水菜を間引きながら思うこと
水菜の種を蒔く
一斉に
わしゃわしゃと
新芽がひしめく
ただね
君たち全員を
育てられないの
ごめんなさいね
そう心で呟き
新芽を間引く
少しスッキリした
畝を見ながら
ふと思う
小さいけれど
これも命の選別
水菜を人に
置き換えてみる
たった一つの
卵子に向かう
無数の精子
水菜と
受精卵と私
もうすぐ
54になる私
🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀
私の畑では夏野菜の収穫も終わり、そろそろ秋冬野菜の栽培を始めています。
葉物野菜は種から育てます。
先日は水菜の間引きをしました。
無数の種からぽつぽつと双葉が出て来たかと思うと、今度は一斉に芽吹き始めます。
わしゃわしゃと犇くとスペースのこともあり全ては育てられません。
私の指すら太く感じるほどの新芽達。
どの子が元気かな?
私は申し訳なく思いながらも
それらを掻き分けながら
そぉーっとそぉーっと間引きます。
何度も繰り返しているうちに
ふと頭に浮かんだ言葉がありました。
「命の選別」
これもそうであるならば、何度も間引きを繰り返しされて最後に私達の手元まで届く水菜って凄いよね。
そう思いました。
今度は水菜の間引きを精子と卵子。
受精卵に置き換えてみたら?
そんな思いになりました。
何億の精子は卵子に出会うまで間引かれるように脱落して行き、たった一つが卵子と結びつき受精卵となる…
最後はそれを自分の命と置き換えてみました。
無事産まれて来ました。
育って行く中、病気にも罹りました。
車やパス、電車、時には飛行機にも乗り移動します。
そんな中、私は今も生きている。
幸いなことに大きな事故にも災害にも遭わず。
もう53年も生きている。
お店に並ぶ水菜も凄いと思ったけど。
あれ?私もめっちゃ凄いやん。
改めてそう思いました。
間引いた水菜はその日のうちに
いつも以上にありがたい気持ちでいただきました。
「土から学ぶことは多い」
畑の先輩が言ってくれたこと…
これもそのひとつのような気がした
秋の夜でした。
読んでくれてありがとう。
出会えたご縁に感謝します。