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これまでのSDGs投稿まとめ【その5】: 目標13〜15(気候変動への対策、海の豊かさ、陸の豊かさ)

過去4回の投稿で、SDGsの目標1〜12に関わる投稿について、概要を説明しました(↓参照:【その4】目標11〜13)。

本日の投稿では、目標13〜15(不平等、まちづくり、つくる・つかう責任)に関わる投稿について、それぞれの概要について説明します。


1.目標13〜15は重要な課題だらけ

まず、2021年 日本のSDGs目標17の通知表(下図)を見てみると、目標13〜15は赤色の「主要な課題が残っている」と評価されています。

どのような課題が残っているのでしょうか。

1-1)化石燃料の燃焼が留まらない

目標13「気候変動に具体的な対策を」の重要課題を2つ挙げます。

これらは、現在の日本の致命傷になりかねない問題であり、早急の対応を行わないと、他の先進諸国に完全に乗り遅れることになります。

❶化石燃焼の燃焼及びセメント生産によるCO2排出量

日本は、特に電源構成のうち石油と石炭(合わせて約40%)が多くなっており、その結果、CO2の排出量も多くなっています。

日本は世界10位の生産量であり、セメントに関連するCO2排出量は日本全体の約3%を占め、如何にCO2を発生しない製造方法を確立するかが大きな課題です。

❷輸入に伴うCO2

国際輸送に伴って発生する温室効果ガス量(含CO2)は、国別の算定に含まれないため、国際的には削減義務が課されていません。

しかしながら、原料の多くを輸入している日本は、輸入に伴うCO2量を無視することができないとSDGs評価では指摘されています。

1-2)海洋汚染に歯止めがかかっていない 他

目標14「海の豊かさを守ろう」の重要課題を4つ挙げます。

これらの課題は、いずれも海洋汚染が進行していること、生物多様性が破壊されつつあることに由来しているようです。

日本は、海洋国家として、この目標は他の目標以上に対応しなければならないと思います。

❶生物多様性に重要な海洋地区の保護された平均専有面積
❷海洋健全度指数
❸漁獲されすぎた、もしくは崩壊した魚種資源から獲られた魚の割合
❹輸入に伴う海洋生物多様性への脅威

最近話題になっている海洋プラスチックごみ問題もこの課題に大きく影響を及ぼしているのではないでしょうか。

1-3)陸も生物多様性の崩壊が進行中

目標15「陸の豊かさを守ろう」の重要課題を4つ挙げます。

❶生物多様性に重要な地上地区の保護された平均専有面積
❷生物多様性に重要な淡水地区の保護された平均専有面積
❸絶滅の危険がある野生生物のリスト
❹輸入に伴う地上・淡水の生物多様性への脅威

日本は南北に長く、気候の幅も広く、起伏に富んだ地形を有するため、世界的に見ても、生き物や生態系の種類が多い、生物多様性のホットスポットの1つだそうです。

一方、世界で最も人口密度の高い地域でもあり、生き物は人間活動の強い影響にさらされ、数が減ったり、絶滅するおそれが高いとされている種類が、多数あるそうです。

そんな中、❶〜❹の重要課題を脅かす危機として、
「開発など人間活動による危機」
「自然に対する働きかけの縮小による危機」
「人間により持ち込まれたものによる危機」
「地球環境の変化による危機」
が挙げられており、このまま何もしなければ、植物等の4分の1の種が絶滅すると言われています。

【引用・参照website】
◆日本の生物多様性を脅かす「4つの危機」

それでは、ここからは、私の投稿の中から目標13〜15に関わるものの概要を紹介します。


2.目標13「気候変動に具体的な対策を」に関わる投稿

脱炭素を推進する企業で、「スコープ3」に注目していない企業は、生き残れないという投稿です。

「スコープ3」とは、
・事業者のサプライチェーンにおける事業活動に伴って排出する温室効果ガス排出量のうち、
・スコープ1(事業者自らによる燃料使用等による直接排出)
・スコープ2(他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出)
を除く、その他の間接排出量(下図↓の❶〜⓯)のことを指します。

今後、企業として脱炭素を掲げるのであれば、このスコープ3までを包含する必要があります。

原材料の調達や社員の出張、販売した製品の使用等、取引網全体にわたる排出量は数値化が難しいうえ、自社だけの努力では、そう簡単に削減することはできません。

排出ゼロを達成するには、取引網全体にわたる排出量を簡便で正確に把握できる仕組みが不可欠になり、今後、それを推進できない企業は淘汰されていきます。


3.目標14「海の豊かさを守ろう」に関わる投稿

海洋プラスチックの8割以上は、陸上で発生し海に流入したもののようです。

そして、河川等を経由して、最終的に行きつく場所が海なのです。

これらのプラスチックごみによる被害は、

❶生態系を含めた海洋環境への影響
❷船舶航行への障害
❸観光・漁業への影響
❹沿岸域居住環境への影響
❺海洋中のマイクロプラスチックが生態系に及ぼす影響

等があります。

特に、最近問題視されているのは、❺のマイクロプラスチックと呼ばれている5mm以下になったプラスチックです。

マイクロプラスチックには有害物質も含まれており、食物連鎖を通じて多くの生物に取り込まれていきます。

人を含む生物の身体や繁殖などに、どのような影響を及ぼすのか、詳しいことはまだわかっていないというのが、非常に恐ろしいです。

以上から、日本としては、
❶最も重要なことは、プラスチックの廃棄そのものを削減する(生産量も削減)
❷廃棄されるプラスチックの有効利用率を更に増やす

ことをすぐに実行に移すことが必須となっています。


4.目標15「陸の豊かさを守ろう」に関わる投稿

https://note.com/mickey_j/n/nf87d80968a00

本投稿で、「ローソンが上海でブロックチェーン(分散型台帳)を使った食品の履歴管理を始めた」という記事を紹介しました。

私はこの「ブロックチェーン」による食品の履歴管理が、目標15「陸の豊かさを守ろう」に大きく寄与すると感じました。

「ブロックチェーン」とは、複数のコンピュータに、暗号技術を使いながら取引情報等のデータを同期して記録する手法のことです。

取引記録を「ブロック」状にまとめ、それを一本の「チェーン」のように繋げて保存する「取引を記録する」技術で、誰も改ざんすることができないというメリットがあります。

産地偽装品の流通が社会課題となっている中、消費者に安心して買ってもらうため、原材料の生産から輸送までをこのブロックチェーンで管理・証明することで、トレーサビリティの信頼性が一気に高まります。

例えば、食品の商品包装のQRコードをスマートフォンで読み込むと、産地情報や流通、荷受地情報に加え、生産者の米作りの様子などのコンテンツが閲覧できるというものです。

この技術を使用することで、全ての原材料の産地情報の管理ができることになり、例えば、その原材料の生産により、森林破壊や生物多様性の破壊を行っていないことを証明できるようになります。

このブロックチェーン技術を活用したトレーサビリティシステムを企業が使用することで、目標15の以下の2つのターゲットの達成に大きく寄与できるのではないかと思います。

ターゲット15.2「あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再生林を大幅に増加させる」

ターゲット15.a「生態系と生物多様性の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う」


5.さいごに

先程も説明した通り、日本は、目標13〜15に関して、「主要な課題が残っている」と評価されています。

即ち、気候変動軽減のための緊急対策、海洋・海洋資源の保全、陸の生態系の保護・回復・持続可能な利用等による生物多様性の損失阻止は、日本の存亡にもかかわる課題であると認識しました。

今回紹介した、スコープ3の考え方、マイクロプラスチック問題への対応、ブロックチェーンを活用したトレーサビリティは、これらの主要課題を解決するための一つの手段に過ぎません。

しかしながら、一つひとつ、当面の課題を解決していくことも重要だと思います。

2030年に向けて、今後、政府、企業、NPOがどのような動きを見せてこの主要課題に立ち向かうのか、期待と興味をもって追っていこうと考えています。


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