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#読書感想文

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文芸書から自己啓発書まで、読書感想文として書き留めています。ご参考になれば幸いです。
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2022年11月の記事一覧

#読書感想文 安斎響市(2022)『私にも転職って、できますか? 』

#読書感想文 安斎響市(2022)『私にも転職って、できますか? 』

転職活動に行き詰まりを感じ、安斎響市の『私にも転職って、できますか? 〜はじめての転職活動のときに知りたかった本音の話』を読んだ。2022年1月にソーテック社より出版された本である。

安斎響市さんはnoteやTwitterでも執筆されている方である。

この本を読んで、新しく知ったことはそれほど多くはなかったのだが、漠然と思っていたことや自分の中で未整理だった部分を可視化することができ、視界が開

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#読書感想文 村上春樹(2020)『猫を棄てる 父親について語るとき』

#読書感想文 村上春樹(2020)『猫を棄てる 父親について語るとき』

村上春樹の『猫を棄てる 父親について語るとき』を読んだ。2020年4月に文藝春秋より出版された本である。

妊娠した雌猫を棄てるため、父子で自転車に乗り、海辺に行く。二人が帰宅すると、棄ててきたはずの猫が自分たちより先に家に戻っていた、というどこか不思議でユーモラスな出来事から、本書は始まる。随筆とも自伝とも違う塩梅の、短い読み物だった。

子ども時代に感じていたことと現在が交錯しながら、父親の人

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#読書感想文 『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話』

#読書感想文 『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話』

カトリーン・マルサルの『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話』を読んだ。翻訳は高橋璃子さん、河出書房新社より2021年11月に出版された本である。

本書は、女性がいかに経済や経済学から疎外されてきたのかを経済学の諸説を引用しつつ論じることを目的としている。残念ながら、疎外されているのは事実であり、統計でも証明もされているのだが、なかなか変わっていかない現実がある。

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#読書感想文『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』

#読書感想文『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』

ロバート・ビスワス=ディーナーとトッド・カシュダンの共著『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』を読んだ。草思社から2015年6月に出版された本である。

本書を雑に要約すると、幸福を追い求めると不幸になるし、ネガティブな出来事を避けていると鈍感になってしまう、ということであった。全体性(ホールネス)が大事なのだという。

わたしがなるほどな、と思ったのはこの一文である。

わたしは今転職活動をしているの

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#読書感想文 エプスタインとワインスタインにまつわる二冊

#読書感想文 エプスタインとワインスタインにまつわる二冊

エプスタインとワインスタインなんて、コンビ名のように書いているが、チップとデールのような愛らしさはない。二人とも金持ちの性犯罪者である。
#Me too運動と連動している二冊の本を読んだ。実は、わたしはエプスタインとワインスタインを混同していた。二冊とも、読んでいるときは面白かったのだが、いざ読書感想文を書くとなると、筆が重く、遅々として進まない。やはり、あらゆる性犯罪は、おぞましく、こちらの気

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