やる気とか元気がでるえんぴつポスター/金益見
金益見(きむいっちょん)さんの著書
「やる気とか元気がでるえんぴつポスター」を拝読しました📖´-
(2024,12,14 読了)
「平日昼間!ノンジャンル紹介型読書会 at読書会すみれ」の中でご紹介されていた本で、ご紹介されている最中に泣きそうになり、これは読まねばと思った1冊でした。
すぐに図書館で借りて拝読したのですが、あまりにも良くてまたすぐに買い直したのです。妹家族にも読んで欲しくて2冊購入してしまいました。
大阪にある東生野中学校の校門横に｢えんぴつポスター｣というものが張り出されているのだそうです。
本書は10年前に執筆されているので今はどうだろうかと調べてみたところ、ハッキリしたことはわかりませんでしたが……
大阪市の夜間中学校、日本語教室で｢えんぴつポスター｣を書かれているようです。
｢えんぴつポスター｣とは、夜間中学校に通う学生たちが一年に一度書く短い作文のようなもの。内容やテーマは決まっていません。
えんぴつフレームの紙に書くので｢えんぴつポスター｣と呼ばれています。
東生野中学校の前をよく通っていた著者はこの｢えんぴつポスター｣を読むのが好きでこれを多くの人に見てもらいたいと思ったのがきっかけで学生たちに取材したり、実際に夜間中学校へ潜入してみたりして本書を執筆されたのだそうです。
夜間中学校に通う学生は平均年齢67歳(25~85歳)。
戦中・戦後に義務教育を受けられなかった年配者、労働目的で来日した外国人、不登校だった若者など様々。学生の85%以上が在日コリアンの女性たち。
夜間中学校に通うひとのほとんどは、物心ついた時から働いてきました。
子どもの頃から学校は”あこがれの場所”であり、勉強は”夢のまた夢”でした。
著者の語りと｢えんぴつポスター｣の説明のあとは、著者が選んだ実際に学生が書いた｢えんぴつポスター｣の数々がテーマごとに掲載されています。
それがね、凄くいいんです。学生が書いた字が、言葉が、胸にグッと迫ってくるのです。途中から涙で視界がボヤけながら一生懸命に拝読した私でした。
ここに抜き出しても感動は半減しています。学生たちの字で書かれているものを見るからこそ感動するのです。
ですが、少しだけ特に私が好きだった作品を抜粋しますね。
・まぶしくて見えなかった字が今体の中で光ってる
・仕事もし夜間中学校で学べ幸せな私
だれのおかげ? 皆さんありがとう
・やる気をなくすと病気になる
やる気を出すと元気になる
恵まれた環境にありながら学ぶことに対してさほど感謝の気持ちもなく、いやいや学校へ通っていた自分が恥ずかしくなりました。
大人になってから学ぶことの大切さを知り、学ぶことで世界が広がることを知りました。それなのにこの年齢になるまで学ぶことから逃げてしまって。
そんな私ですが、数日後から久しぶりに学校へ通い学ぶこととなりました。そんな時に本書と出会い、不安でいっぱいだったのですが学ぶことを楽しもう、せっかくの機会なのでしっかり学ぼうという気持ちが沸き起こってきました。背中を押されました。
本書は、巻末にリリーフランキーさんと著者との｢えんぴつポスター｣についての対談も収録されています。
それがまたいいんです。字や文章を書く参考になる言葉がちらほら。
そして、｢おわりに｣に書いてある著者のお父様が亡くなられた後に仕事場を整理した時のエピソードで涙腺崩壊しました。
本当に素敵な1冊なのです。
著者が｢えんぴつポスター｣を多くの人に見てもらいたいと思ったように、私は本書を多くの人に読んでいただきたい。
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