うつ病の原因は脳のネットワークにあった?驚きの最新研究を解説
こんにちは。メンタルウェルネスあおぞらです。
先日、うつ病に関する非常に興味深い論文が「Nature(ネイチャー)」で発表されました。
うつ病は興味の喪失や気分の落ち込みが続く病気です。うつ病は「心」の病気と言われることが多いですが、「脳」の働きが関係していることが分かっています。
上記の研究で、うつ病の人の脳には特別な変化が起きていることが新しく分かりました。この変化は「セイリエンスネットワーク」という部分に関係しているそうです。
1. セイリエンスネットワークとは?
セイリエンスネットワーク(以下、SN)は、脳の中にある部分の名前です。この部分は、「大事なこと」や「注意を向けるべきこと」を見つけるお手伝いをしています。たとえば、車が急に目の前に飛び出してきたら危険だと気づいたり、友達が悲しそうにしていたら気づいて話しかけたりするときに、このSNが働いています。
健康な脳では、SNがバランスよく動くことで、必要なことに集中したり、気持ちをコントロールしたりできます。
脳のネットワークについて解説しているブログは下記参照ください
2. 研究で分かったこと
2024年に発表された研究では、うつ病の人の脳を詳しく調べたところ、SNが健康な人と比べて2倍近く大きいことが分かりました。特に「感情」や「楽しいと感じること」に関わる部分で、この変化が見られたそうです。
普通はSNが脳全体の3%くらいの大きさですが、うつ病の人では5%以上にもなっていたとのこと。この違いが、うつ病の症状に深く関わっていると考えられています。
3. セイリエンスネットワークがうつ病にどう影響するの?
SNが大きくなることで、脳がどんなふうに働くかが変わってしまうことがあります。たとえば、次のようなことが起きやすくなるそうです:
ネガティブなことばかり考えてしまう
過去の失敗や嫌だったことを何度も思い出して、考えが止まらなくなってしまうことがあります。これを「反芻(はんすう)」と言います。楽しさを感じにくくなる
好きだった遊びや趣味も、あまり楽しいと思えなくなることがあります。これを「アンヘドニア」と言います。
SNが働きすぎると、脳がネガティブなことばかりに注意を向けるようになり、楽しいことや明るい気持ちに切り替えにくくなります。
4. 私たちの生活とのつながり
SNが大きくなるとうつ病になりやすくなることが分かりましたが、普段の生活でも、このネットワークのバランスは大切です。
たとえば、仕事のことで頭がいっぱいになると、ほかのことが手につかなくなることはありませんか? それは、SNの切り替え機能が正常に働かず、ずっと同じ部分に意識を向け続けてしまうからです。バランスを取ることが大切ですね。
5. 気持ちを大切にする方法
脳のバランスを保つには、少しずつできることがあります。ここで簡単にできる3つの方法を紹介します。
1. 今、この瞬間を大切にする
「マインドフルネス」と呼ばれる練習方法です。深呼吸をして、目の前のことに意識を向け、さまざまな考えが浮かぶことに気づく方法です。日常の中でも、散歩をしているときに風や鳥の声に耳を傾けるのもおすすめです。
2. 体を動かす
軽い運動は、脳の働きを整えてくれます。ストレッチや散歩、10分程度の運動から始めてみてください。
3. 自分の気持ちを受け止める
ネガティブな気持ちが出てきたら、それを否定しないで「今、こんな気持ちなんだな」と受け入れてみましょう。そのあとで、楽しいことを考えたり、周りの人と話したりすることで、気持ちが少しずつ軽くなるかもしれません。
今回の研究で、うつ病の人の脳に起きる変化が少しずつ分かってきました。「どうしてこんな気持ちになるんだろう?」と悩んでいるとき、「私」に問題があるのではなく、脳の働きのバランスが崩れていると考えると、少し安心できるかもしれません。
自分の気持ちを大切にしながら、できることから一歩ずつ始めてみませんか? あなたが心地よいと感じる時間が、少しずつ増えていくといいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。