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映画『ルックバック』の「描いてもなにも役に立たないのに」が心に刺さって抜けない理由

アマプラにてさっそく配信がスタートしている映画『ルックバック』を観ました。映画館でも観ているので二度目の鑑賞です。

自分より絵が上手いライバルの存在、挫折の経験、認められる喜び……。藤野や京本と同じく創作をしている人にとって刺さるものが多い作品だと思います。

悲しいシーンで降りがちな雨も、本作では京本に絶賛された藤野の喜びを爆発させる演出として使われているのが印象的です。

後半の現実離れした展開も予想外で「これはどういうことなんだ?」と思わせる面白さがあります。

ただ、本作のそういう良さはすでにいろんな人がnoteなどで語り尽くしているかと思います。

なので、僕が何度観ても涙腺崩壊してしまう“あるセリフ”について思ったことを書きたいです。

それは、藤野の「なんで描いたんだろう」「描いてもなんの役にも立たないのに」というセリフ。

ここの藤野役・河合優実さんのお芝居が本当にすばらしいの一言。でも、この言葉に心が震えるのはもうひとつ理由があります。

このシーンで藤野が大きく揺らいだのは「自分の描く理由」です。

しかも、漫画を描いて京本を外に連れ出したせいで彼女は死んだ……と藤野は自分の責任だと感じます。

なぜ描くのか。なぜ創作するのか。これ、つくり手にとってウグッと詰まるような強烈すぎる問いです。

創作する理由がはっきりしている創作者って少ないんじゃないかと思います。漫画でもイラストでも文章でも、理由なんてよくわからず、もがきながら創作している人が多いんじゃないかな。

京本の死がきっかけで揺らいでしまった藤野の「描く理由」。ですが、創作者と呼ばれる人たちも、自分の「つくる理由」はいったい何なのか? を強く問いかけられるシーンだと思うんです。

だからこそ、藤野が涙声でつぶやいた「描いてもなんの役にも立たないのに」という言葉が刺さって抜けない。

僕はたまに、文章を書いて本当にだれかの役に立てているんだろうかと不安になるときがあります。

クライアントさんから原稿料をいただいているし、いただけるだけの役には立てているんだろうとは思います。

それでも、文章を書くのは形として手元に残らないし(Webの記事を書いている自分は特に)役に立てていると目に見えてわかりやすいものがないんですよね。

そんな自分が本作を観て一番刺さったのが「描いてもなんの役にも立たないのに」だったのは、少し納得感もありました。

どんな作品でもそうですが、特に『ルックバック』はグッとくるところが人によってわかれる作品だと思います。

あなたは『ルックバック』を観て、どこが心に響きましたか?

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