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【梅一輪 一輪ほどの 暖かさ】の句をやっとひも解く
【梅一輪 一輪ほどの 暖かさ】
服部嵐雪
この句は、私が高校生の時に先生から頂いた年賀状に書かれていた俳句です。
唯一書かれていた言葉を覚えている、年賀状です。
受験シーズンであまり深く考えていませんでしたが、まるで歌のように覚えやすかったので、何かの拍子に思い出されるのです。
今になって、どんな意味だったのか気になり少し調べてみました。
=作者 服部嵐雪(はっとりらんせつ)について
【作者】
服部嵐雪(はっとりらんせつ)
江戸時代前期の俳諧師
生年:1654年 没年:1707年
出身:江戸湯島
流派:松尾芭蕉の高弟、雪門の祖
お墓:本教寺(東京都豊島区)
芭蕉十哲の一人
禅の修行を続け、内向的で柔和な温雅さな人柄が句にも表れ、質実な作品が多い
嵐節の門(雪門)からは優れた俳人が輩出し、大島蓼太の時代には勢力を著しく拡大した
1692年(元禄5年)松尾芭蕉に
「草庵に桃桜あり 門人に其角嵐雪あり」と言われた
服部嵐雪と宝井其角(たからいきかく)は松尾芭蕉没後、江戸俳壇を二分していたといわれる
ちなみに「おくの細道」で有名な松尾芭蕉は
生年:1644年 没年:1694年
なんと50歳で亡くなっていたのですね。
(70歳くらいまで生きて全国を旅していたのかと勝手に思っていました)
=季語や意味について
【梅一輪 一輪ほどの 暖かさ】の季語や意味について
この句だけを見ると、区切り方で意味が変わってしまうようです。
<その1> 「梅一輪 一輪ほどの 暖かさ」は
梅が一輪咲いている。それを見ると、一輪ほどのかすかな暖かさが感じられる
<その2> 「梅一輪一輪ほどの 暖かさ」は
梅の花が1輪咲くごとに、少しずつ暖かくなっている
しかし、この句が読まれる前に詞書(ことばがき)があり、そこに「寒梅」という冬の季語が用いられているため、この句の季語は「寒梅」となるそうです。
解釈としては、<その1> が正しく冬の句となっています。
詞書がわからない場合、<その2>のように「梅」が春の季語なので、春の句と勘違いされたようです。
詞書(ことばがき)の意味
・和歌や俳句を作った日時・場所・背景・動機などを述べた前書き。
・絵巻物で、絵の前後にある説明文
まるで国語の時間のように調べてしまいました。
=私なりの解釈
寒い中でも一輪の梅が咲く姿を、受験直前の私にも重ねて頑張れと言う意味も込めて、書いて下さったのかもしれません。
一輪の梅のかすかな暖かさが、高校卒業して新しい未来の扉へとつながるイメージも湧きます。
調べる前は、どんな梅の花も一輪一輪花を咲かせていけるよ。寒い厳しい冬(人生)の中でも強く生きよう!
などと思い続けていました。
この俳句が、自分への応援歌となっていたとも思っています。
=先生へ
先生、今頃この年賀状の俳句をひも解いています。
何気なく書かれた俳句だったかもしれませんが、心の中にずっと残っていたのです。
先生の功績は素晴らしかったと、今になって思います。
勉強の内容は覚えていなくても、この俳句だけは何十年も覚えているのですから、教えるという事は深いですね。
お元気かどうかもわかりませんが、一言お礼を言いたいです。
心に梅一輪を灯し続けて下さって、本当にありがとうございました。
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