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「先生が怖いから始まった」母子登校のケース②:母子登校をしたから見えてきた学校の様子

(小学校1年生、教室まで付き添う形の母子登校、Aくんのケース)

Aくんのお母さんは、母子登校をする中でこれまで見えてこなかった学校の中の様子がよく見えた・わかってきたとおっしゃいました。
下駄箱まで付き添っていた頃に感じたのは、我が子だけではないという事実でした。

Aくんだけでなく、クラスのお友達や、他のクラスのお友達・2年生など親御さんが学校まで付き添われているご家庭があったということでした。
それはお母さんご自身が子どものころに比べると圧倒的に数は多く、毎朝親御さんと別れるときに泣き喚くお子さんをよく目にしていたようです。

また、教室の中まで付き添うようになってから、お母さんは担任の先生の対応について気になる部分が増えていったようです。
Aくんからも聞いていた先生の厳しさというのは、お母さんが想像していたものよりも遥かに厳しいものだったようです。
小学1年生ぐらいのお子さんだったらあるよねというレベルの間違いなどに対しても、大声を出して叱られているようでした。

またそれだけではなく、Aくんが言っていたように3回先生に叱られると別室に連れていかれてこっぴどく叱られるという対応があったようでした。
別室に連れていかれても、先生が叱る声は大きく教室の中まで聞こえていたので、クラスには耳を塞いで聞こえないようにしているお子さんも居たそうです。その中にA君もいたようでした…。

親としてはいたたまれない気持ちになったとその時のことを振り返ってお母さんは私に話してくださいました。
正直、この時代にそんなやり方をされている先生がいらっしゃるというのは私も驚きました。

働くお父さん・お母さんたちの中では、後輩などに指導する仕方もひと昔に比べると慎重に判断されることの方が圧倒的に増えてきたと思います。
パワハラという言葉も話題になりましたしね。
指導の難しさに悩まれた親御さんも少なくないことでしょう。
そんな中、生徒への指導は変えずでいいというのは通用しないでしょうからね。
とはいえ、Aくんのお母さんが嘘をつかれているとも思いませんでしたので、学校という世界では未だに昭和の名残が残ってしまいやすい体質なのかもしれないなと感じました。

これまでお母さんとしても「あるよね」のレベルだと思っていたものが、こんな状況だったのか…と現実をまざまざと見せられたようです。
担任の先生は、母親が我が子を叱るかのような対応が多く「気持ちは分かるけど、それって指導じゃないよね…」と感じることも多々あったようです。

私もお母さんから初めてお話を聴いた時は「それは親御さんが見てる前でもされるのですか?」と疑いたくなるような内容もありました。

ただ、お母さんとお話しする中でAくんのお母さんは「担任の先生の対応は確かに厳しい部分があるけれども、学年が上がるとこういう厳しい先生はいるので、先生に変わってもらいたいという気持ちよりも息子(Aくん)自身がこの状況でも乗り越えていけるような力を身につけさせたい。」とおっしゃっていました。

つまり、Aくんのお母さんはAくんの将来のことまで考えておられたのです。
お母さんがおっしゃる通りだなぁと私も思いました。

支援の中でもよくお伝えすることの1つになりますが、『目先の可哀想よりも、将来の可哀想を取り除いてあげましょう』という言葉があります。
Aくんのケースでも、目先の可哀想を考えると今Aくんが怖がっている先生に変わってもらうのが1番早いと思います。

しかし、それを担任の先生本人に伝えたとしてもすぐに変わる部分ではありませんし、何より今後も厳しい先生にで会うことはあるでしょう。
もしかするとAくんが担任の先生のような厳しい方に次同じように出会うのは、会社の上司かもしれません。

生きていく上で出会うであろう人に早めに出会ってしまっただけなのであれば、Aくんがここから学び厳しい人相手でもそつなくこなせるぐらいの力を持てた方が、親御さんも安心だと思います。
小学1年生のAくんにとっては厳しい話でも、世間的には間違っていない指導の内容なのであれば、そこに順応できる力を早めに身につけられるとAくんは無敵になれるかもしれません。

親御さんの意向も組みつつ、Aくんの将来を考えてどう支援を組み立てるのかを考えていくことになりました。
続きはまた、次回をお楽しみにしていただければと思います。

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