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村上春樹祭り開催中
新年早々の散歩中、街のメイン広場から裏道に入ってすぐのところにある本屋のショーウインドウを覗いたら見覚えのある名前が目に飛び込んできた。2025年一発目のおすすめは彼らしい。
ハルキ・ムラカミ
それにしてもこんなにたくさんの作品が翻訳されていたのね。知ってるつもりでも知らないことって結構ある。
同じ本屋で昨年末に夢枕獏の本が飾られているのを見たばかりだった。どうやらこの本屋には日本文学贔屓の店員さんがいるらしい、と推測する。
ショーウィンドウに並ぶフランス語のタイトルを目で追い、ブツブツと日本語に転換しながら読んだことのある本とそうでない本を選り分けてみる。『1Q84』は翻訳するまでもないタイトルだが、そういえばまだ途中までしか読んでいなかったことを思い出した、と同時に読んだ部分の内容を思い出そうとしてみたが、うろ覚え過ぎてハッキリと思い出せない。
もう随分と前に読んだ本だ。久しぶりに読み返してみたい気もするが、私が読んだ本は日本に置いてきてしまっている。目の前に陳列されているのは仏訳本。
どうせならオリジナルで読みたい。。。
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そしてその上に置かれている本のタイトルには馴染みがない。
何だこれ?
もしかしてもしかすると、去年?いや一昨年くらいに出た新刊だろうか?その場で検索してみたら、そう、間違いない。
タイトルを日本語に置き換えて内容を想像してみる。
『スプートニクの恋人』以降、何となく熱が覚めてしまった村上作品だが、このタイトルは見ただけで複雑なストーリーが予想出来る。ちょっと興味が湧いてきた。
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が、それにしてもこのフラッシーなピンクの装丁は本の内容に沿ったものなのだろうか?黒ベースだから全体的におしゃれでキリッとしまった風になっているけど、この種のピンクはガーリー過ぎないか?
気になったので日本の装丁を調べてみた。
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ついでに英語版の装丁はこんな感じ。
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どちらも重厚感があってミステリアスな内容を示唆するようなデザインになっている。それに比べて仏訳バージョンのこのピンクは何なんだ?!可愛過ぎないか?村上作品にピンクのイメージなんてあったっけ?
もちろん私はこの本をまだ読んでいない。読んでいないから内容を知らない。もしかしたらこのフラッシーなピンクがしっくりと馴染む内容なのかもしれない。。。むむむ。そうなのだろうか?
それにしてもこの3冊が同じ内容の本だなんて、装丁からはなかなか想像できない。
昔知り合いのイギリス人と話をしていたら、彼がハルキ・ムラカミのファンだと言うことで村上作品の話題で盛り上がったことがある。
そのイギリス人曰く、村上作品はとても読みやすい、のだそうだ。翻訳本にありがちな理解しづらい表現がほとんどない。まるで元から英語で書かれた文章のようだ、と。
私も同感。彼の書く文章は時折英語の翻訳のようになっていることがある。英語で思いついた文章を日本語に書き直しているかのようだ。
そんな村上春樹は外国書籍の翻訳も数多くこなしている。
どこかの偉い大学教授が翻訳した本よりも村上春樹が翻訳した本の方が私には読みやすい。レベルの高い国語能力や知識をふんだんに詰め込んで翻訳されても、文学の専門家でない私の読解能力には限界がある。村上春樹の翻訳には無理やり日本語に押し込めたような窮屈な文章が出てこない。だから読みやすいのだと私は思っている。
多分、村上作品を英訳する人も同じように、無理やり窮屈な英文に押し込んでいないのだろう。というか、そんなことをしなくても訳せる文章を元から書いているのかもしれない。
でもだからと言って、今目の前に並ぶ仏訳のハルキ・ムラカミを読みたいとは思わない。できれば日本語で。そう思ってアマゾンで調べてみたら、フランスまでの送料が本自体の値段よりも高くなっている。恐ろしや。
今度パリに行くときにブックオフでものぞいてみようかな。