのはずだ。
テレビを見ないかわりに、読書をしたり、スケジュール帳に予定を書いたりしている。
(僕も…ずいぶん変わったんだなぁ……)
以前の自分との変化を感じながらも、ぼんやりとテレビを見続けていた。
そんな時、長いCMが終わり、「移住生活」の特番が映し出された。
たまにやる特番で、東京から田舎に引っ越し、自給自足の暮らしを特集している番組だ。
(東京から田舎に移住か……)
普段は見ない。
こういった番組には、あまり興味がないというのが、正直なところだ。
(チャンネルを変えよう…)
そう思い、寝ている体を起こし、右手でテレビのリモコンを持った。
すると突然、僕の頭に電流が走った。
まさに、神様の贈り物だった。
僕は、寝ていた体を即座に起こし、興奮気味にテレビまで行き、両手でテレビを鷲掴みにした。
『これだ…そうか!これだよ!!』
そう叫んだ瞬間、テレビを前へ後ろへと揺らしていた。
2️⃣.提案
次の日、僕はすぐ秋本マネージャーに電話した。
そこで、僕はこう答えた。
「マネージャー、もし可能であれば、従業員を他店に移動出来ませんか?」
そう。
僕の思いついた考え。
それは、「他店舗への異動」だった。
普通、パートやアルバイトの異動は無い。
配属された店舗で、ずっと勤務するというのが一般的だろう。
だが、社員は異動する。
なので、パートやアルバイトも同じく異動出来るのではないか?そう考えた。
すると、秋本マネージャーは、
「なるほど…ちなみに、他の店に異動したい人はいるのかい?」
僕は答えた。
「いえ。それはまだ分かりません。
ですが、従業員たちに聞いてみます。」
そう言うと、「わかった」とだけ言って電話を切った。
3️⃣.起死回生の行動開始
早速、僕は面談をした。
一人目は、パートの女性従業員だ。
この人は、実は以前から「仕事の割に給料が安い」という悩みを僕に打ち明けてきた。
当然、会社の人件費カットに反発してきた1人だ。
事務所で僕は向かい合う。
「一体何の用ですか?」
かなり敵意剥き出しの態度だ。
手に取るようにわかる。
僕は、汗ばむ手をグーパーしながら乾かし、こう言った。
「あの時は申し訳ありませんでした。実は、今日はお伺いしたいことがあります。もし、他の店舗に異動出来るとしたら、いかがでしょうか?」
そう聞くと、パートの人は「ちなみにそれってどこの店舗ですか?」
僕は、「それはちょっとまだわかりません。」と答えたその直後、思わぬ答えが返ってきた。
「実は…母が病気で、今後私が介護しなければいけないかもしれません。
実家が東京にありまして、旦那と話し合っていたんです。
でも、この仕事のこともあり、悩んでいました…」
僕は、その話を聞いてとっさに、
「それは大変でしたね…もしよろしければ、その話、秋本マネージャーにしてもよろしいでしょうか?」
そう言うと「よろしくお願い致します」と、さっきの怒りの態度とは裏腹な凛とした態度で、深々とお辞儀をしてきた。
次にアルバイトだ。
4月から、大学生になる学生がいた。
その子は、東京の大学に進学することも知っていたので、同じように「もし他店に異動できるとしたらどうですか?」と聞いてみた。
すると、「やはりできれば学校の近くのお店で働きたい」そう申し出があった。
こないだの面談のときには、この話を切り出しづらかったと続けて言ってきた。
こんな感じで面談を進めていき、3人ほど「他店に異動したい」と聞き出すことが出来た。
その結果をすぐに、秋本マネージャーに伝え、「わかった。本当によくやってくれた。ありがとう。後は任せてくれ。」その言葉と同時に、僕は赤い✖︎ボタンを押した。
面談が終わり、一息ついている頃、山田さんが話しかけてきた。
どこか落ち着かない様子だ。
そういえば、あれからあんまり話してなかったっけ…
そんな雰囲気でいたら、
「先輩、大丈夫ですか?」
いつもの山田さんだ。そう思いながら、懐かしい声を聞いていた。
僕は、「あぁ。大丈夫だよ。」と、元気では答えたつもりだけど、顔の疲れは、どうも隠しきれなかった。
すると、山田さんが申し訳なさそうに、
「川嶋さんが、先輩にキツく言い過ぎたって言ってましたよ…」
僕は、胸がぎゅっと締め付けられた。
即座に「違う。そんなことは無いよ。傷つけたのは僕だ…」
あれから、僕は川嶋さんと話をしていない。
それは、申し訳なさからくる躊躇だった。
あんなことを言っておいて、どんな顔で話していいのかわからなかった。
(何とかしてあげたい…)
みんなのために、僕ができることをする。
僕を突き動かしているのは、その思いだけだった。
〜つづく〜
以上になります。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
✳️自己啓発ソムリエ 言葉で動くのコンセプト紹介
自己啓発ソムリエ 言葉で動くの
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