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国際情勢:プーチン大統領の勝利宣言?

 ロシア・ウクライナ戦争が、最終局面を迎えているかも知れないので、記事を書く事にした。フランスのメディアグループTF1のLa Chaîne Info(The News Channel )LCIからニュース動画を紹介する。(文字数5,242)

動画表題
 L'Ukraine battue en deux mois sans les alliés ?|LCI
 195,463 回視聴 2025/02/01 07:38
 
 ウクライナは同盟国なしで2か月で敗北?|LCI

動画説明文
 Vladimir Poutine a assuré ce mardi que le conflit en Ukraine se terminerait d'ici à "deux mois" sans l'aide militaire des alliés occidentaux.
 
 ウラジーミル・プーチンは今週火曜日(2025年1月28日)、西側同盟国からの軍事援助がなければ、ウクライナにおける紛争は、今から「2か月」で終わると断言した。(拙訳)

プーチン大統領の発言(dicte)
 Ils ne peuvent pas exister. Ils ne tiendront pas un mois. si l'argent et de façon générale, les munitions s'épuisent. Sans ça, tout serait fini en un mois et demi ou 2 mois maximum.
 
 彼ら(ウクライナ軍)は存在できない。彼ら(ウクライナ軍)は一か月もたないだろう。もしお金があったとしても、一般的な使い方であれば、弾薬が尽きる。それ(弾薬)なしでは、1か月半か、最大2か月で、全てが終わるだろう。(拙訳)
 
 ロシア語からフランス語の翻訳で、さらにその和訳なので、ズレている可能性は否めないが、大意としては、あと2ケ月で戦争が終わると言う事だろう。理由としては、弾薬・砲弾不足という事だ。

 アメリカ民主党政権が、最後の大規模支援を送り、トランプ政権も今週、ウクライナ支援の継続を述べたので、多少状況は変わっているかもしれない。それでも、これまでの支援は尽きているという見方をしているようだ。
 
 プーチン大統領は戦争が下手なので、この発言は当てにならないという見方もある。それでも、ウクライナが敗けそうで、ロシアの勝利が近付いているという事は分かる。ウクライナによるクルスク逆侵攻も押されている。
 
 同時期、北朝鮮軍の姿が戦場から見えなくなり、北朝鮮はクルスクから撤退したという報道が流れたが、今週またクルスクで北朝鮮兵を見かけるようになり、一時的な後退だったという事になっている。北朝鮮軍はいる。
 
 今週トランプ大統領は、プーチン大統領と電話会談した事を明かし、プーチン大統領は戦争を終わらせたがっていると述べた。記者が、何回電話会談したのか訊いたが、それは答えない方がいいとトランプ大統領は言った。
 
 電話による空中戦は続いているようだが、まだ停戦合意に至っていない。明かされた停戦の条件として、ウクライナ大統領選挙の実施がある。今の大統領は2024/05/20で任期が切れているが、戦争中という事で継続している。
 
 今のウクライナの大統領が、停戦を妨げているという見方はあるので、ロシアから提案された条件で、これだけ公に明かされているのは、アメリカにとっても、都合がいいからだろう。ウクライナ大統領選挙はやるだろう。
 
 ウクライナの大統領選挙をやるため、停戦するというのは、ウクライナ軍にとってもメリット(態勢を立て直す等)はあるので、軍は賛成するだろう。ただ肝心の本人が、嫌がるかもしれない。だが反対は難しいだろう。
 
 ウクライナの大統領も、軍の支持あってこそだし、民主主義を掲げている以上、停戦の条件が大統領選挙だと言われれば、国民に嫌とは言えない。ただでさえポピュリストとして人気を得たのに、反対の行動はできない。
 
 トランプ大統領とプーチン大統領の停戦交渉で、最大の障害だったウクライナの大統領が取り除かれれば、少なくとも、一歩前進となるだろう。あとは本人の同意と、いつ選挙を実施するのかだ。
 
 次の大統領が誰になるのか分からないが、長い戦争で厭戦気分が蔓延しているウクライナで、またあの大統領が当選するという事態は、ありそうな事ではない。多分、別の人が当選するだろう。脱走兵だって投票権はある。
 
 気になっているのが、ロシア軍がオデッサに攻撃を始めている件だ。今のところ、ドローンやミサイル攻撃のみのようだが、オデッサはヨーロッパの裏口玄関なので、NATOを強く刺激する。これは直ちに止めて欲しい。

 それこそ、NATOが参戦してしまっては、元も子もない。ロシア軍は愚かな事をしている。オデッサに手を出すように、指示を出しているのは一体誰なのか?だが最終責任はプーチン大統領になり、彼も喜ばないだろう。
 
 早くウクライナの大統領選挙の時期を決め、日程を設定できれば、停戦は成り立つと思うが、他の条件交渉が続いているので、まだ決まっていないようだ。先に両者の合意が取れそうな、ウクライナ大統領選挙だけ出た。
 
 ヨーロッパは今、停戦か継戦か分からないため、軍備を拡大している。世界大戦前夜に、戦争準備に出遅れるのは、フランスの伝統的なお家芸だが、今回もご多分に漏れず、戦争準備に出遅れている。だが他の国は早い。
 
 特にポーランドは、ウクライナの隣国のせいか、凄いペースで軍拡している。戦車だけでも数千両集めている。来年、数だけなら、ロシア軍を抜くと言っている。だが複数の国から多種多様な戦車を集めたので、無理がある。

 主力戦車が何種類もあるのは、運用面で負担が大きく、現実的ではない。整備兵が泣くだろう。またNATO規格外の装備も多いので、補給も大変だ。ポーランドは金にものを言わせて、慌てて買い集めただけだろう。
 
 ポーランドには、アメリカの戦車もあるが、M1エイブラムスは、アメリカ以外の国が運用するのは大変だ。やめたほうがいい。12時間に1回、分解整備が必要な戦車なんて、戦場では使えないだろう。大量配備が必要だ。

M1エイブラムス

 アメリカの主力戦車、MIエイブラムスは、ディーゼルエンジンではなく、ガスタービンエンジンなので、瞬発力があり高出力だが、航空機のエンジンと同じなので、戦車ではなく、軍用機を整備しているのと同じになる。
 
 アメリカの兵器は、こういう性質のものが多い。高級仕様なので、他国が少数導入して運用するには、費用対効果が悪過ぎる。アメリカの小銃でさえ、スプレー缶を使った整備が必要なので、単なる分解では済まない。

F-35


 F-35というステルス機がアメリカにあるが、これは対地攻撃機で、いわゆる戦闘機ではない。何が言いたいかと言うと、ドッグファイトに弱いという事である。日本も含めて、各国導入しているが、止めた方がいい。
 
 アメリカ空軍に、クリスティン・ベオ・ウルフ(Christine Beo Wolf)少佐という30代の女性パイロットがいて、F-22とF-35の両方のパイロットを務めた経験から述べる英語インタビューがあり、疑惑は確信に変わった。
 
 インタビューの中で、クリスティン・ベオ・ウルフ少佐は、F-35をFighter(戦闘機)と言わず、Attacker(攻撃機)と言っていた。最初「ん?」となったが、彼女の説明を聞いている裡に、様々な疑問が氷解した。
 
 当方もF-35のプラモデルをABCと3タイプ買ったり、特集雑誌を買ったりして、カタログスペックを日夜眺めて、どういう性能を持っているのか考えたが、戦闘行動半径が小さ過ぎて使えない、戦闘機として弱いと思っていた。
 
 エマニュエル・トッドも、F-35導入はお勧めできない。アレは弱いと日本の雑誌で言っていたが、クリスティン・ベオ・ウルフ少佐があっさりと、F-35は対地攻撃機で、昔のF-117の役割を引き継いでいると説明した。

F-117


 F-117は、1991年の湾岸戦争でデビューした黒い奴である。戦闘機の肩書を持っているが、使い道は対地攻撃機で、ステルス機だから、レーダーに映らず、対地攻撃ができると言う事で、湾岸戦争の先陣として投入された。
 
 F-117もサイドワインダーを装備できるが、ドッグファイトは想定していない。あくまで護身用だ。あの形状では、高機動戦闘も無理だ。逃げるしかない。忍者のように、敵陣に忍び込み、破壊して、立ち去るだけだ。
 
 F-35は、F-117よりましになったものの、ドッグファイトができるというぐらいで、F-22には遠く及ばないとクリスティン・ベオ・ウルフ少佐は言っていた。本物のステルス戦闘機は、F-22だというのが彼女の結論だ。

F-22


 F-35は、ドローンを子機として引き連れて飛ぶネットワーク構想があるが、本質的には対地攻撃機なので、強さは変わらないだろう。あとはAV-8B ハリアー IIの代替として、短距離離着陸機、空母艦載機として設計された。
 
 ハリアーが強いと主張する人は少ないだろう。あれは垂直離着陸機で、それが売りの戦闘もできるという攻撃機で、いわゆる戦闘機ではない。F-35はハリアーの役割も引き継いでいる。だから決して強くはない。
 
 F-22はアメリカのみ保有し、F-35は輸出もするが、本質的には対地攻撃機で空戦用ではない。ドッグファイト用には、1世代前のF-15かF-16しか輸出できない。現在ウクライナに供与されているのもF-16だ。

F-16


 F-35の戦闘能力に不安があるためか、主翼下にハードポイントを増設して、ミサイルを沢山装備できるビースト・モードもあるが、ステルス性がなくなるので、これではただの戦闘攻撃機になる。返って弱くなる。
 
 F-22はもう生産しない以上、F-35に頼るしかないが、どうも不安だという要望に応えたのが、F-15EXなどの派生機だ。4.5世代機だが、若干のステルス性を持たせ、戦闘機としての戦闘能力を向上させている。試験運用中だ。
 
 日本の航空自衛隊が、3機種体制である事は理解している。1機種不具合が起きても、他の2機種が運用できれば、日本防空をカバーできる。だがF-35に、過度に期待する事は止めた方がいいだろう。戦闘機ではない。

F-15


 F-15Jは使い続けるしかない。F-2は将来F-3に代替するとしても、いつの話か分からない。古くなったF-4 ファントムIIの代替で、F-35を導入したのは、他に選択肢がなかったとも言える。アレは対地攻撃機だ。空母艦載機だ。

 アメリカの兵器・装備は、アメリカでしか使えない。アメリカでしか運用できない。使えない事もないが、運用が大変なので、費用対効果が悪い。また兵器の役割もあるので、他国の軍隊に導入する際は注意が必要だ。
 
 だからアメリカがウクライナを支援すると言っても、アメリカ兵器の仕様はウクライナに向いていないし、少数配備では意味がないし、大量配備は運用面での負担が大きい。アメリカが支援できる装備・兵器は限られている。
 
 ウクライナは、NATO規格の1世代前の古い装備か、使い慣れた旧ソ連製の兵器で戦うしかない。後者は流石に、西側で在庫がなくなってきている。だから今は、NATO規格の1世代前の古い兵器を回し始めている。
 
 ウクライナ軍は、ジャベリン等ハンドミサイルとドローンの使い方だけ発達したが、それだけで戦争に勝てる訳でもないので、寡兵で創意工夫し続けるしかなかった。西側の装備は思った程、使い勝手がいい訳ではなかった。
 
 あの大統領はともかく、ウクライナ軍はよく戦った方だと思う。ここで銃を降ろしても、非難する人は少ないだろう。プーチン大統領が言うように、弾切れを起こす前に、自発的に停戦という現場判断もある筈だ。
 
 大統領が戦え!と言ったって、弾がなければ、どうにもならないので、現場では自然と降参・投降・脱走が相次いで、軍組織が崩壊する。そうなる前に、停戦しないと、さらに悪い条件で、戦争が終わる事になるだろう。

 トランプ大統領は、この戦争で人が死に過ぎたと言って、早く終わらせようとしているが、ここまで話がこじれたのは、ウクライナの大統領と前の民主党政権のせいだろう。ウクライナ軍としての現場判断があってもいい。
 
 ウクライナ軍は、自然降参する形で、停戦してもいいのではないか?
 
 何かの参考になり、お役に立てれば幸いである。 
 ご一読ありがとうございました。

                                以上 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 



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