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【📰文系×医療🩺】「カルシウム」ってないとダメ?甲状腺とテタニー。

今回は、「甲状腺」と「テタニー」について学んでいきます。

そういえば、甲状腺と聞くと高校生の生物基礎の授業でホルモンを呪文のように覚えたのが懐かしくなってきます笑
呪文なので意味は全然分かりませんでした笑

今回の医師国家試験の問題はこちら👇

甲状腺全摘術後に発症したテタニーに対し、直ちに投与すべきなのはどれか。

a. 抗甲状腺薬
b. 抗けいれん薬
c. カルシウム製剤
d. ビスホスホネート製剤
e. 活性型ビタミンD製剤


甲状腺とは?

甲状腺とはのど仏の下にある臓器です。その裏には4つの副甲状腺という小さな臓器があります。名前は似ていますが、まったくの別器官です。

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甲状腺からは全身の代謝の状態を調節し、小児には成長を促す「サイロキシン(T4)」(チロキシンともいう)と、サイロキシンが血液に乗って全身を循環する途中で変換された「トリヨードサイロニン(T3)」という2種類からなる「甲状腺ホルモン」がでています。
また、サイロキシンを生成するためにヨウ素とチロシンというアミノ酸を使います。そして、このサイロキシンの生成量は脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調整されます。

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また、甲状腺の傍濾胞細胞(ろうほうぼう)あるいはC細胞と呼ばれるところから分泌されるカルシトニンというホルモンは、カルシウム濃度を低下させる働きがあります。

副甲状腺からは、カルシウム(Ca)量を増加させるパラトルモンというホルモンが分泌されます。

ちなみに、カルシウムは骨の材料として普段は貯蔵されていますが、その他にも心臓も含め全身の筋肉を収縮させたり、血液を固まらせたりするのにも欠かせません。さらに、脳細胞が働く上でもなくてはならないミネラルです。

甲状腺と副甲状腺を使って我々の身体のカルシウム量は一定に調整されています。

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甲状腺の病気


バセドウ病
甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気です。自分の免疫が甲状腺を攻撃し、その刺激で甲状腺ホルモンが過剰に出てしまう自己免疫疾患の一つです。患者は1000人中2~6人いるとされ、男性より女性が5倍発症しやすいことがわかっています。

代謝を促進し、エネルギーを多く作りすぎてしまうため、脈拍が速く、汗が多く、精神的には、落ち着きが無く、いらいら感や不眠になり、食欲が増しても体重が減ってしまう人や、むしろ食べ過ぎて体重が増えてしまう人もいます。体の月に関しては、甲状腺が腫れて首が太くなったり、眼が出てくる眼球突出が起きることもあります。

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治療は、薬剤治療や手術治療、放射性ヨウ素を使ったアイソトープ治療があります。


甲状腺機能低下症
バセドウ病とは反対に甲状腺ホルモンが少なくなってしまう病気で先天性のものはクレチン症と呼ばれます。原因は、甲状腺刺激ホルモンが少なくなる「中枢性甲状腺機能低下症」と、自己免疫が甲状腺の抗体を作る「橋本病(慢性甲状腺炎)」があります。その他にも、ヨウ素過剰摂取や、バセドウ病の治療後に見られることもあります。

バセドウ病も橋本病も同じ甲状腺の抗体を作る病気ですが、バセドウ病はホルモン産生を刺激する受容体に、橋本病は甲状腺のタンパク質を標的にし、炎症を起こした末破壊していきます。

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疲労感やだるさ、汗をかかない、食欲が低下する、寒気がするといった身体的な症状のほかに、無気力や眠気、記憶力の低下、抑うつ、動作が遅くなるなどの症状もみられる。皮膚が乾燥する、髪の毛が抜ける、眉毛が抜けるといったこともあります。

治療は甲状腺ホルモン薬の内服が一般的です。

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テタニーとは?

テタニーとは、自分の意志とは関係なく手足などの筋肉が痙攣けいれんを起こした状態を指し、病気の名前ではありません。一般的には「こむら返り」の名称や「つる」などと言われる状態の一種です。筋肉が強く収縮するため、痛みも併います。

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低カルシウム血症低マグネシウム血症などの電解質のバランスが崩れた状態が原因で起こります。

血中のカルシウム濃度を調整する副甲状腺に異常がある際に発症しやすいです。また、くる病、腎機能障害、尿細管性アシドーシス、過換気症候群、利尿薬の長期使用、抗菌薬、食事からの摂取不足などによっても引き起こされることもあります。

「くる症」について👇

テタニーの特徴として、「トルソー徴候」と「クボステック徴候」があります。

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最後に問題を確認していきます。

甲状腺全摘術後に発症したテタニーに対し、直ちに投与すべきなのはどれか。

a. 抗甲状腺薬
b. 抗けいれん薬
c. カルシウム製剤
d. ビスホスホネート製剤
e. 活性型ビタミンD製剤

甲状腺全摘手術は、バセドウ病や甲状腺悪性腫瘍(がん)の際に行います。そして、甲状腺を摘出するということは、その裏にある副甲状腺もとるということです。
その中でも特に副甲状腺からでるパラトルモンの血中カルシウム増加ができなくなることで「テタニー」が起きるため、投与すべきなのは「c.カルシウム製剤」です。


おわりに

体の中でのカルシウムの大切さを学ぶとともに、前回の骨軟化症とも関わってきており、繋がってくる感覚がなんともいい気持ちです!

また次回もよろしくお願いします!


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