夏眠期間
ここ何日間、毎日のように昼寝をした。ニートの生活って、自分からは人に「思ったより優雅な生活だよ!」って言い続けているけど、本当の姿はかなり単調なもの。いい言い方をすると、平和な生活である。
このように、刺激のない平和な毎日を過ごしていると、いつの間にか看過してしてしまうため、自ら意識させようと心がけることがある。それは、いざ忙しくなると、この平和な生活が死ぬほど恋しくなる、だから今を満喫しなきゃいけないということだ。
そう、私は今すごく後悔している。あと、ニートの生活が長くなりすぎて、忘れていた。自分が働くことが嫌いってことを。それでも、会社に務めている友達よりは、比べ物にならないくらい暇をしているのは確かな事実であり、収入0よりは働いた方が絶対自分のためにもいい。ってことは分かっている。
しかし、ここ1年間彼氏に甘やかされていたせいか、やりたくないことをするよりは、自分の身を削りながら貧乏生活をしても、会いたい人にだけ会って、ゆっくりご飯を食べて、ひだまりの下で昼寝をするまるで「ネコ」のような生活の方が好きになってしまったのであった。(勿論、お金さえあれば、誰でも「ネコ」のような生活がしたいかもしれない。)
よく考えてみると、コロナが始まって1年間、収入ゼロの連続ではあったけど、一度も腹を空かしたことはない。仲の良いバイト先のお客様は、毎週のゴルフ帰りに必ず、崎陽軒の焼売弁当をお土産で買ってきてくれたし、彼氏は私が食べたいものは全部食べさせてくれた。以前まで、食べるということにあまり興味がなかったせいか、一人暮らしを始めて4年目になるまで、どうやって食事を取ってきたか思い出せないくらい、空腹感を抑えるくらいのレベルで適当に食事を取ってきた私に、「食」の楽しさを覚えさせるために、周りの人たちは努力してきたんだなーと今になっては思う。本当にありがとう。
そうやって、「食」が満たされたせいか、私は周りの他のニートに比べれば、比較的に優雅なニート生活を暮らすことができたのだ。しかし、最近あったある事件により、私の「ネコ」生活は終わりを迎えることになってしまった。それは、「ネコ」の私を採用したいという方が出現したことだ。
大学時代は色んなアルバイトを経験した。化粧品屋、レコード屋、そして今の私を作り育てた下北沢の小さなバル。その頃から、できれば好きなことを仕事にしたいと思っていたため、香り・音楽・お酒を扱っていた店で働いてきたわけだが、結局長続きしたのはバルだけ。それ以外は、どれも3ヶ月くらいでやめてしまった。よく考えてみると、私は基本的に不真面目である。傲慢だから、何か指摘されるのは、我慢できない。イライラするし、泣きたくなる。自分を責める。自分のいいところだけ見せたい。それが私。だけど、こんな私がバルのバイトを3年間続けられた理由は、自分のキャラクターそのものが輝ける場所だったためだ。
レストランのように、良質のサービスの提供を期待するより、ミスをする私も、パニックする私も、音楽・映画が好きな私も、男に関してはいつもはずれを引く私も、不幸が起きがちな私も、全部私のキャラクターとして、面白がってくれるお客様や、それを見守ってくれる店長さんと一緒に働けたからであった。永遠にサービス残業ができたのも、その場所にいることが楽しかったからであった。
しかし、今私を採用しようと思っている方は、私がどこにいても一生懸命生きていく、根性のあるもの。と少し勘違いをしているということに最近気づいた。私はできそうじゃなかったら、すぐやめる。ずっと楽しいことだけやっていきたい。それが理想論で、そんな私は世間知らずであっても、そうじゃないと、続かないのだ。
そして、色んな誤解で根性枠として採用された私は、今週の研修で、根性のないやつってことがバレないように必死に動いていた。業務内容を学ぶための研修のはずが、なぜか飲み物の買い物に行かされたり、社長の話が長すぎたせいで、4時間の勤務が8時間半になったり、社長は中で休んでいる間、外で呼びかけをさせられたり、、。これが世間的には普通かもしれないけど、ネコにはとても過酷である。いや、過酷すぎる。
社長は「若い頃の苦労は買ってでもすべき」を提唱する人である。「五月さん、これできそう?」って聞いといて、答える前に「できなくても、やるんだよ」って自問自答する人だ。とにかく、「本当はネコという私の正体がバレると、ドン引きされるんだろうな、私も社長が言っていること、ドン引きだもの、、。」と思いながら、一生懸命なふりをしていた。が、たったの1週間だったのに、自分の中で密かに抱いていた夢や希望が奪われていることを感じ、少し怖くなってしまった。
入社前に合わないってことに気付いてしまった時は、一体どうすればいいんだろう。悩みの日々で肌荒れが深刻化し、今全身が痒い。私の幸せを、私の親並みに願っている私の彼氏は「大丈夫?やめたくなったら、すぐやめるんだよ。しんどかったらいうんだよ。俺が代わりに会社に電話してあげる。」と甘やかしてくれる。ありがとう。
研修がない今週は二日とも昼寝をしてしまった。多分だけど、人には辛くて悩みのある時はとりあえず、身体をオフにしようとする仕組みがあるのかもしれない。勿論、起きても悩みは何も解決しない。そして、また眠くなる。
きっと、私は23年の人生で一番重要な岐路に置かれているような気がする。このようなシチュエーション自体も私にとってはものすごいストレスである。さあ、どれを選ぶんだ、私!
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とりあえず、もう一回寝てから考えよう。
#ニート
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