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2021年11月の記事一覧
#読書感想文『2050年 世界人口大減少』
ダリル・ブリッカー、ジョン・イビットソンの『2050年 世界人口大減少』を読んだ。2020年2月に文藝春秋より出版された本である。
2011年に人類の人口は70億人に達した。著者らは、人口爆発は起こらず、人類は壊滅に向かうと述べている。都市化が起こり、女性の教育水準が高くなれば、赤ん坊が死ぬのを見越して、多めに産んだりするようなことはなくなる。女性の地位向上は、発展途上国でも進んでいる。
ドイ
エストライク(2021)『あなたが消された未来 テクノロジーと優生思想の売り込みについて』の感想
ジョージ・エストライクの『あなたが消された未来 テクノロジーと優生思想の売り込みについて』を読んだ。著者は、アメリカ人の詩人・作家で、2021年5月にみすず書房から出版された本である。
この本全体に漂うのは「悲しみ」だ。
2001年に次女のローラが生まれ、ダウン症と診断される。著者は悩みつつも、日常生活が壊れてしまうというのは幻影で日々は続いていったと述べている。
現代は、出生前診断が行われ
池谷裕二,中村うさぎ(2019)『脳はみんな病んでいる』の読書感想文
脳の研究者である池谷裕二と作家の中村うさぎの対談本『脳はみんな病んでいる』を読んだ。2019年1月に新潮社から出された本である。
本書の冒頭で池谷裕二はこう述べている。
DNAを調べればすぐ認識できるはずです。
人は誰しも少なくとも数十種の疾患や障害を抱えながら生きているということを。
健康な人など世界中で一人もいないということを。
p.2 『脳はみんな病んでいる』
この文を読んでぎくりとし
ジェシー・ベリング(2021)『ヒトはなぜ自殺するのか』の読書感想文
ジェシー・ベリングの『ヒトはなぜ自殺するのか』を読んだ。2021年1月に化学同人から出版された本である。
著者のジェシー・べリングは、1975年生まれのアメリカ人で、現在はニュージーランドのオタゴ大学で働いている。
タイトルからもわかるように、自死を選んだ人々の事例があげられていく。著者自身も自殺未遂者として登場する。
この本は読む人を選ぶ。今、死にたい気持ちでいっぱいの人は読むべきではない
#読書感想文 マイケル・カニンガム(2003)『めぐりあう時間たち』
マイケル・カニンガムの『THE HOURS めぐりあう時間たち 三人のダロウェイ夫人』を読んだ。翻訳者は高橋和久さんで、日本では2003年4月に集英社より出版されている。アメリカでの出版は1998年だ。
実は、映画をレンタルDVDか何かで観て印象に残っていたのだが、原作を読んでいなかったことを急に思い出した。
主要な登場人物を演じるのはメリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、ニコール・キッドマ
雨宮処凛編著『この国の不寛容の果てに 相模原事件と私たちの時代』の読書感想文
雨宮処凛さんの対談本『この国の不寛容の果てに 相模原事件と私たちの時代』を読んだ。2019年9月に大月書店から出版された本である。
相模原事件とは、2016年に26歳の男性が、障害のある入所者19人を刺殺し、26人に重軽傷を負わせた事件である。
おぞましい事件であったが、社会の中で普通に消費されてしまったような印象がある。絶対にあってはならないことだと強く言った政治家がいたという記憶もない。