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大切にしている「調理用語」① ~茹でる・茹でこぼす・水煮~

栄養は知識があるだけではいけない!
当たり前だが、食材を調理して料理を美味しく食べてもらって栄養になる。
だから、調理の技術と伝え方は大切だ。

そこで、料理の作り方は、「茹でる」とか「炒める」等の調理用語をわかりやすく使って伝えるようにしている。

でも、言う側と受け取る側の用語の理解が微妙に違うと、伝わらないことがある。


あらためて考えてみた。

例えば「茹でる」について・・・
「茹でる」こと

「湯がく」「湯に通す」等いろいろ言う人がいる。
多くの野菜は、硬く、青く、そして生臭い。
美味しくない成分や天然の毒素を含んでいるものもある。
水と熱で茹でて、人の口に合うように食べやすくしなければならない。

例えば、ほうれん草や小松菜などの葉物は、野菜独特のシュウ酸等のアクがあって、生のままでは口に合わない。
この美味しくない成分や毒素はアクであって、アクは熱で壊れ水に溶けて流れ出る。熱湯で茹でてアクを取り除く作業は重要なのだ。
アクの茹で汁は、溶け出たシュウ酸で酸性に傾いていて、葉物の色を悪くしてしまう。
たっぷりの水で洗いながら冷ますことが大事だ。


冷やし方にもポイントがある。
茹でたらザルに開けて蛇口の水で冷やす場合がほとんどの人だが、この方法では冷めるのに時間がかかって色が悪くなりやすい。
ボールに用意しておいたたっぷりの冷水で一気に冷ましたいところだ。

他には、茹でたら「水にとる」という用語もある。
茹でた青菜は網ですくい取り、あらかじめ用意しておいたたっぷりの冷水に入れて冷やすことで緑色が鮮やかになる。
少量の場合は「水にとる」がおすすめだ。

さらに、水につけて十分にアクを除けば、美味しくいただける。

野菜のアクが苦手な幼児・小児は、こうすれば色々な野菜が食べられるようになる。

「茹でる」と言わずに「湯がく」「湯通しする」という人もいるが、その違いは区別せずに使っているようだ。
これらは、どちらかというと「茹でる」よりは時間の短い茹で方の場合に使っている。

茹でる→湯がく→湯通しするの順番で、茹で時間を短く表現しているのだ。

私自身、身についた表現で意識せずに使っているので、その言葉の語源をうまく説明できないのが正直なところだ。

「茹でこぼす」とは 

主に野菜の下茹でに使い、茹でたらザルに開けゆで汁は捨てるが、食材に水をかけない。

例えば、ブロッコリーなどの花野菜は茹でたらザルに開け、ゆで汁を切ったら一気にざるで空気をあおって冷ます。
冷水をかけたらブロッコリーに吸水してしまい、水っぽくて美味しくなくなる。けして水はかけない。
少量ではこれで良いが、給食施設等大量の場合は急速冷却装置を使わないと色が悪くなる場合がある。

じゃがいもや里芋、さつま芋などの芋類も同様、茹でこぼした場合は水をかけてはいけない。芋が水を吸って美味しくなくなるのだ。

「水煮にする」という言葉もある

食材を茹でたらアクをすくい取り、茹で汁は捨てずにそのまま味付けをする場合に使っている。
煮物や煮豆がそうだ。

例えば、大根は一度茹でこぼしてだし汁を加え煮物にするが、じゃが芋やにんじん等比較的アクが少ない場合は水煮にしてそのまま調味する。
この調味前の茹で方を「水煮」と呼んでいる。

 豆類もそうだが茹でたら最初はアクを取る目的でゆで汁を捨て、水を加えて水煮をし、汁を捨てず柔らかく煮えたらそのまま味をつける。

こうした共通の調理用語を使って、料理が同じように伝わっていく。

地域によっては、同じ内容でも調理用語が異なる場合がある。
調理方法を伝える時は、互いに調理言葉の内容を確認し合うのが大切だといつも感じている。

たかが普通の調理用語、されど調理用語。よく考えると奥が深い。

今回もありがとうございました。

 

 

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