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姿勢について
五十歳を過ぎてから段々と体に変化が現れてきた。顔の頬が垂れてきているのを目の当たりにして、これからこうしてどんどん老けていくのかと思ったらとても惨めに感じた。
前に母が私にたまに会うと、私老けたでしょ?ってよく聞いてきたのを思い出す。当時、私にはその意味がさっぱり理解出来ず、母が真剣に聞いてくるのも可笑しく聞こえただけだった。でも今なら痛いほど分かる。私も同じステージに入ったから。
歳を取るってこういう事かと悩み始め、二、三年前の私と何処が違うのか、昔の写真などを見て比較してみた。そう言えば肩凝りも多くなったよね。それも歳のせいかと思っていたし、とにかく時を戻すのが敵わないことに直面するのが悲しかった。
二、三年前と言えば、丁度更年期が始まった頃だと思う。コロナの数年も重なって、マスクで顔を隠すことが多かったし、人に会わなくなってしまった。加えて、息子がオランダに行ってしまってからは、笑う事も少なくなった。このまま死ぬまで老けて自信のないまま生きていくのか…
そんな時、はっと気付いたのは姿勢が悪くなっていた事だった。もしかしたらこれが原因かと思い、それからは首を伸ばし、背中を真っ直ぐにして、前と同じように歩いてみた。歩く時も座っている時も常に姿勢を気を付けた。
コツは首を伸ばす事。頭のてっぺんから紐が出ているかのように、それもその紐が天と繋がっているかのように、首をとにかく上へ上へと伸ばす。それから肩をできるだけ下げ、胸を張りお腹を引っ込ませ、お尻を高い位置に持っていき、足が腰から付いているかのようになるたけ長いと思いながら、ゆっくり一歩一歩片足ずつ前に出していく。それだけなのに、すらすらと体が引き締まり顔の筋肉もキュッとしてくるのが感じられた。周りからの反応も少しずつ出てくる頃には、自分の心も晴れ晴れしていく。
これをこの一年半くらいやっていた。するとやっと四十代の頃の体型にも戻り、似合っていた洋服もまた着れるようになった。なんだ、歳を取るのも怖くない。
輝いている人を見ると、みんな姿勢が美しい。
結構嬉しいのは、たまに見るウィンドウに映る自分の姿を見て、安心できる事。この数年少し輝きを失っていたから余計に嬉しい。
今日も誰にも負けないくらい首を伸ばして歩いてやる。やっとまた自分に自信を持ち堂々と外を歩けるようになったんだから。それからどんな風に歳を取っていくのかも楽しみになってきた。