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身体は脳よりかしこい
新年早々、人生初めてぎっくり腰というものを経験してしまいました。
1月2日に日本からパリに戻り、3日からヴェルサイユでミュージシャンドゥルーヴルのお仕事でモーツアルトのオペラ【フィガロの結婚】【ドン・ジョヴァンニ】【コジファントゥッテ】を毎日ローテーションで公演してくっていう鬼のようなプログラム。15時間のフライトからの生理からの200ページ越えの譜読みは想像以上に身体に負担がかかっていたみたい。
うわさ通り、ちょっとした拍子にぴきっといってしまいました。
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そこからはひたすら痛みとの戦い。起き上がる事・トイレ・電車での通勤・コンサート中座っている事・お辞儀・・・本番中に眠たくなりたくなかったから痛み止めも飲めず。全てが拷問でした。
でも嬉しいサプライズがあって、今までネガティブな人ばっかりが目について不安な気持ちになる職場だったんだけど、身体が弱ったことで優しい人が寄ってきてくれて、そういう人たちに出会えたのは辛い経験から得た宝物だったと思う。お薬買いに行ってくれたり歩くのに手を貸してくれたり、オステオパシーの先生に電話して予約を取ってくれたり、エネルギー療法(気功?)をやってくれたり・・・身体は辛くても心は人の愛でいっぱいでした🤍🤍🤍
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そしてこの辛い時間からの一番の収穫は自分の身体と向き合ったこと。普段の生活から楽器の弾き方など、どこの筋肉を使って骨を支えるか・どうやって負担を減らすか・日常生活の時間の使い方などを見つめ直すいい機会になりました。
まず情報として、ぎっくり腰は筋肉のケガなのだそう(骨だと思ってた!)。なので炎症を抑えるためにまず冷やすこと。薬局に駆け込んだら「温めた方がいい」とカイロ付きのベルトのようなものを出されたので巻いてたけど、後から調べたらピキッた直後にすぐ冷やすのがいいみたい。
それから同僚が勧めてくれたオステオパシーの先生のところでは、この筋肉のケガは身体のゆがみが原因で1点に負担がかかることで起こるということ。極論、人間の身体のゆがみは骨盤と噛み合わせだということを学びました。どんな人でも身体は少しずつ歪んでくるらしいけど、特にヴァイオリニストはひどくて「ヴァイオリニストの身体のゆがみはだいたい一緒」と言っていました。(専門家じゃなくても弾き姿見たらわかるけど・・)
タイトルにした「身体は脳よりかしこい」っていう言葉は私のお友達(スペイン人)の音楽家/ダンサーが昔から言っていた言葉。彼女は身体の声を聞くことをすごく大切にしていて、身体を壊すときは頭が学ばないといけないタイミングなんだって言ってた。エネルギー療法をやってくれた同僚も同じようなことを言っていて、「身体のここに痛みが出る人はこういう性格の人」とか、まるで占い師のように私の性格や悩みを言い当ててくれました。弾く楽器によって性格が何となくカテゴライズされるのもすごく説明がつく!
激痛でも休めないっていうフリーランス音楽家の辛い経験だったけど、学びが多すぎて最終的には「身体を壊してよかった」と思える良い経験でした。といいつつ、もう2度となりたくないので2023年は徹底的に身体のケアをしようと思う。