箸休め的存在の私たち
3年ぶりに、会社に監査が入った。
公費を頂いてまかなっている事業をしている
ので、不正受給してまへんか、
してたら許しまへんえ、
という調査である。
県と市の職員がふたりずつ、三時間たっぷり、
様々な資料を照らし合わせ、不正受給を
暴き出す。
うちは悪いことはしていない(儲かっていない)ので、後ろメタファーはないが、やはりマルサに入られている気分だ。
この日が来るまで、いやーな気分が続き、
年末年始も気が重かった。
調査の最後に講評があり、経営者である夫と私が神妙な面持ちを作って聞く。早くおわれー。
いろいろ指摘や改善点はあれど、私達の会社がやっている仕事について、褒められてもいい
部分に、一切の労いの言葉はなかった。
あのさあ。
人間同士なんだからさあ。
褒めあっていきましょうや。
それでまた頑張っていきましょうやって、
なるやんか。
さいなら、とドアをしめて、一息つきながら、
監査。よくこんな仕事ができるもんだな、
と思う。私にはむり。
お世話になっている税理士さんが、
私達の仕事内容をよく把握した上で、
「僕には絶対できません」
という。
その言葉、そっくりそのままお返しします。
あなたの仕事、私には絶対できません。
そう考えると、いろいろな仕事は、それが
できる人の持ち回りで成り立ってんな、
と思う。お互いがお互いの仕事を、私には絶対むり、と思っている。
誰もができる仕事、なんて
世の中にあんまりないんじゃないか。
うちはNHKの番組をよく観る。
「サイエンスZERO」
という番組が夫のお気に入りで、いつも録画
して観ている。
この世の中の科学の最先端を、ふつうの
人にわかりやすーく教えてくれる番組だ。
賢い科学の人たちがたくさん登場するが
こちらに知識がなくても大丈夫だ。
その番組に出ている賢い科学者さんを、
babyちゃん(娘)が苦々しい表情で睨んでいる。
数学のプリントに苦戦しながら。
進学校に入り、苦手な数学に苦戦している
彼女にとって、数学きらい→賢いやつきらい
の図が出来上がっている。
「かしこ死ね」
などと、やさぐれるときもある。
それを聞いた夫が
「かしこに世の中を回してもらってるんや。
俺たちは箸休め的存在なのを忘れるな!」
と一言。
娘は「あ。うおん。。」
と真顔で返事をした。
そう。適材適所なんよ。
やれる場所で精一杯やるんよ。
箸休め的存在上等やないか。
箸休めのない人生なんて
つまらないことこのうえないんだし。
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